変わる成年後見制度!増える需要に向けて進む制度の見直し進むか

公開日:2024年3月15日

変わる成年後見制度!増える需要に向けて進む制度の見直し_サムネイル

小泉龍司法相が成年後見制度の見直しを求め、法制審議会に諮問することが明らかになりました。成年後見制度は平成12年4月に施行されましたが、現在浮き彫りになっている問題などついて紹介したいと思います。

成年後見制度とは

成年後見制度とは認知症や病気などによって、契約や法律まわりについて、1人で十分な判断を下せない人をサポートするための制度です。具体的には預貯金の管理や、相続手続き、医療機関や介護施設の契約などを受け持つことが多い傾向にあります。

成年後見制度は大きく「法定後見制度」と「任意後見制度」の2つに分かれます。判断能力が低下している場合では法定後見制度、判断能力が十分にある場合は任意後見制度が適しています。

法定後見制度には本人の判断能力の度合いに応じて、サポートする人(代理人)の権限も異なります。「成年後見人」、「保佐人」、「補助人」の3つに分けられ、判断能力が常にまったくない人をサポートする成年後見人が、本人の生活支援を行う広い範囲で権限を行使できます。次いで保佐人、補助人の順にこの代理人の権限が軽くなります。

これらの代理人は家庭裁判所が選任します。選ばれる人は主に司法書士や弁護士、社会福祉士など外部の人間が大半を占めており、逆に親族が選ばれる割合は少ない傾向にあります。これは財産の使い込みなどや不正行為を懸念し、安心して任せることが出来ないと考える人が多いためです。

成年後見制度の現状と問題点

そんな成年後見制度の現状は法定後見が利用の大半を占めていますが、今様々な問題に直面しています。その大きな課題の1つが一度成年後見人が決まってしまうと、制度利用者が亡くなるまで事実上終了できない点です。

成年後見人は、自分の現状(状態・都合など)に最もあった人を選任してほしいと考える人は多いと思われます。しかし、年を追うごとに取り巻く環境や身体能力の低下と合わせて、その「任せたい人」は変化する場合があります。

例えば、成年後見制度の利用を始めたばかりの頃は、司法書士に任せるのが最善と思っていたが、身体を壊し老人施設への入所以降は社会福祉士が適切かもと考えが変化する場合もあるでしょう。

また、後見人が財産管理ばかりで身上保護をしてくれないので、肝心な時にきちんと自身の意思を汲んでくれるか不安になってくるとの声も見られました。これは後見人が行使できる権限が強すぎることから起きています。

この利用者の環境にのみならず、後見人の担い手不足も解決すべき課題になってます。報酬額の不満から後見人の大半を受け持っていた司法書士や社会福祉士などが、その担当を避けるケースも見られます。これにより後見人不足で利用できる人が制限される可能性も出てきます。

見直しが始まる成年後見制度の今後

これらの問題を解消すべく小泉龍司法相は成年後見制度の見直しについて動き始めました。後見人の期間や交代制の導入、権限の見直し、報酬額の算定基準変更などが主に議論される見通しとなっています。

成年後見制度は、高齢化が進む日本において今後無くてはならない制度の1つです。運用開始から約24年が経過しようとしている当制度は、様々な事例に基づいた細やかな法整備を進める段階に入ってきたのかもしれません。

今までの成年後見制度を活用してきた人は勿論、これから利用を考えてる人も制度改善に向けて意見を発信し、私たちが安心して生活しやすい環境を整えていきましょう。

著者紹介

相続プラス編集部

相続に関するあらゆる情報を分かりやすくお届けするポータルサイト「相続プラス」の編集部です。相続の基礎知識を身につけた相続診断士が監修をしております。相続に悩むみなさまの不安を少しでも取り除き、明るい未来を描いていただけるように、本サイトを通じて情報配信を行っております。

専門家に相談する

専門家に相談するのイメージ

本記事の内容は、記事執筆日(2024年3月15日)時点の法令・制度等をもとに作成しております。最新の法令等につきましては、専門家へご確認をお願いいたします。万が一記事により損害が発生することがあっても、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

記事をシェアする