親や配偶者が亡くなり遺言書がないときは、亡くなった人の財産の受け継ぎ方が相続人の判断に委ねられているのを踏まえ、相続手続きが円滑に進むよう相続人全員で遺産分割協議をしなければなりません。本稿では、遺産分割協議の基本から具体的な流れ、協議がまとまらない場合の対処法まで、わかりやすく解説します。
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遺産分割協議とは?
遺産分割協議とは、被相続人が亡くなったとき、誰が・どのように財産を取得するのか相続人全員で話し合い、全員の合意を得るための話し合いです。有効な遺言書がないときや、遺言書に記載のない財産があるときに、この遺産分割協議が必要になります。
集まった相続人に基本的な法律の知識がないと、それぞれの取り分が決まらなかったり、ひとつの財産(特定の不動産など)をどう分ければいいのか判断できず、そもそも合意を得られなくなります。
ここからは、遺産分割協議の進め方を解説していきます。
遺産の分割方法を話し合う
遺産分割協議では、被相続人が相続開始時点で所有する財産につき「どの相続人が・どの財産を・どのくらいの割合で・どんな手段で」相続するのか話し合います。意見がまとまって合意に至ったときに作成する遺産分割協議書には、協議で合意した内容を詳細に載せることになります。
実際の遺産分割協議を行うとき、協議の実施方法はさまざまです。対面で会うのが難しい参加者については、電話・メール・オンラインミーティングを活用しても構いません。遺産分割協議に全員が参加する必要はなく「一部の相続人だけで話し合って合意に至った内容につき、話し合いに参加しなかった人から後で合意をもらう」といったやり方も可能です。
相続人全員の合意が必要となる
遺産分割協議を成立させるために必要なのは「相続人全員の合意」です。ここで言う相続人とは、亡くなった時点での法律婚の相手である配偶者と、戸籍で血のつながりがあると認められる一定範囲の親族のうち相続順位が最も高いとされる人です。
重要なのは、相続人の合意がたった1人でも欠ける場合、遺産分割協議は無効となる点です。最終的に作成する遺産分割協議書に相続人全員分の署名捺印が揃っていない場合、これを根拠とした財産の名義変更はできません。
参考:民法第887条~890条
法定相続分に拘束されない
遺産分割協議では、法律で定められた相続の割合(法定相続分)に縛られることなく、相続人全員の合意によって自由に分割内容を決められます。全員の同意が得られる限り、特定の相続人が多くの財産を取得したり、逆に少なく取得したりすることも可能です。
注意したいのは、相続人でない人が遺産分割協議に参加することはできない点です。第三者が遺産分割協議に参加できるのは、事前に相続分の譲渡によって権利を得ている場合だけです。
参考:民法第905条1項
遺産分割協議書を作成する
遺産分割協議で財産の取得に関する合意がまとまったときは、その内容について記載した「遺産分割協議書」を作成します。遺産分割協議書の主な目的は、相続人同士で合意した内容を明確にし、後日の認識違いやトラブルを防ぐことです。
なお、不動産の名義変更や銀行口座の解約などの手続きでは、遺産分割協議書の原本を提出し、手続き完了時に返してもらうための原本還付も申し出なければなりません。提出するときは、相続人が誰なのかわかるよう戸籍謄本や相続関係説明図も添付して「全員の同意があり、有効な遺産分割協議である」と証明する必要があります。
法律上の期限は定められていない
遺産分割協議自体にに明確な期限はないものの、遅くとも相続開始から10年以内に行うべきとされています。2023年(令和5年)4月以降に開始した相続は、生前贈与を考慮した「特別受益」や、生前の貢献を考慮した「寄与分」につき、10年が経過すると遺産分割に反映できなくなるためです(改正民法第904条の3)。
特別受益や寄与分がなければ、10年以上経過した後に遺産分割協議を行うこともできます。ただし、あまり時間が経ちすぎると、分割すべき財産を特定するのが難しくなったり、遺産分割協議の参加者も死亡してその相続人が当事者になるなど、状況が複雑になるデメリットがあります。
参考:改正民法第904条の3
5段階で進める遺産分割協議のやり方

遺産分割協議では、遺産と相続人の状況を事前に把握しておかなくてはなりません。相続人全員の合意を得られたときは、遺産分割協議書の作成が必要となります。
遺産分割協議を滞りなく進めたいときは、下記の5つの段階をやり方で進めるととよいでしょう。
相続人の調査して確定させる
遺産分割協議を始める前に、相続人が誰であるか調査し、全員を確定する必要があります。調査に必要なのは「被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本」です。
被相続人の戸籍謄本には、父母、配偶者(離婚・死別した人を含む)、子ども(実子と養子の両方)の記載があります。上記の関係者についてさらに戸籍謄本を取り寄せ、法定相続のルールに照らし合わせることで、相続人全員を把握することが可能です。
相続財産の調査、評価額の算定
遺産分割協議の対象となる財産は、どんなものがあるのか調査するだけでなく、それぞれ価値はいくらなのか判断する必要があります。
財産の調査をおこなう際には、まず資産ごとに下記の書類を取得することで、所在地・口座などの情報から評価額までを確認することができます。
- 預貯金、有価証券:残高証明書
- 不動産:固定資産評価証明書、登記事項証明書
- 自家用車:車検証、自動車税納税証明書、保険証券
相続人それぞれの取り分を決めるべき遺産には、自宅にある家財などの動産だけでなく、そのほかの債権(他人に貸付けたもの)が含まれます。自宅の物品については鑑定業者などに査定を依頼し、債権については契約書や会員証などの証書をチェックしましょう。
ほかには、借金返済などの何らかの義務(債務)も相続財産です。遺産分割協議に参加するか、それとも相続放棄して返済義務などから免れるか判断するには、債務の確認が欠かせません。金銭貸借契約書を確認したり、個人信用情報機関(CICなど)に問い合わせたりして、債務の状況を確認しましょう。
そして確認した財産とその評価額は、財産目録として一覧化しておきましょう。
相続人全員による分割案の協議
相続人全員を確定させ、財産目録が完成した段階で、相続人全員による分割案の協議を始めます。誰がどの財産を、どのくらいの割合で取得するのか話し合いましょう。
不動産などの分割しにくい財産を複数人で取得するときは、分割方法を検討する必要もあります。方法としては「取得者全員で共有する」あるいは「第三者に売却して現金で分割する」といったもの、あるいは「相続人の間で代償金を払って単独で取得する」といったものがあります。
遺産分割協議書の作成
相続人全員の合意が得られたら、その内容を遺産分割協議書にまとめます。遺産分割協議書の書き方に書式の指定はありませんが、下記の内容はすべて記載しなければなりません。
- 被相続人の氏名と死亡日
- 協議が成立した日
- 相続人全員の氏名と続柄
- 遺産を特定する情報と評価額
- 財産ごとの取得者と分割方法
- 相続人の署名捺印(全員分、捺印は実印によるもの)
遺産を特定する情報とは、預貯金や有価証券なら残高証明書にある口座情報、不動産なら登記事項証明書の表題部です。財産が多岐に渡る場合でも、遺産分割協議書を読む人が「どれを分割するのか」をスムーズに理解できるよう、分割対象を特定する情報は正確に記載しなければなりません。
そして最も重要なのは、相続人全員分の署名捺印を揃えることです。それぞれ登録済みの実印を用いて押印するだけでなく、全員分の印鑑登録証明書を市町村役場で取得して遺産分割協議書に添付しましょう。印鑑登録の証明があることで、相続人全員が押印=相続人全員が合意であることが確かにすることができます。
合意後の相続手続き
遺産分割協議書が完成したら、協議内容に基づいて各財産の名義変更や解約手続きを行いましょう。
特に不動産については、相続や遺産分割を原因とする「所有権移転登記」を法務局で申請しなければなりません。一般に「相続登記」と呼ばれる手続きで、2024年(令和6年)4月1日以降は相続開始を知った日から3年以内に手続きを完了させる必要があります。
遺産の権利を取得者に移す手続きが完了すると、課税される遺産が基礎控除額を超える場合に「相続税申告」が必要です。相続税申告の期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内となっています。
先述した「相続登記」とは期限が違うため、注意しましょう。
遺産分割協議の注意点
遺産分割協議で特に注意したいのは「成立する条件」と「成立した協議のやり直しの困難さ」です。
協議で遺産の取り分を決めるときは、相続人全員の有効な同意が欠かせません。説得しても反対する人、音信不通の人がいると、話し合いで合意を得るのは不可能です。未成年者や障がいの影響で判断能力が低下した人などがいると、その人の同意については適切な手続きで選ばれた代理人が行わなければなりません。
また、遺産分割協議がひとたび成立すると、そのやり直しは再び全員の同意が必要になるため、現実的に困難です。財産の評価額が間違っている、後になって財産が見つかった、分割の方法について誤解があったなどのトラブルの原因を遺さないないよう注意する必要があります。
遺産分割協議がまとまらないときの対処法
相続人同士で話し合いを重ねても遺産分割協議がまとまらないときは、まず第三者である弁護士に仲介を依頼しましょう。それでもまとまらないようであれば、遺産分割調停を家庭裁判所に申し立てることを推奨します。
ここからは、具体的な対処法を解説します。
遺産分割協議の仲介を弁護士に依頼する
遺産分割協議がまとまらない場合、弁護士にサポートしてもらうとよいでしょう。法律の専門家が代理人として協議の窓口になることで、論点が正しく整理され、感情的な対立を避けながら話し合いを進めることができます。
弁護士に依頼するメリットは、さまざまな事務手続きを任せられる点にもあります。調査・遺産分割協議書の作成といった作業は、相続に関する知識ばかりでなく実務経験も要求されるため、弁護士などのさまざまなケースを扱ってきた専門家に任せるとスムーズです。
遺産分割調停を家庭裁判所に申し立てる
弁護士によるサポートでも協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てることで、裁判所による仲介へと移行できます。調停しても合意に至らないときは、自動的に遺産分割審判へ移行し、裁判官による決定が下ります。
上記の遺産分割調停・審判の全体の流れは次の通りです。
遺産分割調停の申立てをする
遺産分割調停の申立ては、相手方(意見が対立する相続人など)の住所地を管轄する家庭裁判所か、当事者が合意で定めた家庭裁判所で行います。
申立ての際は、基本的な書類として下記の一式を提出しましょう。
- 作成した申立書とその写し(相手方の人数分)
- 事情説明書(遺産分割に関すること)
- 進行に関する照会回答書(遺産分割に関するもの)
そのほか、相続人と遺産の状況について証明するため、下記の書類も添付して提出する必要があります。
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
- 相続人全員の住民票または戸籍附票
- 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
- 遺産に関する証明書(登記事項証明書や残高証明書など)
戸籍謄本については、代襲相続がある場合、被相続人のものも必要です。例えば、被相続人である親より先に子どもが亡くなって、孫が相続人となる場合では、子どもの死亡がわかる戸籍謄本が必要です。
なお、相続関係を証明する目的で提出する戸籍謄本は、これに変えて「法定相続情報一覧図」の写しとすることができます。法定相続情報一覧図は、法務局で手続きすることにより、公的なものを何枚でも必要な枚数をもらえます。
参考:遺産分割調停 | 裁判所
調停期日に調停委員の仲介で話し合いをする
遺産分割調停の申立てが受理されると、調停期日が指定されます。期日当日は、家庭裁判所の指定された部屋に行き、2名の調停委員を交えて話し合います。
調停の進行は、申立人と相手方が交互に調停室に入り、調停委員に対してそれぞれの主張や希望を伝える形式です。通常、調停は1か月から2か月に1回程度のペースで開催され、数回の期日を経て合意を目指します。
調停が成立したら遺産分割を進める
遺産分割調停での話し合いで相続人全員が合意に至ったときは、調停が成立した証明として「調停調書」が作成されます。調停調書には合意した内容が記載され、訴訟の確定判決と同じ効力を持ちます。
その後の財産の名義変更(相続登記など)は、調停調書を基づいて進められます。相手の協力が得られないため名義変更できないなどのトラブルが生じた場合でも、調停調書の内容が履行されない場合には、裁判所で所定の手続きを行うことで強制執行が可能です。
調停が不成立であれば自動的に遺産分割審判へ移行する
調停を重ねても相続人全員の合意が得られず調停が不成立となったときは、遺産分割審判へ移行します。審判では、当事者の主張は尊重されるものの、最終的な判断は裁判官が下します。
審判に移行するケースで多いのは、相手とどうしても連絡が取れなかったり、調停に出席してくれなかったりする場合です。音信不通や調停期日の欠席が続き、意見を擦り合わせられる状況にない場合でも、審判に移行することで遺産分割を進められるようになります。
指定された期日に家庭裁判所の審判に出席する
遺産分割調停の審判移行後は、家庭裁判所から指定された期日に出席する必要があります。調停とは異なり、審判では申立人と相手方が同時に出席するため、相手方と対面することになります。
審判期日当日は、裁判官が各当事者の主張を聞き取り、証拠の提出や、必要に応じて証人尋問が行われます。期日は複数回設定されることが多く、その都度出席して主張や立証を行う必要があります。
合意に至らない場合は家庭裁判所の審判になる
調停で相続人同士で合意に至らない場合、最終的には裁判官が審判を行います。審判では、法定相続分を基準としつつ、特別受益や寄与分、各相続人の生活状況などを考慮して、遺産分割の方法が決定されます。
審判の内容は、分割に関するほかの判断と共に、特に分割方法について現物分割・代償分割・換価分割・共有分割のいずれかの方法で示されます。分割方法を巡って審判移行となりやすいのは不動産があるときであり、どう分けるべきか判断が下ることで手続きがスムーズになります。
2週間以内に誰からも異議がでなければ審判が確定する
審判が下された後、審判の告知を受けた日の翌日から起算して2週間以内であれば、審判に不服がある当事者は即時抗告をすることができます。即時抗告が行われた場合には、高等裁判所で改めて審理が行われることになります。
一方、2週間以内に誰からも異議が出なかった場合や、高等裁判所で不服申立てが認められなかった場合には、審判が確定します。確定した審判は確定判決と同じ効力を持ち、審判の内容に従って相続人が遺産分割を実行することになります。
遺産分割協議に関するよくある質問
遺産分割協議を進めるにあたっては、協議開始のタイミング・進め方や、後から財産が見つかるケースなどについてさまざまな疑問が生じてきます。ここでは、その中でもよくある質問について解説していきます。
遺産分割協議はいつ始めるのか?
遺産分割協議には法律上の明確な期限はありませんが、実際には「できるだけ早く始める必要があるもの」と考えられます。3年以内の相続登記の義務化や、10か月以内の相続税申告の期限があるためです。
そのためスケジュールを組むときは、相続期限の申告期限に合わせ、亡くなってから10か月以内には相続登記などの名義変更手続きまで終わらせられるようにするのが理想です。
相続人が認知症でも遺産分割協議はできるのか?
相続人に認知症による判断能力の低下が見られるときは、本人に代わって遺産分割協議に参加できる「成年後見人」や、代理権がある「保佐人」あるいは「補助人」が必要となります。
成年後見人は「後見開始の審判」を家庭裁判所で申し立てることにより選任されます。保佐人や補助人についても「代理権付与の審判」を家庭裁判所で申し立てることで、審理後に権利が与えられます。
連絡のつかない相続人がいた場合はどうすればよいか?
連絡のつかない相続人がいるときは、市町村役場で戸籍附票を取り寄せて現住所を確認し、手紙を送ったり直接訪問したりして連絡を試みましょう。それでも連絡が取れない場合は、家庭裁判所に「不在者財産管理人の選任」を申し立てるか、遺産分割調停を申し立てるという手段があります。
不在者財産管理人の選任申立ては、相手の居所がわからない・連絡がまったくつかないときの方法です。審理で認められると、本人に代わって権利義務や財産を管理する人物が選ばれ、その人物に遺産分割協議に参加してもらえます。
一方の遺産分割調停は、相手の居所や連絡先はわかるものの、コンタクトを取っても応じてくれないときの方法です。調停しても返事がない・出席しない場合には、審判に移行して遺産分割を終えることができます。
遺産分割協議書は作成必須なのか?
遺産分割協議書の作成は法律で義務付けられているわけではありませんが、実務上は非常に重要であり、基本的には作成する必要があるものと考えましょう。
大前提として、不動産の相続登記や預貯金の解約、相続税の申告などといった手続きでは、法務局・銀行・税務署などの申請先となる窓口で遺産分割協議の内容を証明しなくてはなりません。仮に上記のような手続きがないとしても、合意に関する書面がないと、相続人の間で「言った・言わない」のトラブルに発展する恐れがあります。
遺産分割協議が相続税の申告期限に間に合わない場合は?
相続税の申告期限は相続開始を知った日の翌日から10か月以内ですが、遺産分割協議が間に合わない場合は、未分割のまま相続税の申告を行うことができます。申告する課税額は、法定相続分で財産を取得したものと考えたときの額です。
注意したいのは、遺産を未分割のままにしておくと「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」といった優遇措置を適用できず、税金の負担が大きくなる恐れがある点です。上記のような税制が適用できないときは、原則として申告後3年以内に遺産分割が成立させ、更正の請求により適用を受けましょう。
遺産分割協議はやり直せるのか?
一度成立した遺産分割協議は法的拘束力を持つため、原則としてやり直すことはできません。
相続人全員の合意を得られたときは例外的に遺産分割協議のやり直しができますが、合意を得るため時間や手間がかかるばかりでなく、時間経過に伴う各相続人の状況の変化によって、意見のすり合わせが難しい状況になってしまうことがあります。
なお、遺産分割協議に錯誤や詐欺、強迫などの瑕疵(正しく意思を証明できない状況)あった場合には、協議の無効や取消しを主張できます。
遺産分割協議をやり直すと贈与税がかかることはある?
遺産分割協議のやり直しは、税法上「贈与」とみなされ、贈与税が課税される可能性があります。最初の遺産分割協議で財産を取得した相続人から、やり直し後に財産を取得する相続人への贈与として扱われるためです。
ただし、遺産分割協議に錯誤などの無効・取消しの原因があったときや、遺産分割後に新たな相続財産が発見されて追加の遺産分割を行う場合は、贈与税の対象とはなりません。
遺産分割協議が成立した後に見つかった遺言書の扱いはどうなる?
遺産分割協議が成立した後に遺言書が見つかった場合、その遺言書が法的に有効であれば、原則として遺言書の内容が優先されます。ただし、相続人全員と遺言執行者(指名・選任がある場合)が合意すれば、遺言書の内容に従わずに遺産分割協議の内容を維持することも可能です。
また、遺産分割協議の時点で遺言書の存在をミスや故意のために知らされなかった場合は、錯誤による無効を主張できる可能性があります。
遺産分割のあとに新たな財産が見つかったらどうすればよい?
遺産分割協議の成立後に新たな財産が見つかった場合でも、すでに成立した遺産分割協議が無効になることはありません。新たに見つかった財産については、改めて相続人全員で遺産分割協議を行って取り分を決定します。
なお、遺産分割協議書には「後日発見された財産は○○が取得する」といった記載を設けるのが一般的です。実際に新たに財産が発見されたときは、上記の記載に従ってスムーズに分割できるためです。
注意したいのは、発見された財産によって課税対象となる額に変更が生じる点です。課税対象となる額が変わったときは、最初の遺産分割協議が無効・取消しとなった場合を除き、相続税の修正申告が必要となります。もしものときは、分割を行うだけでなく、税理士にも相談するようにしましょう。
遺産分割協議をスムーズに進めたいなら専門家に相談を
遺産分割協議は相続人全員の合意が必要な重要な手続きです。法律の知識が求められる場面も多く、協議書の作成に不備があると後々トラブルになる可能性があります。相続人同士の対立や手続きに不安がある場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家のサポートを受けることで、スムーズな遺産分割と適切な相続手続きが実施できるでしょう。
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