相続登記全体にどれくらいの費用がかかるのかわからず、不安な方もいるでしょう。相続登記の費用は相続の内容によって変わるため、正確な費用を知るには一つひとつ確認していく必要があります。本記事では、費用の内訳や計算方法、費用が変動する要因について網羅的に解説しています。
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相続登記でかならずかかる費用
相続登記においてかならずかかる費用は、主に必要書類の取得費と登録免許税に分けることができます。ここからは、それぞれの費用の内訳について詳しく解説します。
なお、相続登記がどのような手続きなのか知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。相続登記の概要や相続登記の義務化などについて、詳しく解説しています。

必要書類の取得費用
相続登記申請に必要な書類と取得費用は、以下の表の通りです。
| 種類 | 費用目安(1通あたり) |
|---|---|
| 登記事項証明書 | 書面で請求:600円 オンラインで請求(送付受領):520円オンラインで請求(窓口受領):490円 |
| 印鑑登録証明書 | 200~350円 (自治体により異なる) |
| 戸籍謄本 | 450円 |
| 除籍謄本 | 750円 |
| 固定資産評価証明書 | 200~400円 (自治体により異なる) |
上記は相続人の存否や不動産の価額などを把握するために必要な書類であり、各書類の発行に一定の手数料がかかります。また、必要な書類の枚数は相続人の人数や不動産の数によって異なり、必要な書類が多いほど発行にかかる費用も高くなります。
これらの書類は、市区町村や法務局の窓口で発行できます。
なお、相続登記においてはほかにも登記申請書、相続関係説明図、遺産分割協議書といった書類が必要です。これらの書類は相続人が自分で作成することも可能であり、その場合は作成費用はかかりません。ただし、司法書士などの専門家に作成を依頼する場合には、報酬として費用が発生します。
相続登記に必要な書類について正確に知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

法務局への申請に必要な登録免許税
相続登記の申請は法務局で行いますが、その際には登録免許税の支払いが必要です。登録免許税とは、不動産の登記手続きを行う際に国へ納める税金のことをいいます。
登録免許税は、不動産の価額に一定の税率をかけて計算しますが、税率は財産の取得方法によって異なります。
ここからは相続によって財産が承継された場合と、遺贈によって財産が承継された場合に分けて、登録免許税の計算方法を解説します。
なお、登録免許税の詳しい計算方法や免税措置などについては、以下の記事でも解説しているので、こちらも参考にしてください。

登録免許税の計算方法
相続によって不動産を取得した場合、登録免許税は以下の計算式で算出します。
- 課税標準×0.4%=登録免許税
まず、課税標準には、固定資産課税明細書や固定資産評価証明書などに記載された金額を用い、1,000円未満の端数は切り捨てて計算します。と定められています。
例えば、固定資産課税台帳の価格が5,123,300円であった場合、1,000円未満を切り捨てた5,123,000円が課税標準となります。
そして、相続登記の登録免許税の税率は、定資産税評価額の0.4%と定められているため、課税標準に0.4%を掛けることで登録免許税を導くことができます。
実際にこの課税標準を用いて登録免許税を計算すると、以下のようになります。
5,123,000円×0.4%=20,492円
登録免許税は、計算結果の100円未満を切り捨てるルールとなっているため、100円未満の端数を切り捨て、20,400円が登録免許税となります。
相続人以外への遺贈なら税率2%
遺贈とは、遺言によって特定の人や団体へ財産を譲り渡すことであり、相続人以外の人へ財産を譲りたい場合に活用されます。遺贈の場合、相続とは登録免許税の税率が異なり、課税標準に対して2%の税率をかけて計算します。
- 課税標準×2.0%=登録免許税
例えば、課税標準が5,123,000円であった場合、登録免許税は以下のようになります。
5,123,000円×2.0%=102,460円
上記の計算結果から先ほどと同じように100円未満の端数を切り捨て、登録免許税は102,400円となります。
相続登記は自分でできる?
相続登記の手続きは、司法書士などの専門家に依頼せず相続人が自分で行うことも可能です。自分で手続きを行えば専門家へ報酬を支払う必要がないため、費用を節約できるというメリットがあります。
そのため、費用をできるだけ抑えて相続登記をしたい場合、自分で手続きを行うという選択肢も考えられます。
ただし、すべての手続きを自分で行うとなると、戸籍謄本の収集や必要書類の作成、法務局への申請手続きなどをすべて自分で進める必要があるため負担が大きく、登記申請書の作成や相続関係の確認などは専門的な知識が求められるため、法的な知識がないと難しい部分もあります。
ここからは、一部の手続きを相続人が自分で行い、専門家へ依頼する費用を抑える方法について解説します。
自分で戸籍謄本を収集する
自分で戸籍謄本を収集すれば、専門家へ依頼する費用を抑えられます。
相続登記を行う際は、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式と、法定相続人全員の戸籍謄本の収集が必要です。これらは、本籍地のある市区町村の窓口で取得することができます。なお、転籍や制度改製によって戸籍謄本が新しく作り直されている場合には、その前の戸籍謄本も遡って取得しなければなりません。
本籍地が遠方にある場合は、広域交付制度などを活用して収集するのがおすすめです。
自分で戸籍謄本を収集する
遺産分割協議書とは、遺産分割協議で合意した内容を書面にまとめたものです。弁護士や司法書士に遺産分割協議書の作成を依頼できますが、自分で作成すれば専門家へ依頼する費用を抑えることができます。
遺産分割協議書には、誰がどの財産を相続するかを正確に記載すればよく、専門家でなくとも自分で作成することは可能です。ただし、代襲相続や数次相続といった特殊な相続が発生している場合、法的な知識がなければ正しく作成することが難しい場合もあります。
内容に不備があると、正しい相続登記ができなくなる可能性があります。それに伴って遺産分割協議が無効になるリスクも存在するので、代襲相続や数次相続など、相続関係が複雑な場合は専門家への依頼をおすすめします。
司法書士への依頼がおすすめ
相続登記の手続きを自分で行うには、戸籍謄本の収集や遺産分割協議書の作成だけでなく、登記申請書の作成から法務局への申請までをすべて行わなければなりません。
また、2024年(令和6年)の相続登記義務化に伴い、不動産の取得を知った日から3年以内に相続登記の手続きを行なわなければならなくなりました。正当な理由なく登記を怠ると10万円以下の過料が科される可能性があります。そのため、手続きや期限に不安がある場合には、司法書士への依頼も検討しましょう。
司法書士に依頼すれば、必要書類の取得から登記申請まで、相続登記に関する手続きを代行してもらえます。相続プラスでは相続に強い司法書士をご紹介しているので、司法書士をお探しの際はぜひ下記のページをご利用ください。
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また、相続登記の手続き方法や期限などについても、以下の記事で詳しく解説しています。

相続登記の手続きを司法書士に依頼する際の費用相場

日本司法書士会連合会による2024年のアンケートでは、相続登記の手続きにかかる司法書士の平均報酬額は、74,888円と公表されています。ですが、司法書士報酬は依頼する業務の内容や規模、状況によって異なってくるので、一概にこの金額になるとは限りません。なぜなら、業務の内容や規模、状況によって、相続人の調査や戸籍の収集、登記申請書の作成などの作業量が異なるためです。
そこで、以下では司法書士報酬の内訳について、通常の金額と報酬が増える要因について解説します。
通常の場合
相続登記の手続きにかかる司法書士報酬の平均は74,888円ですが、アンケート結果をみると、5~6万円以内の報酬に収まっているケースが最も多く、いわゆるボリュームゾーンにあたることがわかります。
このように、本来のボリュームゾーンよりも平均額の方が高くなっている理由としては、9万円~12万円といった比較的高額な案件が一部存在することで、平均値が押し上げられているためであると考えられます。このことから、9万円~12万円の高額な案件は、準ボリュームゾーンにあたるといえるでしょう。
このように、平均額は実際にかかる金額とかならずしも一致するわけではないため、平均はあくまで目安と考えておくとよいでしょう。
報酬が増える場合
一般的に、司法書士の報酬額が増える理由としては、以下のような要因が考えられます。
- 相続登記をする不動産が多い
- 相続登記をする不動産の評価額額が高い
- 法定相続人の数が多い
- 遺産分割協議書の作成も依頼したい
- 収集する戸籍謄本の数が多い
- 兄弟姉妹間の相続や代襲相続等が発生し、相続関係が複雑
これらは「不動産や相続人の数が多い」「不動産の価額が高い」「相続関係が複雑」といった事情を含んでいます。
そして、このような事情があると、相続登記の手続きの工数が増えるため、それに伴って司法書士へ依頼する費用も高くなるのが通常です。具体的な料金設定については、依頼する司法書士へ直接確認するようにしましょう。
相続登記費用の計算シミュレーション
相続登記にかかる費用の計算について、以下の事例をもとにシミュレーションしてみましょう。
- 不動産が土地1筆と建物1棟、相続人が3名
- 「固定資産税評価額」は土地が2,800万円、建物が900万円
- 「必要書類」は除籍謄本と戸籍謄本、住民票固定資産税評価証明書で合計取得費用が4,800円
本事例では、不動産が土地1筆と建物1棟、相続人が3名で遺産分割協議が必要なケースを想定しています。このような一般的な相続登記では、登記申請手続き一式の基本報酬として7万4,800円程度、戸籍謄本の収集については相続人調査に必要な戸籍を取得する作業費用として1万9,800円、遺産分割協議書の作成については協議内容を文書化する業務として1万3,200円程度の費用が設定されます。
そのため、司法書士への報酬は下記のような条件を想定します。
- 基本報酬:7万4,800円
- 戸籍謄本の収集:1万9,800円
- 遺産分割協議書の作成:1万3,200円
まず、固定資産税評価額をもとにして登録免許税を計算すると、以下のようになります。
(2,800万円+900万円)×0.4%=14万8,000円
そして、上記の登録免許税に司法書士報酬を加算すると、下記のようになります。
14万8,000円(登録免許)+4,800円(書類取得費用)+(7万4,800円+1万9,800円+1万3,200円)=26万600円
したがって、この事例における相続登記にかかる費用の合計は26万600円となります。
相続登記の費用は免税措置で減らせる可能性がある
先ほどのシミュレーションからもわかる通り、相続登記の費用の中でも登録免許税は大きな割合を占めます。そのため、相続登記の費用を抑えるには、登録免許税の免税措置を活用するのが効果的です。
ここからは、登録免許税の免税措置制度を2つご紹介するので、要件に該当する場合には積極的に免税措置を活用してください。
相続により土地を取得した人が相続登記をしないで亡くなった場合の免税措置
個人が相続によって土地の所有権を取得し、土地の相続登記を完了する前に亡くなった場合、相続登記にかかる登録免許税は非課税となります。本免税措置は、2018年(平成30年)4月1日から2027年(令和9年)3月31日までの間に行われる相続登記について適用されます。
本免税措置が適用されるのは、例えば登記名義人となっている被相続人Aから相続人Bへと土地の所有権が移り、Bが相続登記をしないまま亡くなって、Cが土地を相続するという場合です。この場合、AからBへ土地の名義を変更するための相続登記に関しては、登録免許税が発生しません。
ただし、Bへの登記を省略できるわけではなく、AからBへの相続登記とBからCへの相続登記はそれぞれ行う必要があります。このうち、AからBへの相続登記については登録免許税が課されないということであり、登記の手続き自体を飛ばしてよいわけではありません。
なお、Cはかならずしも相続によって土地を取得している必要はありません。例えば、Bが生前にその土地を売却した相手がCであったとしても、同じようにAからBへ土地の名義を変更する相続登記は免税されます。
100万円以下の土地の場合の免税措置
土地について相続・遺贈による相続登記を行う場合、不動産の価額が100万円以下の土地であれば、登録免許税がかかりません。この制度は、先ほどの相続登記をしないまま亡くなった場合の免税措置とは別の制度ですが、同じく2018年11月15日から2027年3月31日までの間に相続登記を行う土地が対象となります。
なお、不動産の持分を相続した場合は、不動産全体の価額に持分の割合を乗じて計算した額が不動産の価額となり、その価額が100万円以下であれば本免税措置の適用対象となります。
相続登記の費用についての補足解説
相続登記の費用について、事前に確認しておいたほうがよい点をまとめました。相続手続きは慣れない方にとって負担が大きく感じられることもあるため、費用について確認すべき点を以下で紹介します。
相続登記の費用は誰が払うのか?
実務上は不動産を取得する人が費用を負担するのが一般的ですが、相続登記の費用を誰が支払うかについて、法律上の決まりはありません。
例えば複数人で不動産を取得する場合、相続人同士の話合いで負担割合を決めることもあります。また、相続人が未成年であった場合などは、親が代わりに費用を支払うこともあります。
相続登記の費用を誰が支払うかは、相続する財産の内容や相続人の属性によっても様々です。
不動産の価値が高いほど、相続登記の費用も高額になるため、誰が費用を負担するかということはトラブルの原因にもなります。そのため、遺産分割協議の段階でよく相談して決めることが重要です。
相続登記の費用はいつ払うのか?
必要書類の収集に関しては、市区町村や法務局の窓口で書類を発行する際に支払います。登録免許税は、登記申請書を提出する際に収入印紙を添付して支払います。
司法書士へ支払う報酬に関しては、依頼する司法書士によって異なりますが、契約時に支払うというのが一般的です。ただ、依頼する手続きが複数ある場合には、手続きごとに費用を支払う方法が認められる場合もあります。
このように、費用を支払うタイミングは手続きや司法書士への依頼状況ごとに異なるため、あらかじめ支払い計画を立てておくことで、相続手続き全体が滞ることなく円滑に進めやすくなります。
経費として計上できるか?
相続登記にかかる費用は、不動産所得や譲渡所得の申告時に必要経費として計上できます。対象となるのは登録免許税と専門家へ支払う報酬であり、登録免許税は租税公課、専門家の報酬は支払手数料として計上するのが一般的です。
また、戸籍謄本や固定資産評価証明書などの書類収集にかかる費用も、一般的には租税公課として経費に計上できると考えられています。
なお、複数の不動産の相続登記を行ったうえで一部を売却する場合などは、土地と建物の評価を按分して計算する必要があり、計算方法が複雑になります。このような難しい計算を含む場合は、相続問題に強い税理士と相談しながら経費を計上するのがおすすめです。
誰に相談すればよいのか?
相続登記に関する問題は、登記の専門家である司法書士へ相談するのが一般的です。ただし、遺産分割協議でのもめごとであれば弁護士に、相続税に関する問題は税理士に相談する必要があり、相談内容によって適切な相談先は異なります。
また、相続登記にかかる費用を抑えたい場合は、相続に関する無料相談会を活用するという方法もあります。無料相談会は法務局や市区町村、司法書士会、土地家屋調査士会などが主体となり、随時開催されています。
相続登記に詳しい専門家に相談すれば、自力で手続きが可能かどうかの判断や、免税措置の適用可否などのアドバイスが受けられるので、まずは無料相談を活用してみるとよいでしょう。
相続登記の費用を理解が大事
相続登記の費用は、主に必要書類の取得費用、登録免許税、司法書士へ依頼する場合の報酬の3つに分けられます。特に登録免許税は固定資産税評価額をもとに計算されるため、不動産の価額によって費用が大きく変わります。
司法書士へ依頼する場合の報酬は、依頼する業務内容や相続人の数、不動産の数などによって変動します。戸籍収集や遺産分割協議書の作成まで依頼する場合には、費用が増えることもあるため、事前に見積もりを確認しておきましょう。
相続登記は2024年の法改正により義務化されており、不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。費用の内訳や相場を理解したうえで、自分の状況にあった方法で手続きを進められるよう準備をしておきましょう。
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