生前贈与加算(持ち戻し)とは?相続税に持ち戻される期間が3年から7年に延長されました

公開日:2024年11月15日|更新日:2026年7月21日

生前贈与加算とは?相続税に持ち戻される対象や税制改正の内容を徹底解説_サムネイル

生前贈与のタイミングによっては、相続財産に贈与額を加算して相続税を計算することをご存じでしょうか。これを生前贈与加算(持ち戻し)と呼びます。本記事では、2023(令和5年)に行われた税制改正の生前贈与加算について解説します。

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生前贈与加算(持ち戻し)の期間が3年から7年に

2023年に行われた税制改正によって、生前贈与加算の期間が相続開始前3年から相続開始前7年に延長されました。すでに期間の変更は、2024年(令和6年)1月1日から施行されています。

生前贈与加算(持ち戻し)とは

2023年に行われた税制改正によって、2024年1月1日以降に行われる暦年贈与から、持ち戻しの期間が「相続発生前3年」から「相続発生前7年」に延長されることとなりました。

相続税回避を抑制する観点から、もともと相続税と比べて贈与税は高い税率が設定されています。税率の違いによって財産が少ない家庭では生前贈与をしないでおこうという意識が芽生えるものの、財産の多い家庭では相続税を回避しながら次世代へ多額の財産を移転させることが可能です。

そもそも相続税や贈与税の目的は、社会における富の再分配です。裕福な家庭は末代まで裕福でいられるといった社会制度を回避するために、次世代へ財産を譲り渡す際に国が税金を徴収しています。

このように負担が軽減されてしまうと、経済格差の固定化を助長させてしまいます。そこで、生前贈与によって生まれる税負担の不公平を正すために、持ち戻しの期間が延長されることとなったのです。

生前贈与加算(持ち戻し)の対象者

生前贈与加算の対象者は、相続発生前3年以内(改正後は7年以内)に贈与を受けた人のうち下記のいずれかに該当する人です。

  • 法定相続人や代襲相続人で相続財産を取得した人
  • 遺言の指定によって財産を遺贈された人
  • 生命保険金や死亡退職金などのみなし財産を取得した人

一方、持ち戻しの期間に被相続人から生前贈与によって財産を取得していたとしても、下記に当てはまる方は生前贈与加算の対象から外れます。

  • 相続放棄をした法定相続人
  • 法定相続人や受遺者以外の親族・知人

相続放棄をすると財産を相続する権利を失うため、生前贈与を受けていたとしても相続することはなくなるため生前贈与加算の対象から外れます。相続放棄をすると代襲相続も発生しないため、相続放棄をした人の子どもが代襲相続人になることもありません。

また、法定相続人や遺言による遺贈を受けていない人も生前贈与加算の対象から外れます。

ただし、上記に当てはまる場合であっても、みなし財産を受け取った場合には生前贈与加算の対象となるため注意しましょう。

生前贈与加算(持ち戻し)の対象となる財産

生前贈与加算の対象となる財産は、下記の通りです。

  • 持ち戻しの期間内に行った暦年課税における生前贈与
  • 被相続人が死亡した年に行った暦年課税における生前贈与

ここでの注意点は、暦年贈与における贈与税の基礎控除110万円についても相続財産に持ち戻されることです。贈与税の課税を免れたとしても、期間内の贈与財産は相続財産に持ち戻されて相続税の課税対象となります。

ただし、すでに贈与税を納めている財産が持ち戻される場合もあるでしょう。この場合、贈与税額控除が設けられているため、相続税と贈与税の二重課税を回避できます。

また、生前贈与加算の対象となる贈与財産は、贈与を受けた時点における評価額で計算します。相続発生日における評価額ではない点に注意しましょう。

参照:No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)|国税庁

期間の延長が完全に移行するまでの経過措置がある

すでに改正税制が施行されているものの、いきなり持ち戻しの期間が7年に延長されるわけではありません。2027年(令和9年)1月1日以降に発生した相続に対して段階的に期間が延長され、完全移行は令和13年1月1日以降となります。

また、延長の対象は2024年1月1日以降に行われた暦年贈与に限られます。従来・経過措置・完全移行後で持ち戻しの期間の考え方が異なるため注意しなければなりません。

2023年以前の贈与は期間延長としての課税額には算入されない

期間の延長の対象は、2024年1月1日以降に生前贈与によって取得された財産です。そのため、2023年以前の生前贈与については現行通り3年以内の持ち戻しとなります。

【1】2023年10月20日に生前贈与され、被相続人が令和10年3月20日亡くなった
→2023年以前の生前贈与については現行通り3年以内の持ち戻しとなるため、生前加算する必要はない。

【2】2024年1月20日に生前贈与され、被相続人が令和10年3月20日亡くなった
→2024年1月1日以降に行われた生前贈与のため、期間延長としての生前加算の対象となる。

このように、相続発生日が同じであっても、生前贈与のタイミングによって生前加算の対象になるかならないかが異なります。

移行のスケジュール

持ち戻しの期間はいきなり7年に延長されるわけではなく、しばらくは経過措置が設けられています。持ち戻しの期間は随時延長されることとなっており、生前贈与と相続開始の時期によって持ち戻し期間が変動します。

具体的には、下記のように2027年1月1日以降に発生した相続から段階的に延長される予定です。

相続発生日持ち戻し期間
2026年(令和8年)以前従来通りの「3年」
2027年(令和9年)1月1日以降〜2030(令和12年)年以前経過措置「3年超〜7年以内」
2031年(令和13年)1月1日以降完全移行「7年」

2027年1月1日以降〜2031年までの持ち戻し期間の延長のスケジュールは、下記の通りです。

  • 2027年相続開始:最長4年
  • 2028年相続開始:最長5年
  • 2029年相続開始:最長6年
  • 2030年相続開始:最長7年

あくまでも、期間延長となる財産の対象は、2024年1月1日以降に行われた生前贈与です。2023年以前に生前贈与された分は、期間延長としての持ち戻しは行われません。

相続開始前4~7年以内のものは100万円を控除できる

今回の税制改正によって延長された持ち戻し期間、つまり相続開始前4〜7年以内に行われた生前贈与については、生前贈与財産の総額から100万円を控除した金額を持ち戻します。

具体的に見てみましょう。

期間持ち戻される財産の金額
相続開始前4〜7年前総額から100万円を差し引いた金額を加算
相続開始前3年以内総額すべてを加算

あくまでも毎年100万円ずつ控除されるわけではなく、相続開始前4〜7年前の間に生前贈与された総額に対して100万円の控除が受けられる点に注意しましょう。

具体例別の生前贈与加算の考え方

具体例別に生前贈与加算の考え方を確認しましょう。

パターンごとに生前贈与加算がどう変わるかを解説します。

【1】2023年1月1日に生前贈与され、2024年5月1日に亡くなった
→持ち戻しの期間は相続発生から遡って2023年5月1日までの3年間のため、2023年1月1日の生前贈与は加算されない。

【2】2024年1月2日に生前贈与され、2025年5月1日に亡くなった
→持ち戻しの期間は2024年1月1日以降から相続発生までの3年4か月間となり、2024年1月2日の生前贈与は加算対象となる。また、2024年1月1日から5月1日までの生前贈与額から100万円控除して持ち戻される。

【3】2031年4月1日に生前贈与され、2033年5月1日に亡くなった
→持ち戻しの期間は相続発生から遡って7年間のため、2031年4月1日の生前贈与は加算対象となる。2026年5月1日から2030年5月1日までの生前贈与額から100万円控除されて持ち戻されるが、2031年4月1日の生前贈与は全額持ち戻される。

生前贈与加算(持ち戻し)を考慮した相続税対策を始めよう

相続税の額が大きくなりそうだという理由で生前贈与をしても、生前贈与加算によって相続財産に持ち戻される可能性があります。さらに、税制改正によって2024年1月1日以降に行われた生前贈与から順次持ち戻し期間が延長されています。

しかし、制度の内容を正しく理解すれば、相続税対策が可能です。家族構成や現在の資産状況によって適切な節税方法が変わるため、積極的に専門家へ相談することをおすすめします。

 

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相続プラス編集部

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相続に関するあらゆる情報をわかりやすくお届けするポータルサイト「相続プラス」の編集部です。相続に悩むみなさまの不安を少しでも取り除き、明るい未来を描いていただけるように、本サイトを通じて情報配信を行っております。

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本記事の内容は、記事執筆日(2024年11月15日)時点の法令・制度等をもとに作成しております。最新の法令等につきましては、専門家へご確認をお願いいたします。万が一記事により損害が発生することがあっても、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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