相続発生の際に相続財産となる資産や負債などの権利や義務の一切を引き継がない「相続放棄」が年々増えており、令和4年の全国の家庭裁判所で過去最多の26万497件が受理されたことが司法統計で判明しました。
相続放棄を選択している人が増えている
過疎化や人口減少が進んでいる中で、空き家となった実家を手放したり親族の遺産を受け取らないといった事例が増えています。放置された家や土地に対する対策が課題となっている一方で、行政が管理できるような制度や規程の新設を求める声が高まっています。
民法では人が亡くなった場合、配偶者や子らが一切の遺産を相続すると定めているため、プラスの遺産だけではなくマイナスの遺産も相続しなければなりません。どちらの遺産も受け継がないために、家庭裁判所は相続放棄を申し立てることができます。
全国の家庭裁判所では相続放棄の申し立ての受理件数が増加しており、司法統計で令和元年は22万5416件、令和2年が23万4732件、令和3年が25万1994件でした。
相続放棄をした人の中には家の固定資産税や維持費などの負担を考えて相続を放棄する事例や、疎遠な親族と関わりたくないために遺産を放棄する事例もあります。
相続放棄の期限は3か月
相続放棄の期間は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月と定めれれています。また、一度手続きをしてしまうと撤回できないため、相続放棄をしたいと考えているのであれば、慎重かつ迅速に対応する必要があります。
基本的に申請すればほとんどのケースで認められる手続きではありますが、その申請期限の短さもあり申請までに苦労する方も多くいらっしゃるようです。