相続登記はどこの法務局に行けばいいの?相続における法務局の立ち位置や書類の提出や申請まで解説します

公開日:2025年7月24日|更新日:2026年7月15日

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不動産を相続する場合、法務局で相続登記手続きをする必要があります。法務局は「誰がどの不動産を所有しているのか」を管理しています。相続登記の手続きをしないままだと第三者に権利を主張できません。本記事では、法務局の役割や相続登記の申請手続きの流れについて解説します。どこの法務局で手続きすればよいかわからない場合にも役に立つ内容となっています。不動産を相続した方や相続する予定のある方は、ぜひ最後まで読んでくださいね。

法務局とは?

国民の財産や身分関係を守るために、登記、戸籍、国籍、供託といった民事行政事務を行っています。また、国の利益に関係する訴訟活動である訟務事務や、国民の基本的人権を守る人権擁護事務も担当しています。

法務局の組織は、全国を8つのブロックに分けて各ブロックに1つの法務局が設置されています。その下に都道府県単位に地方法務局が設置されています。

参照:法務省:法務局・地方法務局所在地一覧

 

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法務局で行われる申請や手続きとは?

法務局でできることは、国民の財産と権利を守るための事務処理です。事務処理が必要な事柄が出てきた場合に、国民は法務局で申請や手続きをしなければなりません。

ここでは、法務局で行われる主な申請や手続きについて解説していきます。

不動産登記

法務局と聞いて馴染みのある手続きは、不動産登記ではないでしょうか。不動産登記とは、不動産に関する情報が変わった場合に行う手続きです。

不動産登記と一口に言っても、下記のような多くの登記の種類があります。

  • 建物表題登記
  • 所有権保存登記
  • 所有権移転登記
  • 抵当権設定登記
  • 抵当権抹消登記
  • 相続人申告登記

建物表題登記

建物表題登記とは、建物を新築した場合に行う「表題部」を新たに作成するための登記です。

不動産登記には大きく「表題部」と「権利部」の2つがあり、表題部には不動産の物理的状況が詳しく記録されます。記載される項目は、土地と建物とで異なります。

不動産の種類記載される項目
土地・所在
・地目
・土地面積建物
建物・家屋番号
・種類
・建物の構造

所有権保存登記

所有権保存登記とは、登記されていない不動産にはじめて所有者を設定するための登記です。建物を新築した場合に行うことが一般的です。

先述の通り、不動産登記には表題部と権利部の2つがあり、権利部には不動産の権利関係が詳しく記録されます。

権利部には「甲区」「乙区」の2つに分かれており、下記のように記載される内容が異なります。

  • 甲区:所有者に関する権利
  • 乙区:所有者以外に関する権利(抵当権や地上権など)

所有権移転登記

所有権移転登記とは、不動産の所有者が変わったときに新たな所有者を設定するための登記です。主に、売買や贈与、相続によって手続きが行われます。

相続したときに行う不動産の名義変更を「相続登記」と呼びますが、実際に法務局で行う正式な手続きは、所有権移転登記になります。所有権保存登記で甲区欄に記載された所有者の氏名や住所が、新しい所有者のものに変更されます。

所有権移転登記を行わなければ、正式に不動産の所有権が旧所有者から新所有者へ移転しません。新所有者は、所有権移転登記の手続きを完了させたあとから、法的な所有権を第三者に主張できるようになります。

抵当権設定登記

抵当権設定登記とは、不動産に抵当権を設定するための登記です。抵当権については、権利部の「乙区」に記録されます。

抵当権とは、住宅ローンや事業資金の借入れをするときなどに、金融機関が不動産を担保として設定する権利です。債務者が返済できなくなったときに債権者はその不動産を売却して、売却代金を返済金に充てることができます。

抵当権抹消登記

抵当権抹消登記とは、設定された不動産の抵当権を抹消するための登記です。住宅ローンや事業資金の借入れを返済し終えたとしても、自動的に抵当権が抹消されるわけではありません。

なお、抵当権抹消登記をすると、権利部の「乙区」における抵当権についての記載が抹消されます。

相続人申告登記

相続人申告登記とは、不動産を相続するときに相続人が自分であることを申し出るための登記です。相続人申告登記をすると、申し出た相続人の氏名や住所が記載されます。

相続人申告登記は、2024年(令和6年)4月1日よりスタートした相続登記の義務化とあわせて新しく設けられた制度です。相続登記は、原則不動産を相続した事実を知ってから3年以内に行わなければならず、義務を果たさなければ10万円以下の過料を科される可能性があります。

しかし、「遺産分割ができない」「相続人が把握できない」などの理由から、相続登記がすぐにできない相続人も少なくありません。そのような方々でも相続人申告登記をすれば、相続登記の申請義務を履行したものとみなされます。

そのため、相続人申告登記は相続人登記がすぐにできない方々のための救済措置として活用できます。

「相続人申告登記」について、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

自筆証書遺言書保管制度

自筆証書遺言書保管制度とは、自筆で作成した遺言書を法務局に保管できる制度です。

自筆証書遺言書として効力を認められるには、民法で定められた形式を守らなければなりません。自筆であることはもちろん、訂正方法や封の仕方などにも細かなルールがあります。1つでもルールを守らない場合、遺言書としての効力が発揮されず、思い通りの遺産分割をしてもらえないでしょう。

自筆証書遺言書保管制度を活用すれば、民法で定められた形式に適合しているかを確認したうえで預かってもらえるため、無効となるリスクを軽減できます。

また、自宅に遺言書を保管していた場合、紛失や利害関係者による破棄・隠匿・改ざんなどのリスクがあります。しかし、自筆証書遺言書保管制度を利用すれば原本は遺言者死亡後50年間、画像データは遺言者死亡後150年間保管されます。

通常、自筆証書遺言書を相続人に残した場合、本来開封する前に家庭裁判所において検認を行わなければなりません。検認をして、ようやく遺言書の内容の確認ができます。

しかし、自筆証書遺言制度で法務局で保管すれば検認の必要がありません。そもそも、「遺言書をさがす」という作業の必要もないため、相続人は円滑に遺産分割に移行することができます。

筆界特定制度

筆界特定制度とは、隣の土地との境界(筆界:公法上の境界)がどこなのか分からなくなってしまった場合に、法務局が調査して現地における境界の位置を特定する制度です。

土地の所有者が法務局に申請すると、専門家である筆界調査委員の意見を踏まえ、登記官がデータをもとに境界を特定します。主に裁判をすることなく、境界を巡るトラブルを早期に解決するための手段として利用されています。

商業・法人登記

商業・法人登記の制度とは、会社などに関する取引上重要な事項(商号・名称、所在地、代表者の氏名など)を、法務局の職員(登記官)が専門的な立場から審査し、コンピュータに記録したうえで、その内容を一般の方に公開する制度です。この制度により、会社などの信用を維持し、取引相手が安心して取引できる環境を整えることを目的としています。

戸籍事務

出生届や婚姻届など、戸籍に関わる手続きは通常、市区町村役場で事務手続きを行われます。しかし、全国で統一された手続きと事務処理がされるよう、法務局は市区町村役場に対して助言・勧告・指示を行っています。

成年後見登記に関する事務

成年後見制度とは、認知症や精神障がい、知的障がいなどによって十分な判断能力を持たない人を保護・支援するための制度です。

成年後見制度を利用するには、後見人を選任するために家庭裁判所で申立てを行います。法務局では、成年後見制度によって家庭裁判所で選任された法定後見人や契約による任意後見人を登録し、公にするための事務を担っています。

国籍事務

日本以外の外国国籍を持つ方が日本国籍を取得するには、帰化による法務大臣の許可申請や、日本国籍の取得の届出を行う必要があります。その窓口が法務局となっています。

供託

供託とは、国の機関である供託所に金銭や有価証券などを預け、家賃や地代などを支払ったことと同じ扱いを受ける制度です。

例えば、賃貸不動産の大家が行方不明になり、家賃が払えなくなったとします。しかし、放置して家賃を支払わないままでいると、賃貸借契約が解約される可能性があります。そこで、供託所へ家賃に相当する金銭を預けることにより、債務不履行の責任に問われなくなります。

なお、供託所は法務局に設置されており、申請手続きも法務局内で行います。

訟務

訟務とは、国の利害にかかわる訴訟や争訟があるときに、国の代表として裁判所へ主張・立証を行うことです。国に対して損害賠償を求めるような裁判が提起されると、法務局が国の代理人として法廷で訟務活動を行います。

説明会・相談会

法務局では、法律に関する説明会や相談会を随時開催しています。

説明会や相談会を開催する目的は、一般の方が法的な知識を深めて生活に活かしてもらうことです。登記制度や成年後見制度、相続手続きなどのテーマについて深く学べます。

また、担当窓口では法務局で行う手続きについての相談にものってもらえます。例えば、相続登記をしたい場合に必要な書類や申請書の作成方法などの確認が可能です。

説明会・相談会や個別相談に参加するには、事前予約が必要な場合があります。参加を希望する場合には、予め開催される法務局に確認しましょう。

手続きはどこの法務局でもできる?

手続きはどこの法務局でもできる?のイメージ

法務局ごとに管轄が決まっているため、どこでも手続きができるわけではありません。一方、登記事項証明書や印鑑登録証明書などの証明書を発行したいときは、全国どこの法務局でも取得が可能です。

一例として、相続登記をしたい場合、不動産の所在地によって手続きできる法務局が異なります。そのため、管轄の法務局をチェックしたうえで相続登記の申請を行わなければなりません。亡くなった方が、全国各地にある不動産を所有していたのであれば、それぞれの管轄を調べたうえで登記申請を行う必要があります。

法務局、地方法務局及び支局の違い

法務局、地方法務局及び支局の違いは、組織の階層と管轄範囲です。

冒頭で述べた通り、法務局は全国を8つのブロックに分け、ブロックごとに1つの法務局が設置されています。この法務局の下に、都道府県を単位とする地域を管轄する地方法務局が全国42か所設置されています。そしてさらに、その出先機関として、一定の地域を管轄する支局と出張所があります。

具体的には、支局と出張所を下部組織である各地方法務局が束ね、8つの法務局が上位組織として統括しているという組織イメージになります。

そして法務局と地方法務局、及び支局では、登記・戸籍・国籍・供託・訟務・人権擁護の事務が行われ、出張所では主に登記事務が行われています。

法務局で相続登記の手続きを行う流れ

ここからは、実際に法務局で相続登記の申請をするときの手続きの流れを解説します。

相続する不動産の確認や方針を決める

まず重要なのは、不動産の確認や今後の方針を決めることです。

相続登記をする際、不動産登記の際に必要な登録免許税が発生します。登録免許税の金額は固定資産税評価額に一定の割合を掛けて算出します。そのため、固定資産税評価額を調べておきましょう。固定資産税評価額は、下記のいずれかの方法で確認することができます。

  • 市区町村役場から送付される固定資産税の納税通知書を確認する
  • 市区町村役場で固定資産課税台帳を閲覧申請する
  • 市区町村役場で固定資産評価証明書を入手する

また、相続した不動産の今後の方針についても決める必要があります。特に、実家を相続する場合、相続人それぞれに考え方があるでしょう。引き継いだ人は「管理が難しくて売却したい」と思っていても、他の相続人は「思い入れがあるから残してほしい」と考えるかもしれません。

「賃貸不動産として貸し出す」「取り壊して駐車場経営をする」「更地にして国庫に帰属させる」など、選択肢は豊富にあります。できる限り、ほかの相続人にも納得してもらえるように話合いを重ねましょう。

必要な書類の収集をする

相続登記をする際、申請書と一緒に下記の書類を提出する必要があります。書類の種類は、どのような経緯で遺産分割を行ったかによって必要な書類が異なってきます。

書類名必要性
亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本一式必須
亡くなった方の住民票除票必須
相続人全員の戸籍謄本必須
不動産を相続する人の住民票必須
遺言書遺言書通りに相続する場合のみ
遺産分割協議書+相続人全員の印鑑登録証明書遺産分割協議によって遺産分割した場合のみ
相続関係説明図戸籍謄本の原本を返却してほしい場合のみ
不動産の評価証明書(固定資産評価証明書)必須

登記申請書を記入する

書類の収集が完了したら、登記申請書を作成しましょう。法務局のホームページに様式(フォーマット)が掲載されているため、ダウンロードして使用可能です。記載例も掲載されているため、確認しながら記入できます。

登記申請書は、遺産分割の方法によって選ぶ様式が異なるため注意しましょう。どの様式を選ぶべきかわからない場合や、記入方法がわからない場合は、法務局で相談できます。

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法務局の窓口で申請する

登記申請書の作成と必要書類の収集ができたら、管轄法務局の窓口で登記申請をしましょう。管轄法務局は、法務局のホームページから確認できます。

繰り返しになりますが、申請する法務局はお住まいの住所ではなく、登記申請する不動産を管轄する法務局であることには注意しましょう。

登記申請書や必要書類に不備がなければ、申請から1週間程度で登記完了証と登記識別情報通知書が交付されます。不備がある場合は、法務局からの指示に従って再度申請する必要があります。

郵送やオンラインでも申請できる

登記申請する不動産を管轄する法務局が遠くて窓口へ行けない方や、平日の日中に動けない方は、郵送やオンラインでの申請を活用しましょう。

郵送の場合は、申請書と必要書類を封入し、管轄の法務局へ送ります。登記完了後に書類の返送を希望する場合は、返信用封筒と切手を同封しましょう。

オンライン申請であれば、申請用総合ソフトを活用して申請書を作成します。不備がある場合にもオンライン上で補正できるため、スピーディーな手続きを希望する時に活用できます。

「相続登記のオンライン申請」について、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

相続登記は登記申請する不動産を管轄する法務局で申請しよう

法務局とは、国民の財産と権利を守るための事務を担当する機関です。相続によって不動産を引き継いだ場合、法務局で相続登記手続きをしてはじめて自身のものであると公的に認められます。

相続登記をするときは、不動産の所在地を管轄する法務局で申請しなければなりません。登記申請書と必要書類を準備して、管轄法務局で手続きをしましょう。自分で手続きをすると時間と労力がかかりますが、記入方法や必要書類について法務局で質問・相談することも可能です。

記事の著者紹介

相続プラス編集部

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相続に関するあらゆる情報をわかりやすくお届けするポータルサイト「相続プラス」の編集部です。相続に悩むみなさまの不安を少しでも取り除き、明るい未来を描いていただけるように、本サイトを通じて情報配信を行っております。

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本記事の内容は、記事執筆日(2025年7月24日)時点の法令・制度等をもとに作成しております。最新の法令等につきましては、専門家へご確認をお願いいたします。万が一記事により損害が発生することがあっても、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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