賃借権はどのように相続される?借地権を相続した場合の対処法や注意点をご紹介します

公開日:2025年3月28日|更新日:2026年8月4日

賃借権も相続の対象!相続した場合の対処法や注意点をご紹介_サムネイル

「亡くなった親が賃貸アパート暮らしだったけど借りていた部屋はどうする?」被相続人が賃貸物件に暮らしていた場合、賃借権も相続の対象となります。賃借権を相続した場合、住むか解約するかの選択が必要です。この記事では、賃借権の相続について相続後の対処法や注意点などをわかりやすく解説します。

賃借権は相続される

賃借権とは、賃料を支払うことで借りたものを利用する権利です。賃貸借契約に基づいて発生し、賃借人(借主・居住者)は住むために建物を使用する権利を得る一方で、賃料を支払う義務を負います。

被相続人が生前賃貸アパートやマンションで暮らしていた場合、被相続人と家主との賃貸借契約に基づいて賃借権が発生しています。そして、この賃借権は相続の対象です。そのため、相続発生後は建物に住む権利と賃料を支払う義務が相続人に相続されるのです。

賃借権の相続が発生する場合、遺産分割が終わるまで相続人全員で賃借権を共有する「準共有状態」となります。相続人が複数人いる場合は、それぞれが法定相続分に応じて、借りている部屋を使う権利と賃料を支払う義務を負うことになるのです。

なお、被相続人が賃貸暮らしでも終身建物賃貸借契約の場合は、賃借権の相続は発生しません。終身建物賃貸借契約では借りた人が亡くなった時点で契約が終了するため、賃借権が相続財産にならないためです。

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賃借権を相続した場合の対処方法

賃借権に相続が発生する場合、いくつかの対処方法を検討できます。

賃貸借契約を解除する

契約を解除するまで賃料は発生し続けるので、早めに解除の手続きを進めましょう。

複数人の相続人が賃借権を共有している状況の場合、契約解除するには全員の同意が必要です。一方、遺産分割協議で特定の相続人が賃借権を引き継いだ後なら、その相続人単独で契約を解除できます。

また、解除手続きは賃貸借契約の規定に従って行う必要があります。一般的には「解約の1か月前に申し出る」などの中途解約の規約が定められている場合があるので、契約内容にあわせて手続きを行っていきましょう。

なお、相続人は敷金返還を請求する権利も引き継ぎます。そのため、契約解除に伴い、敷金返金を請求することが可能です。

相続した人が住み続ける

賃借権は相続財産であるため、遺産分割協議等で引き継ぐ人を決められます。相続人が決まったら、その相続人は単独で住み続けることが可能です。

賃借権の承継に賃貸人の同意や承諾料は原則不要であり、まったく新しい賃貸借契約を結び直す必要もありません。ただし、借主の名義変更届の提出や、保証人・緊急連絡先の再確認といった実務上の手続きは必要となるため、早めに賃貸人や管理会社へ連絡しましょう。

先述の通り、相続が決まるまでの間も賃料は発生します。この場合は、相続人全員で法定相続割合に応じて賃料を負担することになります。相続人の誰か1人が代表として支払った場合は、その相続人は別の相続人に賃料分を請求することが可能です。相続人の確定以降は、賃借権を引き継いだ相続人で負担することになります。

相続放棄をする

相続放棄することで賃借権を相続することはなくなり、賃料の支払いや契約の解除も必要なくなります。しかし、次の相続人もしくは相続財産清算人が決まるまでは、建物の管理義務が残る場合がある点には注意が必要です。

管理義務がある状態で管理を放置し、周囲に迷惑をかけると損害賠償請求される可能性があります。相続放棄する場合は、次の相続人への連絡や相続財産清算人選定手続きなども考慮することが大切です。

また、相続放棄すると賃借権以外の相続財産も取得できなくなります。賃借権を理由として相続放棄したほうがよいか悩む場合は、相続放棄の手続きとあわせて専門家への相談をおすすめします。

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賃借権の相続に関する注意点

賃借権の相続に関する注意点のイメージ

賃借権の相続では賃料の支払いなどを巡ってトラブルになる可能性があります。ここからは注意点に関して解説していきます。

賃料を滞納すると契約を解除される可能性がある

相続後契約を解除するまでは賃料が発生し続け、相続人は賃料を支払う義務を負います。賃料を滞納してしまうと、滞納分の賃料や遅延損害金を一括請求されるだけでなく、財産の差し押さえなどに発展してしまう可能性があります。

賃借権の相続人が確定するまでの間は、相続人全員で賃料を負担するため、賃料の支払いが滞りやすくなります。そのため、賃料の延滞が起きないように注意しましょう。

公営住宅の賃借権は相続で引き継がれない

公営住宅とは、低所得者などの住宅の確保が難しい人を対象として、廉価の家賃で提供される住宅です。主に自治体が運営しており、県営住宅や市営住宅とも呼ばれます。

公営住宅はそもそも低所得者などに住宅を確保する目的で運営されており、相続人が収入などの条件を満たしていないのに入居するのは目的と反しています。その存在意義から最高裁判所の判例でも公営住宅の賃借権は相続により当然に引き継がれないと判断されているのです。

ただし、低所得など入居基準を満たす相続人であれば、入居の継続を認めてもらえる可能性はあります。

賃借権の相続は専門家に相談を

賃借権は相続の対象となり、相続人は住み続けるか契約解除、あるいは相続放棄などの判断が必要です。しかし、相続後の対応は一度選択すると容易に戻すことはできません。また、対処法を誤ってしまうと大家とトラブルになる可能性があるので、相続後の対応は慎重に行う必要があります。

賃借権の相続をどうするか不安がある場合は、専門家に相談してみるとよいでしょう。

記事の著者紹介

逆瀬川勇造(ライター)

【プロフィール】

金融機関・不動産会社での勤務経験を経て平成30年よりライターとして独立。令和2年に合同会社7pockets設立。前職時代には不動産取引の経験から、相続関連の課題にも数多く直面し、それらの経験から得た知識などわかりやすく解説。

【資格】

宅建士/AFP/FP2級技能士/相続管理士

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本記事の内容は、記事執筆日(2025年3月28日)時点の法令・制度等をもとに作成しております。最新の法令等につきましては、専門家へご確認をお願いいたします。万が一記事により損害が発生することがあっても、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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