相続登記の委任状の書き方を各項目ごとに解説します【作成見本付き】

公開日:2024年1月16日|更新日:2026年7月10日

【見本付き】相続登記の委任状の書き方を項目ごとに解説!必要なケースとは?_サムネイル

申請者以外が相続登記の手続きをする際、委任状が必要です。しかし、委任状には決められたフォーマットがなく、何を記載すればよいのか悩む方もいます。本記事では、委任状の作成方法を見本付きでわかりやすく解説します。不動産から離れた場所に住んでいる場合や書類作成の時間がない場合に、誰かにお願いしたい方はぜひ参考にしてください。

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相続登記における委任状とは

相続登記における委任状は、申請者本人でなく代理人に申請を依頼する際に必要な書類です。

相続登記における申請者は、相続によって不動産を取得する相続人本人です。本来は本人が手続きをしなければなりませんが、「仕事が忙しい」「専門的でわからない」などの理由で、他人に相続登記の申請を依頼することは珍しくありません。

この際、他人に相続登記の申請に関する権限を預けることとなるため、その事実を証明するために申請書と一緒に法務局へ委任状を提出することになります。誰に委任するのかは、委任者である申請者が自由に決めることができます。

なお、司法書士や弁護士などの専門家に相続登記を依頼する際にも、委任状が必要です。

ただし、専門家に依頼する場合は、専門家側で委任状のひな形をを用意してもらえる場合が多く、依頼者は署名・押印のみを行うことになります。そのため委任状を作成ことはありませんが、委任する内容把握に役立つ内容になっています。

委任状が必要な場合と不要な場合

相続登記の手続きにおいて、委任状が必要な場合と不要な場合について解説します。

委任状が必要な場合

申請者本人が相続登記の申請をせずに、他の人へ相続登記の申請を代理してもらう場合に委任状が必要です。具体的には、以下のような場面になります。

  • 司法書士や弁護士に相続登記の代理を依頼する
  • 相続人の親族などが相続人の代理人として相続登記する
  • 共同相続人の1人が他の相続人を代表して相続登記する

委任状が不要な場合

申請者本人が申請をしない場合であっても、下記のように法定代理人が相続登記する場合は、委任状は不要です。

  • 親権者が未成年者の代理で相続登記する
  • 後見人が被後見人の代理で相続登記する

親権者が未成年者の代理で相続登記する

未成年者の代わりに親権者が相続登記を行う際、委任状は不要です。ただし、親子関係を証明するために、戸籍謄本の提出が求められます。

また、子どもが成人すると親権はなくなり、子どもは自分で相続登記しなければなりません。もし、成人後に親や他の人に任せるのであれば、委任状が必要になります。

後見人が被後見人の代理で相続登記する

不動産や預貯金などの財産の管理ができず、後見人制度を利用している場合には、委任状なしで被後見人の代わりに後見人が相続登記を行えます。このとき、成年後見人であることを証明するために、成年後見登記事項証明書の提出が求められています。

【見本あり】相続登記の委任状の作成方法

委任状の作成方法の前に、相続登記の委任状の見本をご紹介します。

委任状

 

(代理人)
住所     東京都文京区◯◯町◯丁目◯◯番地
氏名     法律 太郎

私は、上記の者を代理人として定め、下記の登記申請に関する一切の権限を委任します。

 

 

1.登記の目的   所有権移転
1.原   因   令和◯年◯月◯日相続
1.相 続 人   (被相続人 相続 一郎)
東京都世田谷区◯◯町◯丁目◯◯番地
相続 花子

 

1.不動産の表示   不動産番号 xxxxxxxxxxxxx
所   在 東京都文京区◯◯町
地   番 ◯◯番地
地   目 宅地
地   積 148.25㎡

 

不動産番号 xxxxxxxxxxxxx
所   在 東京都文京区◯◯町◯◯番地
家屋 番号 ◯◯番
種   類 居宅
構   造 木造ストレート2階建
床 面 積 1階 45.00㎡
2階 38.55㎡

 

1.原本還付請求、及び受領に関する一切の件

1.復代理人選任に関する一切の件

1.登記に係る登録免許税の還付金を受領する件

1.登記識別情報通知書の受領の件、及びその受領について復代理人選任に関する一切の件

1.登記の補正、及び取下げに関する一切の件

令和◯年◯月◯日

 

(委任者)
住所  東京都世田谷区◯◯町◯丁目◯◯番地
氏名  相続 花子           (実印)

ここからは、どのような内容を記載するのかを解説していきます。

代理人の情報

まず、相続登記の手続きを依頼する方の住所・氏名を記載します。見本では、相続花子さんが法律太郎さんに代理を依頼しているため、法律太郎さんの住所・氏名を記載します。

<記載例>
(代理人)
住所  東京都文京区◯◯町◯丁目◯◯番地
氏名  法律 太郎

登記申請を委任する旨

依頼者が登記申請の代理人を選定し、登記手続きを委任する旨を記載します。

<記載例>
私は、上記の者を代理人として定め、次の登記申請に関する一切の権限を委任します。

登記の目的

相続登記における登記の目的は、不動産が単独所有か共有持分かによって異なります。

亡くなった方の単独所有の不動産を相続する場合は「所有権移転」、不動産の共有持分を相続する場合は「◯◯(被相続人の名前)持分全部移転」と記載します。

単独所有か共有持分かが不明な場合は、登記事項証明書で確認が可能です。

<記載例>
登記の目的  所有権移転
登記の目的  相続一郎持分全部移転

登記の原因

ここには登記が発生した原因を記述します。今回の場合は、相続です。そのため、この欄には被相続人の死亡日のあとに「相続」と記載します。

日付は、市区町村役場に提示した日付と同じである必要があります。死亡診断書や死体検案書を確認してから記載しましょう。

<記載例>
原因  令和5年11月28日相続

相続人の情報

相続人の情報の欄には、以下の情報を記載します。

  • 被相続人の氏名
  • 相続人の住所・名前

被相続人の氏名のあとに、相続人の住所・名前を記載します。

<記載例>
相続人  (被相続人 相続 一郎)
東京都世田谷区◯◯町◯丁目◯◯番地
相続 花子

2人以上の相続人で不動産を相続する場合、不動産の所有権を得た全員の相続人の住所と名前を記載しなければなりません。この際、持分割合も併記します。

<記載例>
相続人  (被相続人 相続 一郎)
東京都世田谷区◯◯町◯丁目◯◯番地
持分3分の2  相続 花子
東京都世田谷区◯◯町◯丁目◯◯番地
持分3分の1  相続 一太

不動産の表示

相続登記の対象である不動産の情報を記載します。土地か建物かによって、記載する項目が異なります。

<不動産の種類:土地>

  • 記載する項目:不動産番号・所在・地番・地目・地積

<不動産の種類:建物>

  • 不動産番号・所在・家屋番号・種類・構造・床面積

正しく不動産を特定するために、必ず登記事項証明書を見ながら記載しましょう。

<記載例>
不動産の表示  不動産番号 xxxxxxxxxxxxx
所   在 東京都文京区◯◯町
地   番 ◯◯番地
地   目 宅地
地   積 148.25㎡

不動産番号 xxxxxxxxxxxxx
所   在 東京都文京区◯◯町◯◯番地
家屋 番号 ◯◯番
種   類 居宅
構   造 木造ストレート2階建
床 面 積 1階 45.00㎡
2階 38.55㎡

補足的な内容

相続登記の申請をしたあと、原本還付請求・受領や登記識別情報の受領などの手続きも発生する場合があります。

これらの権限も代理人に委託しなければ、代理人が相続登記に関する手続きを完了できません。そのため、委任状に以下の手続きも委任する旨を補足的な内容として記載しておきましょう。

委任する手続き内容内容の詳細
原本還付請求・受領戸籍謄本や住民票などの原本を返却してもらうための手続きとその受け取り。
復代理人選任代理人がさらに他の人に委任する場合の選任。
登記に係る登録免許税の還付金の受領申請を取下げたり却下されたりした場合に行う登録免許税の返還請求の手続きとその受け取り。
登記識別情報通知書の受領とその復代理人選任登記識別情報通知書の受け取りと、その受け取りを代理人がさらに他の人に委任する場合の選任。
代理人以外に登記識別情報通知書の受け取りを認めない場合は不要。
登記の補正・取下げ申請後に修正点を修正する「補正」や、申請の撤回をする「取下げ」をする手続き。

記載が漏れていると、相続登記の申請は代理人ができても、関連する手続きをする権限を付与できていない状態です。申請者本人が手続きをするか、再度委任状を提出する必要が出てくるため注意しましょう。

<記載例>

  • 原本還付請求、及び受領に関する一切の件
  • 復代理人選任に関する一切の件
  • 登記に係る登録免許税の還付金を受領する件
  • 登記識別情報通知書の受領の件、及びその受領について復代理人選任に関する一切の件
  • 登記の取下げに関する一切の件

「相続登記の原本還付」について、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

日付・委任者の住所・署名・捺印

最後に、以下の内容を記載しましょう。さらに、委任者の署名と捺印をしたら、委任状は完成です。

  • 委任状の作成日
  • 委任者の住所

相続登記の委任状作成のアドバイス

相続登記の委任状を作成する際のアドバイスを5つ用意しました。参考にしてください。

  • 印鑑は認印でもよい
  • 委任状が複数枚にわたる場合は契印する
  • 白紙委任状は作成しない
  • 二重線と訂正印で修正できる
  • 住所・氏名は住民票と同様の記載をする

印鑑は認印でもよい

公的な手続きには実印が必要だと思う方がいますが、委任状に押印する印鑑は認印でも問題ありません。専門家に依頼する際や、他の相続人に代理で申請をお願いする際も、認印で大丈夫です。

委任状が複数枚にわたる場合は契印する

複数枚にわたる委任状はホッチキスで綴じ、契印することを忘れないでおきましょう。契印とは、2枚以上の文書が1つの連続した文書であると証明するために、両ページにまたがって押すハンコのことです。契印を押すことで、偽造・改ざんを防ぎます。

契印に使う印鑑は、委任状の署名の隣に捺印した印鑑と同じものでなければなりません。

白紙委任状は作成しない

白紙委任状は作成しないようにしましょう。

白紙委任状とは、委任状に記載されるべき事項や代理人の情報が記載されず、一部が空欄のまま委任者が署名・捺印している委任状のことです。白紙委任状を代理人に渡してしまうと、空欄部分が濫用されてしまい、権利を侵される場合があります。

申請者本人の意思とは異なる内容を記載されると、トラブルに発展しかねません。そのため、すべての項目が埋まった状態の書面に署名・捺印をするようにしましょう。

二重線と訂正印で修正できる

誤字脱字や記載内容を間違えた際には、二重線と訂正印で修正できます。修正したい場合には、訂正箇所に二重線を引き、上から委任状の署名の隣に捺印した印鑑で訂正印を押しましょう。間違えた箇所の付近に正しい文言を記載すれば、正しく修正できます。

住所・氏名は住民票と同様の記載をする

記載する住所は、住民票と同様の記載をしましょう。アパートやマンションなどの集合住宅の建物名の表記方法や部屋番号も、住民票に合わせましょう。

同じように住民票にある名前や住所に旧自体が含まれている場合には、旧漢字のまま記載しましょう。

相続登記の委任状を作成する際の注意点

相続登記の委任状を作成する際の注意点のイメージ

相続登記の委任状を作成するとき、以下の3つの注意点があります。

  • 勝手に委任状を作成する行為は犯罪になる
  • 委任状の代筆は無効になる場合がある
  • 司法書士・弁護士以外の者が業務として相続登記を代理申請できない

勝手に委任状を作成する行為は犯罪になる

勝手に委任状を作成して相続登記を進めると、犯罪行為とされています。何らかの目的のために署名や押印のある委任状を偽造すると、私文書偽造罪によって3か月〜5年以下の懲役に科される場合があります。偽装した委任状は、当然無効となります。

親子・兄弟姉妹の関係であっても、委任状を代わりに作っておくようなことはやめましょう

委任状の代筆は無効になる場合がある

委任状の署名部分を代筆すると、無効になる場合があります。委任する相手が遠方に住んでいたり、相続人が高齢で説明が大変だったりすると、「署名は代筆でいい」と考える方もいるでしょう。

たしかに、委任状の代筆は認められています。しかし、その場合、病気や怪我などの理由によって、字が書けない旨を委任状に記載しなければなりません。やむを得ない理由でないにもかかわらず代筆をすると、委任状の効力が疑われます。

委任状の効力に疑問があると裁判で争われる事例もあり、委任状が無効とされてしまうと相続登記の手続きも無効となってしまいます。

司法書士・弁護士以外の者が業務として相続登記を代理申請できない

司法書士・弁護士以外の方が手数料を取って相続登記の代理申請をすることは処分の対象となるため注意しましょう。

例えば、資格を持たない家族や友人が「代わりに申請してあげるから、1,000円ちょうだい」と金銭の受け渡しがあると「業務・事業として依頼を受けている」とみなされる可能性があります。

たしかに相続登記の手続きを行うためには、登記申請書の作成や必要書類の収集など手間がかかって大変です。しかし、専門家でない方に代理を依頼すると「業務として行った」とみなされ、司法書士法違反と見なされる恐れがあります。

余計なトラブルや法的なリスクを避けるためにも、相続登記の申請を誰かに託す場合は、「手続きを任せる相応の理由がある親族」に無償で頼むか、あるいは「司法書士や弁護士などの専門家」に正式に依頼するかのどちらかにしましょう。

 

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相続登記の委任状は慎重に作成しよう

相続登記を代理人に依頼するとき、原則的に委任状が必要です。フォーマットのない委任状は、さまざまなポイントに気をつけながら、必要事項と申請者の意思を表明する内容に仕上げなければなりません。

相続登記をする際、膨大な必要書類の取得や申請書の作成が必要です。申請者以外に代理を依頼するのであれば、相続登記の専門家である司法書士や弁護士に依頼しましょう。

記事の著者紹介

相続プラス編集部

【プロフィール】

相続に関するあらゆる情報をわかりやすくお届けするポータルサイト「相続プラス」の編集部です。相続に悩むみなさまの不安を少しでも取り除き、明るい未来を描いていただけるように、本サイトを通じて情報配信を行っております。

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本記事の内容は、記事執筆日(2024年1月16日)時点の法令・制度等をもとに作成しております。最新の法令等につきましては、専門家へご確認をお願いいたします。万が一記事により損害が発生することがあっても、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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