相続は誰に相談すべき?弁護士や税理士などパターン別相談先をご紹介

公開日:2024年8月7日

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「相続の相談なら弁護士」と考えている人も多いでしょう。しかし、弁護士だけが相談先ではありません。弁護士や税理士など士業の専門家でも取り扱う分野が異なるので、内容に合わせて適切な相談先に相談することでスムーズな解決が図れます。この記事では、相続のこまりごとの代表的な「相談先」について、分かりやすく解説します。

パターン別相談先の一覧

相続の代表的な相談先としては弁護士などの士業があります。まずは、一覧で相談先と相続でよくあるお悩みの解決の可否について確認しましょう。

パターン別相談先の一覧のイメージ

相談内容によって適切な相談先は異なるものです。この相談先では不動産の名義変更はできるけど、相続税の説明はできないなど、相談先によって解決できることは違ってくるので注意しなければなりません。

以下では、相談先と解決できるトラブルを詳しく解説していきます。

パターン別相談先の詳細

ここでは、パターン別の相談先について見ていきましょう。

相続のトラブルに関する相談なら弁護士

相続をめぐって相続人間でトラブルが発生した場合やトラブルになりそうな場合は、弁護士に相談するとよいでしょう。

相続でのトラブルは、調停や審判・裁判などの手続きが必要になる場合があります。これらの法的な手続きができるのは弁護士のみです。

また、法的な手続きまで発展しない場合でも、相手方との交渉を本人に代わってできるのは弁護士となります。

<弁護士で解決できる事例>

  • 遺産分割の内容で意見が割れている
  • 遺言書の無効を主張する相続人がいる
  • 遺留分が侵害された
  • 前妻(夫)との子供や非嫡子がいる
  • 相続財産に多額の借金がある
  • 相続をめぐって紛争になっている

上記のように相続をめぐって対立が起きている場合や、相続人が複雑・訴訟が起きそうという場合は弁護士に相談することをおすすめします。また、弁護士では遺言書の作成や財産調査・トラブル解決ならトラブル解決など、相続を一貫してサポートすることも可能です。

ただし、弁護士は費用の高さがデメリットとなります。トラブル解決が長期に渡ると費用も高額になる恐れがあるので、注意しましょう。費用の面で弁護士を躊躇している場合やどの弁護士事務所を頼ればいいのか分からないという場合は、「法テラス」をまず利用するのもおすすめです。

法テラスとは、国により設立された法的なトラブル解決のための窓口です。無料で相談でき、トラブルに対して必要な手続きや専門機関を紹介してくれます。

一定の基準の収入以下等の条件を満たした人なら、無料の法律相談や弁護士などの専門家に依頼が必要な場合の料金の一時的な立替を受けることも可能です。

専門家への依頼にハードルの高さを感じているなら、一度法テラスで相談してみるとよいでしょう。

「弁護士の費用」について、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

不動産の相続登記なら司法書士

相続業務に関して司法書士と他の士業との大きな違いは「不動産登記できるか」という点です。不動産登記手続きができるのは司法書士のみなので、相続財産に不動産が含まれる場合は司法書士に相談するとよいでしょう。

<司法書士で解決できる事例>

  • 不動産の名義変更をお願いしたい
  • 相続放棄など裁判所への手続きのサポートをしてもらいたい
  • 相続登記と合わせて遺産分割協議書を作成してもらいたい

相続財産に不動産が含まれるケースは多いものです。

相続財産が不動産以外にもある場合は、他の名義変更を別の仕業に依頼しても不動産に関することは司法書士に依頼しなければならなくなります。司法書士なら他の財産の名義変更もできるので、依頼の二度手間を防げるでしょう。

ただし、司法書士の中には相続に関する知識・実績が少ない人もいるので注意が必要です。また、不動産の相続でもトラブルに発展している場合は、司法書士では交渉などの対応はできないので弁護士へ相談するようにしましょう。

「不動産の相続」や「司法書士」について、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

「弁護士と司法書士で迷った場合」について、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

相続税の申告などの相談なら税理士

相続が発生すると、場合によっては高額な相続税が課せられることもあります。

相続税は申告して納税するため、申告書の作成・提出が必要です。相続税には各種特別控除が用意されているので、適用して節税することもできます。

しかし、相続税の申告方法やどのような控除があるのかよく分からないという人もいるでしょう。そのような場合に、相談すべき相談先が税理士です。

<税理士で解決できる事例>

  • 特別控除を利用して節税したい
  • 相続財産に不動産が多く高額だ
  • 相続財産の評価額を正しく知りたい
  • 相続税の申告をまかせたい

このような税務面に関する相談は税理士が適切でしょう。特に、相続税の申告手続きは税理士しか対応できません。

ただし、税理士なら誰でも相続に対応しているわけではない点に注意しましょう。相続税の計算は複雑で、相続の知識・経験が少ない税理士では、結果的に税金が高くなってしまうことや時間がかかる恐れもあるので、注意しましょう。

また、相続税の納税期限は相続開始の翌日から10か月以内です。期限ぎりぎりで税理士に相談しても間に合わない恐れもあるので、相談するなら早めに相談するようにしましょう。

相続税は、相続財産が少ない場合など発生しないケースも多くあります。相続税が発生しない、相続財産が単純と言った場合なら、税理士に依頼する必要がなかった、という可能性もあります。

税理士費用を抑えたい場合などでは、無料相談や税務署の相談窓口を利用するのもおすすめです。

「税理士の費用」について、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

書類作成の代行や許認可手続きなら行政書士

大まかな相続の手続きは自分でできるけど、書類を集めたり作成するなどピンポイントの部分でサポートが欲しい場合は、行政書士がおすすめです。

<行政書士で解決できる事例>

  • 遺産分割協議書の作成
  • 戸籍謄本などの書類を集めて欲しい
  • 自動車の名義を変えて欲しい
  • 金融機関の手続きだけして欲しい

行政書士では、不動産の名義変更や裁判所に提出する書類の作成・相続税の申告などはできません。しかし、他の仕業に相談するよりも費用を抑えられるというメリットがあります。

これらの手続きがないような相続で、費用を抑えて専門家に相談したい場合は行政書士がよいでしょう。

まずは相続全般を無料で相談したいなら市や役所

専門家に相談するのは費用が気になる、専門家に相談してもいいのか分からないという場合は、自治体の相談窓口を利用するのをおすすめします。自治体の役所などには、無料の相続相談やセミナーが開催されているので、気軽に相談することができます。

<役所の無料相談で解決できる事例>

  • 相続に漠然とした不安がある
  • どこに相談すればいいのか分からない
  • いきなり専門家に相談するのはハードルが高い

市役所の相談窓口なら気軽に相談しやすいというメリットがあります。ただし、相談回数や時間に制限がある場合がほとんどなので注意しましょう。

また、市役所の相談窓口では具体的な内容まで相談できない場合もあります。相談窓口では、どのような手続きが必要かを知ることはできますが、実際の手続きになると専門家に依頼する必要があります。

高額な資産を持っている、運用などに関しては銀行

高額な資産を相続した場合の運用方法や口座の相続手続きを知りたいといった場合は、銀行に相談するとよいでしょう。

<銀行で解決できる事例>

  • 口座の相続手続きが必要
  • 相続財産を運用したい

銀行によっては相続に関する無料相談を開催している場合もあります。また、相談ごとに対して銀行が提携する専門家が代行してくれるサービスがある場合もあるので、そのようなサービスを利用すれば、それぞれの専門家に相談しなくても相談先を銀行に一本化可能です。

しかし、銀行で相続に関する手続きをしてもらうと費用が高額になる場合があります。相続財産が高額で費用を気にしないという場合は銀行でもよいでしょうが、費用を抑えたいという場合は適していないでしょう。

無料相談の場合は時間との勝負!下準備が大切

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それぞれの士業では、相続に関する無料相談を受け付けているものです。しかし、無料相談は初回のみや1時間までなど、回数や時間に制限があります。

その制限の中で、効率よく相談したいなら下準備をしっかりしておくことが大切です。

  • 相談したい内容を事前にまとめておく
  • 遺言書や遺産分割協議書などの資料は持参する
  • 遺産財産や相続人についてまとめておく

単純な相談であっても、いざ専門家を前にすると何を相談したかったのか分からなくなる場合もあります。相談したいことを具体的にメモなどにまとめておくことで、相談もれをなくすことが可能です。

限られた時間内できちんと相談できるように、準備を入念にしてから相談に臨むようにしましょう。

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自分の状況に合わせた専門家に依頼しよう

相続に関する相談先についてお伝えしました。

相続の相談は、内容によって相談すべき相談先が異なります。相続トラブル解決なら弁護士・相続税なら税理士、不動産登記なら司法書士というように、解決できる事柄が異なるので、適切な相談先を判断できるようにしましょう。

いきなり専門家への相談に躊躇している場合や、ちょっと聞きたいという場合は、市役所や各士業が解説している無料相談を利用するのがおすすめです。無料相談は時間や回数が限られているので、効率よく相談できるようしっかりと準備する必要があります。

この記事を参考に、適切な相談先を見つけてスムーズに相続できるようにしましょう。

記事の著者紹介

逆瀬川勇造(ライター)

【プロフィール】

金融機関・不動産会社での勤務経験を経て2018年よりライターとして独立。2020年に合同会社7pockets設立。前職時代には不動産取引の経験から、相続関連の課題にも数多く直面し、それらの経験から得た知識など分かりやすく解説。

【資格】

宅建士/AFP/FP2級技能士/相続管理士

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本記事の内容は、記事執筆日(2024年8月7日)時点の法令・制度等をもとに作成しております。最新の法令等につきましては、専門家へご確認をお願いいたします。万が一記事により損害が発生することがあっても、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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