相続すると所得税がかかるのか?所得税が発生する場合を解説します

公開日:2025年3月10日|更新日:2026年7月17日

遺産を相続すると所得税がかかるのか?確定申告が必要なケースや注意点を解説_サムネイル

「相続すると所得税がかかるのだろうか」と心配になっていませんか。結論から言うと、相続で財産を取得しただけでは所得税はかかりません。しかし、相続財産からの収益で所得が発生することで確定申告が必要になり、所得税が課税される可能性があります。本記事では、相続によって所得税が発生する場合について詳しく解説します。

相続した遺産に所得税はかからない

相続した遺産に対して、所得税はかかりません。そのため、相続人が引き継いだ遺産を自分の所得として所得税の確定申告をする必要も原則ありません。

遺産は、相続税の対象です。相続税は財産を無償で引き継ぐことに対して課税され、相続又は遺言による遺贈によって財産を取得した場合に発生します。

ただし、遺産総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人)を上回っていなければ、相続税は課税されません。

一方、所得税は、給与や事業所得などの収入に対して課税される税金です。相続によって得られた財産は所得に該当しないため所得税を納める必要がありません。

ただし、被相続人の所得に対する所得税や、相続したあとに発生した所得に対する所得税が発生する場合もあります。次の章で、相続の発生によって所得税の申告・納税が必要となる場合を解説していきます。

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相続の際に所得税が発生する場合

相続の際に所得税が発生する場合は、下記の通りです。

被相続人の準確定申告が必要な場合

亡くなった方に収入があった場合、代わりに相続人が確定申告をしなければなりません。これを準確定申告と呼びます。

準確定申告が必要となる場合は、主に下記のようになります。

  • 事業所得・不動産所得がある方
  • 2,000万円以上の給与所得がある方
  • 公的年金による収入が400万円以上ある方
  • 土地・建物を売却して譲渡所得を得た方

上記は一例に過ぎませんが、通常の確定申告が必要な場合に当てはまる場合に準確定申告も必要だと考えておきましょう。本来被相続人がしなければならなかった確定申告を相続人が代わりに行うため、被相続人に確定申告の必要性がなければ準確定申告の必要もありません。

準確定申告の期限は、原則相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です。期限までに準確定申告を行わなかった場合、延滞税や無申告加算税などのペナルティが課される可能性があるため注意しましょう。

相続した財産から収益が発生している場合

相続した財産から収益が発生している場合、相続人に収入が発生するため確定申告が必要です。例を上げると、下記のような場合が当てはまります。

  • 賃貸マンションや駐車場などの不動産を相続し、賃貸収入が発生した
  • 株式を相続し、株式配当を得た

仮に、賃貸マンションを保有している父が3月31日に死亡した場合、1月1日から3月31日までに発生した賃料は父の収入となるため相続人が代わりに準確定申告を行います。4月1日から12月31日までの賃料については、その賃貸マンションを相続した相続人が翌年の3月15日までに確定申告しなければなりません。

万が一、法定相続人が複数人いて法定相続分通りに賃貸マンションを相続することになった場合、相続人全員が相続以降に得た賃料に対する確定申告を行う必要があります。

なお、賃料は不動産所得に分類され、収入に対して経費を差し引いた分に対して所得税が課税されます。

相続した財産を売却して利益が出た場合

相続した不動産や株式などを売却して得た利益を譲渡所得と呼びます。譲渡所得は所得税の対象となり、確定申告が必要です。不動産などの遺産を売却して得た現金を相続人で分ける換価分割で遺産分割する場合にも該当します。

単純に売却額に対して課税されるわけではなく、売却額から取得にかかった費用や売却のためにかかった経費、特別控除額を差し引いて課税額を算出します。

譲渡所得に対する所得税の計算方法は、分離課税と総合課税の2つです。それぞれの違いは、下記の通りになります。

種類適用される譲渡所得計算方法
分離課税不動産・株式の譲渡他の所得とは合算せずに、それぞれの譲渡に関する所得だけで税額を計算する
総合課税不動産・株式以外の譲渡他の所得と合算して税額を計算する

なお、譲渡所得に対する税率は、譲渡した財産の内容や保有していた期間などで異なります。

死亡保険金を受け取った場合

死亡保険金を受け取った方が保険の契約者と同じ場合、一時所得あるいは雑収入として所得税の課税対象となるため確定申告が必要です。例えば、相続人である息子が被相続人に死亡保険をかけていて、その保険金の受取人が息子自身だった場合に当てはまります。

なお、被相続人自身が死亡保険をかけていて相続人が受け取った場合には相続税、長男が契約者で受取人が母(被相続人の配偶者)だった場合には贈与税が発生します。

未支給年金を受け取った場合

未支給年金は相続人の一時所得として扱う必要があり、確定申告が必要です。未支給年金とは、被相続人が年金を受け取っていた場合に、死亡した時点でまだ受け取っていない年金のことです。一定の要件を満たせば、相続人は未支給年金を受け取ることができます。

年金というと被相続人の所得のように考えるかもしれませんが、未支給分は「遺族に支給されるもの」です。そのため、準確定申告時に含める必要はなく、相続税の課税対象でもありません。

なお、一時所得には50万円の特別控除が設けられています。未支給年金を含めたその年の一時所得が50万円以下だった場合、確定申告をする必要はありません。

 

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相続した財産の所得税に関する注意点

確定申告の方法のイメージ

ここでは、相続によって相続人に所得税が発生する場合の注意点を解説します。

被相続人の準確定申告と相続人の確定申告の違い

被相続人の準確定申告と、相続人の確定申告の違いを下記の表にまとめました。

被相続人の準確定申告相続人の確定申告
申告をする人相続人所得を得た本人
期限原則被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から4か月以内所得のあった年の翌年の2月16日から3月15日まで
提出先被相続人の死亡日時点における納税地を管轄する税務署相続人の納税地を管轄する税務署
医療費控除1月1日から死亡の日までに支払った金額1年間に支払った金額
物的控除1月1日から死亡の日までに支払った金額1年間に支払った金額
納税者相続人所得を得た本人

大まかに述べると、準確定申告は相続人が実施すること、期限が違うことが大きな違いになります。

事業の青色申告までは相続されない

被相続人が青色申告していた場合、相続人は手続きなしに青色申告を引き継ぐことはできません。賃貸収入のある不動産や被相続人の事業を引き継ぐのであれば、相続人が改めて青色申告の承認申請を税務署に対して行う必要があります。

青色申告の承認申請の期限は、原則被相続人の死亡日から4か月以内です。ただし、被相続人が9月・10月に死亡した場合にはその年の12月31日まで、11月・12月に死亡した場合は翌年の2月16日までに手続きを行う必要があります。

青色申告の承認申請は、所得を得た本人の納税地を管轄する税務署で行いましょう。

相続財産を寄附し、確定申告すると控除が受けられる

相続財産を特定の団体へ寄付する場合、確定申告をすると寄附金控除が受けられます。このとき、確定申告は義務ではないものの、寄付の合計額に応じて所得から課税所得を差し引くことができるため節税になります。

寄附金控除の対象となる団体の一例は、下記の通りです。

  • 都道府県・市区町村などの地方公共団体
  • 政党・政治資金団体
  • 日本赤十字社
  • 公益財団法人
  • 公益社団法人
  • 社会福祉法人
  • 認定NPO法人
  • 学校法人など

寄付先の団体や寄付の種類によっては控除対象にならない場合があります。寄付をする前に控除対象になっているかをよく確認しましょう。

また、寄付金控除を受けるには、寄付先から発行される寄付金の領収書が必要です。領収書を受けとったあと、なくさないように注意しましょう。

参照:No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)|国税庁

相続で財産を取得しても住民税は増えない

相続によって財産を取得すると所有する財産が増えますが、所得となる収入を得るわけではないため所得税や住民税も増えません。

ただし、相続した不動産の賃貸収入や売却による譲渡所得を得るなど、相続した財産から収益が出ると収入が増えることになります。所得税および住民税の課税対象となるため、かならず確定申告をして納税を忘れないようにしましょう。

相続した財産から収入が発生すると所得税が課せられる

相続によって取得した財産そのものに所得税はかかりません。

しかし、相続したアパートの賃料や不動産の売却益など、相続した財産から発生する収入がある場合には所得税の確定申告が必要です。この場合、収入を得た年の翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告と納税を済ませなければなりません。

また、亡くなった被相続人が得ていた所得については、相続人が代わりに申告する「準確定申告」が必要となる場合があります。準確定申告の期限は「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から4か月以内」と非常に短いため、注意が必要です。

確定申告も準確定申告も、期限を守らない場合や誤った申告をしてしまった場合には、追徴課税される可能性があります。もしも、確定申告や準確定申告、あるいは相続税などの申告に少しでも不安がある方は、早めに税理士へ相談しましょう。

記事の著者紹介

相続プラス編集部

【プロフィール】

相続に関するあらゆる情報をわかりやすくお届けするポータルサイト「相続プラス」の編集部です。相続に悩むみなさまの不安を少しでも取り除き、明るい未来を描いていただけるように、本サイトを通じて情報配信を行っております。

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