知っておきたい不動産の等価交換とは?メリット・デメリットや適したケースまとめ

公開日:2022年6月22日

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土地活用を検討しているなら、リスクを抑えて活用できる「等価交換」という選択肢があることをご存じでしょうか。土地の一部と建物の一部を交換する等価交換なら、費用が必要なく税金も抑えられるという大きなメリットがあります。しかし、デメリットもあるので等価交換について理解したうえで検討しなければなりません。この記事では、等価交換の基本や流れ・メリット・デメリットを分かりやすく解説します。

不動産の等価交換とは?

不動産の等価交換とは、土地活用方法の一つです。ここでは、まず等価交換の基本について確認していきましょう。

等価交換とは

等価交換とは、土地の所有者と土地開発業者(ディベロッパー)が共同でアパートなどを建設する事業方式です。

土地開発業者が土地の上に建物を建設し、建設後土地の一部と建物の一部が等価になるように土地所有者と開発業者で所有権を交換します。等価交換であれば、土地所有者は建物の建設費を負担することなく土地活用ができるのです。

等価交換の仕組み

等価交換の仕組みを具体的に見てみましょう。仮に、Aさんが8000万円の土地を所有しているとします。

その土地にB社が、2000万円のアパートを建設した場合、それぞれの負担は次のとおりです。

  • Aさん:8000万円の土地
  • B社:2000の建物
  • 所有権割合 Aさん:B社=8:2

等価交換では、建設後に土地の一部と建物の一部を等価で交換します。最終的な所有権の割合は、土地と建物の最初の所有割合(出資比率)で決まり、上記の例ではAさんが80%、B社が20%となるのです。

よって建設後、AさんとB社の所有権は次のようになります。

  • Aさん:土地6400万円・建物1600万円
  • B社:土地1600万円・建物400万円

ちなみに、このとき土地所有者が得る建物の床面積のことを還元床と呼びます。

不動産の等価交換の方法

ここでは、等価交換の方法について見ていきましょう。

等価交換の流れ

大まかな等価交換の流れは次のようになります。

  1. 開発業者との打ち合わせ
  2. 事業方式を決める
  3. 契約
  4. 土地の売却
  5. 建設
  6. 所有権の交換
  7. 運用開始

等価交換は、多くのケースで開発業者から話が持ちかけられます。持ちかけられたら内容についても打ち合わせを重ね、合意できれば契約を締結します。

契約後は、一度土地を売却し開発業者がその上に建物を建設し、建設後に所有権を等価になるように交換して土地所有者に所有権を譲り渡します。その後、土地所有者と開発業者との共同で建物を運営していくのです。

等価交換の種類

等価交換には、次の2つの方式があります。

  • 全部譲渡方式
  • 部分譲渡方式

全部譲渡方式は、最初に土地の所有権を開発業者にすべて渡す方法です。

土地所有者は、建設後に持ち分に応じた土地と建物の所有権が配分されます。それに対して、部分譲渡方式は土地所有者の土地所有権はそのままで、開発業者の持ち分に応じた部分のみの所有権を渡す方法です。建設後、土地所有者は所有権に応じた建物の分の所有権を得られます。

どちらの方式であっても、最終的に得られる所有権には変わりはありません。2つの方式の違いは土地の名義変更のタイミングといえるでしょう。

不動産の等価交換をおこなうメリット

不動産の等価交換には、次のようなメリットがあります。

  • 借入金を組まずに土地活用できる
  • 税金の優遇あり
  • 知識がなくても土地活用しやすい

借入金を組まずに土地活用できる

建物の建設費は開発業者が負担するので、土地所有者は借入することなく建物を建設でき土地活用できます。土地活用のスタートでお金の負担が必要ないので、事業後にローン返済が滞るなどのリスクを負わなくても済むのはメリットといえるでしょう。

税金の優遇あり

等価交換では、「立体借り換えの特例」という譲渡税の優遇措置を適用できます。

通常、土地を売却した場合、利益に対して譲渡税が課せられます。等価交換の場合でも、土地を開発業者に売却するという形になるため、基本的には譲渡税の対象です。しかし、この特例を適用することで譲渡税を繰り延べることが可能です。

適用には条件があり、繰り延べであるため税金の免税にはなりませんが、土地活用スタート時に税金が掛からないのは大きなメリットといえるでしょう。

知識がなくても土地活用しやすい

土地活用は開発業者と共同となり、基本的な工事や手続きは開発業者に任せられます。建築資金は不要なうえに土地活用や不動産の知識がなくても土地活用しやすいでしょう。

不動産の等価交換をおこなうデメリット

一方、等価交換にはデメリットもあるので、きちんと理解したうえで検討することが大切です。デメリットには、次のようなことがあります。

  • 自分がやりたくてもできない
  • 不動産の所有権が複雑になる

自分がやりたくてもできない

等価交換は、開発業者との共同事業になるため、そもそも開発業者が話に応じてくれなければスタートできません。そのため、開発業者にとって魅力的な土地を所有していることが前提ともなるのです。

いくら自分が等価交換したくてもパートナーがいなくてはスタートできず、できる人が限られている点はデメリットといえるでしょう。

不動産の所有権が複雑になる

等価交換では、土地・建物の所有権を開発業者などと複数で共有することになります。

契約後、土地を売却や建物の建て替えをしたい場合でも、自由にできなくなるので注意が必要です。また、相手が企業であるため、企業の経営方針や担当者の変更などに振り回されてしまうケースもあるので注意しましょう。

不動産の等価交換・土地売却・土地利用の判断は?

土地活用する際、等価交換・土地売却・土地利用どの方法を選べばいいのか判断に悩む方もいるでしょう。

ここでは、それぞれどのようなケースが向いているのかを紹介します。

等価交換が適しているケース

  • 土地活用したいけどリスクは小さくしたい
  • 手放してもいいけど、どうせなら土地の所有権は持っておきたい
  • 安定して収益を得たい
  • 活用したいけどあまり知識がなく手続きとかも不安

等価交換は、初期費用を抑えられるため、比較的低リスクな土地活用方法です。

土地を活用したいけど大きなリスクは負いたくない方には適しているでしょう。また、開発事業者と共同で事業を進めるので、土地活用を自ら行うことが負担と感じる方にもおすすめです。ただし、土地の所有権は一部を業者に渡すので、どうしても手放したくない場合は適していません。

土地売却が適しているケース

  • まとまった資金が欲しい
  • 活用が難しい土地
  • 土地の所有にこだわらない
  • 土地管理に時間と手間をかけたくない

土地にこだわりがなく活用などで管理の手間をかけるのが煩わしいなら、売却してしまうことをおすすめします。また、相続などのためまとまった資金が必要と言う場合も土地売却が向いているでしょう。

土地活用が向いているケース

  • 土地の所有権は絶対手放したくない
  • 不動産投資に興味がある
  • リスクがあっても高い収益を得たい

土地に愛着があるなど手放したくないケースや自分で活用したいという人は、土地活用がおすすめです。土地活用とは、アパートや駐車場などを建設して収益を得ることをいいます。

土地活用といっても様々な方法があり、それぞれ適している土地や収益性も異なるので、土地活用に興味がある場合は、一度専門家に相談しても良いでしょう。

おわりに

不動産の等価交換についてお伝えしました。

土地と建物の所有権を等価に交換して開発業者と事業する等価交換では、初期費用をかけずに土地活用が可能です。土地活用したいけどリスクを負いたくないといった方や、費用に悩んでいるという方は、等価交換を検討してみてはいかがでしょうか。

著者紹介

相続プラス編集部

相続に関するあらゆる情報を分かりやすくお届けするポータルサイト「相続プラス」の編集部です。相続の基礎知識を身につけた相続診断士が監修をしております。相続に悩むみなさまの不安を少しでも取り除き、明るい未来を描いていただけるように、本サイトを通じて情報配信を行っております。

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本記事の内容は、記事執筆日(2022年6月22日)時点の法令・制度等をもとに作成しております。最新の法令等につきましては、専門家へご確認をお願いいたします。万が一記事により損害が発生することがあっても、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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