不動産における固定資産評価証明書とは何? 申請、取得方法などを網羅的に解説!

更新日:2023年3月23日|公開日:2022年5月26日

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マイホーム購入後の維持費の1つである固定資産税。この固定資産税額を正式に証明するために「固定資産税評価証明書」という書類があるのはご存知でしょうか。毎年支払いのために市町村から送られてくる通知とは異なり、固定資産税評価証明書は各市区町村の役場にて申請しないと受け取れない書類です。不動産にまつわる申請や申告を行う際には、この固定資産評価証明書の提出を求められることがありますが、これはなぜなのでしょうか。今回は、固定資産評価証明書の内容や、取得方法について解説します。

不動産の固定資産評価証明書とは


固定資産評価証明書は、固定資産課税台帳に登録されたさまざまな事項を証明するために存在する書類です。固定資産を所有していると、固定資産税を納める必要が生じますが、この税額を計算するためには課税標準額の算出が必要になります。この価格を明らかにするために、各市町村が備えているのが固定資産課税台帳であり、土地課税をはじめとする5種類の台帳によって構成されています。

固定資産課税台帳を個人で勝手に使用することはできませんが、その代わりに、各種証明が必要な場合に取得できる書類が固定資産評価証明書です。固定資産評価証明書には以下のような情報が記されており、その内容は原則として固定資産課税台帳に記されているものと変わりありません。

  • 固定資産の所有者
  • 所在地
  • 土地の地名や地積
  • 家屋の種類や構造、床面積
  • 固定資産評価額
  • 課税標準額
  • 取得できる人

固定資産評価証明書を取得できるのは、基本的にその情報に記されている固定資産を所有している人物、あるいはそれに準ずる人物に限られます。特定の固定資産と無関係な人物が勝手に取得・閲覧することはできないので、例えば友人や同僚、上司などの固定資産評価証明書を取得することはできません。

具体的には、以下の人物に限って固定資産評価証明書の取得が認められています。

  • 固定資産税の納税義務者(共有者を含む)
  • 固定資産税納税義務者の相続人
  • 借地人
  • 借家人
  • 土地や建物の権利を有する人物
  • 訴えを提起する人物
  • 総務省令で定められた正当な理由を有する人物
  • 賦課期日後の所有者
  • 本人から委任された代理人

要約すると、土地や建物を所有している本人かその相続人、その土地や建物の所有権をもつ人物と、その他の特別な理由をもつ人物だけが固定資産評価証明書を取得できます。最後の項目の「賦課期日後の所有者」とは、相続登記の期日が切れた時点で、所有者として暫定的に認められた人物のことを指しています。

取得できる場所

固定資産評価証明書を取得できる場所は、お住まいの地域によって異なるので、それぞれの地域の事情を調べる必要があります。特殊な形式を取っている自治体が東京都で、23区内の場合は都税事務所で取得できますが、23区外の場合は各市町村の役場で取得するように求められています。

利便性が高い自治体として知られているのは大阪市で、市税事務所や区役所のほか、コンビニエンスストアで取得することも可能です。横浜市の場合、最新の固定資産評価証明書は各区役所で入手できる一方で、過去分についてはその固定資産を管轄する区役所でしか入手できません。

また、受付時間内に申請を行えない場合などには、郵送で取得することもできます。この場合の具体的な方法については後述するので、この後の項目をご参照ください。

不動産の固定資産評価証明書はどんなときに必要?


固定資産評価証明書は、主に以下で紹介する3つのケースで必要になります。

不動産登記の申請を行う場合

不動産を取得したときや所有している不動産の住所変更、所有者の名義変更を行うとき、住宅ローンを完済したとき、相続するときには不動産登記が必要です。また、建物を取り壊したときにも不動産登記が必要で、その際には固定資産評価証明書の添付が必要になります。

相続税や贈与税の申告をする場合

不動産を相続した場合や、贈与を受けた場合には、所定の相続税や贈与税の支払い義務が、新しく不動産を所有した人物に課せられます。この申告にも固定資産評価証明書の添付が求められるため、納税の前にも取得する必要が生じます。

不動産に関する訴訟に関与した場合

不動産執行申立てなど、不動産に関する訴訟を行う際には、不動産価格等を明確にするために固定資産評価証明書が必要になります。また、各ケースで求められる固定資産評価証明書の年度が異なることにも注意が必要なので、以下で確認しておきましょう。

  • 不動産登記申請・・・申請する日の年度の固定資産評価証明書
  • 相続税の申告・・・相続開始年度の固定資産評価証明書
  • 贈与税の申告・・・贈与を受けた年度の固定資産評価証明書

過去5年よりも前にさかのぼる固定資産評価証明書を取得することは難しいため、それぞれの申請や申告はできる限り早く行うことがポイントです。

不動産の固定資産評価証明書の窓口での取得方法


固定資産評価証明書を取得する方法は、自治体が指定する窓口などを利用するか、郵送を利用するかのいずれかになります。ここからは、取得する際に必要な書類についても併せてご紹介します。

固定資産評価証明書は、市区町村が指定する役所や出張所、自治体によってはコンビニエンスストアで取得できます。窓口や場所は自治体によって異なるので、各自治体のホームページ等から情報を収集し、対応窓口を探しましょう。請求する際にはいくつかの書類が必要になるので、以下の書類を忘れずに窓口まで持参してください。

窓口で申請を行う人の本人確認書類

顔写真付きの書類が求められるため、運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなどが必要になります。顔写真付きの書類がない場合、健康保険証や年金手帳、介護保険証、老人医療証といった書類を2点持参しましょう。

法人申請の場合、法人代表社印

法人が申請を行う場合に限り必要になりますが、委任状を提出する必要はなく、代表者が申請する必要もありません。

委任状(本人以外が申請する場合)

請求する固定資産評価証明書に記載されている名義人以外の人物が窓口で申請する場合に限り、委任状が必要です。

固定資産評価証明書等請求書

口頭で申請を行うことはできないため、こちらの書類に必要事項を記入し、上記の3点と合わせて窓口に提出します。記載する内容は、請求者の氏名や住所、固定資産の住所などで、いずれも比較的簡単に確認して記載できる項目です。

証明手数料

書類取得の申請には300円の手数料がかかり、通常は現金での支払いになるため、忘れずに持参しましょう。

郵送での取得方法


郵送で申請する場合には、提出する各市区町村のホームページから申請書をダウンロードできるため、プリントアウトした上で必要事項を記入します。添付する書類はすべてコピーで構いませんが、窓口で提出するものとは内容が異なるため注意しましょう。

必要書類は以下のとおりです。

  • 記入済の申請書
  • 手数料(定額小為替)
  • 返信用の切手を貼り付けた封筒
  • 必要書類

必要書類については、本人が申請する場合、送付先住所が確認できる、官公署発行の書類の写しが必要です。相続人が申請する場合は、上記に加えて相続人の戸籍謄本、被相続人の除籍謄本の写しが必要です。

代理人が申請する場合は、送付先住所が確認できる官公署発行の書類と、委任状・同意書・代理人選任届等の原本を同封します。なお、必要な書類と手数料は自治体によって異なる場合があるため、書類を郵送する前に念のため確認しておきましょう。

まとめ


不動産の固定資産評価証明書には、固定資産の所在地や所有者、評価額などが記載されており、相続や名義変更などの際に取得する必要があります。各自治体が指定している窓口のほか、郵送でも書類を取り寄せられるので、本記事に記載した取得方法を参考にしながら申請を行いましょう。

著者紹介

相続プラス編集部

相続に関するあらゆる情報をわかりやすくお届けするポータルサイト「相続プラス」の編集部です。相続の基礎知識を身につけた相続診断士が監修をしております。相続に悩むみなさまの不安を少しでも取り除き、明るい未来を描いていただけるように、本サイトを通じて情報配信を行っております。

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本記事の内容は、記事執筆日(2022年5月26日)時点の法令・制度等をもとに作成しております。最新の法令等につきましては、専門家へご確認をお願いいたします。万が一記事により損害が発生することがあっても、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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