【種類別】相続財産調査を自分でする方法を徹底解説!頼れる専門家もご紹介

公開日:2024年11月6日

【種類別】自分で相続財産調査する方法を徹底解説!頼れる専門家もご紹介_サムネイル

相続財産調査は、相続発生後から迅速に取り掛からなければならない作業です。遺産分割や相続税申告などの相続手続きに大きな影響を与えるため、正確かつスピーディーに進める必要があります。本記事では、相続財産調査の重要性や財産の調査方法、注意点について解説します。専門家へ依頼すべきかの判断方法も解説しているため、悩んでいる方は参考にしてください。

相続財産調査とは

相続財産調査とは、亡くなった方が残した遺産をすべて明らかにして、1つ1つの価値を適正に評価することです。遺産と聞くと預貯金や不動産などのプラスの財産をイメージするかもしれませんが、借入金や未払金などのマイナスの財産についての有無も調査します。

被相続人が亡くなり、葬儀が終わったら相続人が真っ先にしなければならない重要な作業です。相続財産調査について理解を深めるために、下記のポイントについて詳しく確認しましょう。

  • 調査の概要・目的
  • 対象となる財産
  • 調査の進め方

順番に確認しましょう。

調査の概要・目的

相続財産調査は、相続発生後早急に相続人が行わなければなりません。もちろん、相続人が弁護士や司法書士などの専門家に依頼して調査をお願いすることも可能です。

相続財産調査は、相続方法の意思決定や遺産分割協議、正確な相続税申告に欠かせない重要な作業です。相続が発生すると、相続人は遺産をどのように相続するか下記の3つの中から決めなければなりません。

  • 単純承認:すべての財産を相続する
  • 相続放棄:すべての財産を相続しない(放棄する)
  • 限定承認:プラスの財産の範囲でマイナスの財産を相続する

相続放棄や限定承認をする場合手続きの期限は、相続発生を知ってから3か月と短く設定されています。しかし、被相続人の財産の内容が分からないと正しい判断ができません。

また、遺言書が残されておらず、相続人が複数人いる場合、一般的に遺産分割協議を行なって遺産の取り分を決定します。しかし、遺産の内容が把握できていなければ、新たに財産が発覚したときに遺産分割協議をやり直さなければなりません。

さらに、遺産総額がわからないことには正しい相続税申告ができません。そもそも相続税の申告は、遺産総額が基礎控除額を超えたときにだけ義務が発生します。そのため、相続財産調査を行わなければ、相続税の申告が必要かどうかの判断もできないままです。

このように、相続財産調査は迅速かつ正確に調査を進め、漏れなく遺産を洗い出す必要があります。

対象となる財産

相続財産調査を行う前に、被相続人の財産のうちどれが相続財産の対象なのかを把握しましょう。

まず、プラスの財産の例は、下記の通りです。

  • 預貯金・現金
  • 不動産
  • 有価証券
  • 国際
  • 貴金属
  • 美術品
  • 自動車
  • 家財道具
  • 貸付金
  • 生命保険(遺産分割の必要はないが相続税申告のために調査が必要)

一方、マイナスの財産の例は、下記の通りです。

  • 借入金(住宅ローンやショッピングローン、クレジット残債務など)
  • 未払金(公共料金や公租公課、医療費など)
  • 保証債務

また、近年はデジタル遺産と呼ばれる形のない財産もあるため、有無の確認を忘れないようにしましょう。

  • 電子マネー
  • ネットバンク・証券
  • 暗号資産・仮想通貨
  • FX
  • NFTアート

ご紹介した財産はすべて相続財産の対象です。漏れなく調査しましょう。

調査の進め方

相続財産調査にかかる期間の目安は、1〜2か月程度です。相続放棄や限定承認の期限が3か月のため、期限を迎えるまでに必ず調査を終えなければなりません。

調査の進め方には、2つの方法があります。

  • 自分で調査する
  • 専門家に依頼する

遺産の数がそれほど多くなく、同居や近所に住んでいる相続人がいるのであれば自分で調査してもすべての財産を調査できるでしょう。

しかし、遺産の数が多く、相続人に相続財産調査にあてられる時間が少ない場合は、専門家へ依頼することをおすすめします。専門家へ依頼すれば、正確かつスピーディーに相続財産調査をしてもらえます。

また、財産調査にかかる費用の目安は、数千〜数十万円です。当然、専門家に依頼したときのほうが費用が多くかかります。

相続人の状況に合わせて、どのように調査すべきかよく検討しましょう。

相続財産調査を専門家に依頼すべきか

相続財産調査を専門家に依頼すべきかのイメージ

相続財産調査を専門家に依頼すべきかどうか、悩む方は多いのではないでしょうか。自分で調査すべきか、専門家に依頼すべきかを判断するために、下記の順番でポイントを解説します。

  • 専門家に依頼するメリット・デメリット
  • 専門家依頼を検討した方がよいケース
  • 調査を依頼する各専門家の種類と特徴
  • 専門家に依頼した場合の費用

詳しく見ていきましょう。

専門家に依頼するメリット・デメリット

まず、相続財産調査を専門家へ依頼したときのメリット・デメリットについて確認しましょう。

専門家に依頼するメリット

専門家に依頼する最大のメリットは、正確かつスピーディーに相続財産の内容を把握できることです。

相続財産調査には多くの手続きに手を取られます。借金がなかったかどうかを信用機関に問い合わせたり、デジタル遺産を調査したりしなければなりません。自分で行うと時間と労力がかかりますが、専門家に任せれば相続人は結果を待つだけです。

また、不動産や有価証券などは1つ1つ正確に評価しなければならず、専門知識が不可欠です。美術品や骨董品、ジュエリーなどの遺産が相続財産の対象となるのかどうかも、専門知識と経験がなければ判断できません。

専門家の力を借りると、相続方法の判断や相続財産の評価を正しく行えます。

専門家に依頼するデメリット

専門家に依頼するデメリットは、費用がかかってしまうことです。相続人自らが相続財産調査を行えば数千〜数万円で済みますが、専門家に依頼すると10〜30万円程度の費用がかかります。

しかし、財産のチェック漏れや正確な財産評価のためには必要な費用とも捉えられます。相続財産のなかから専門家に依頼する費用を捻出できるのであれば、専門家に依頼したほうが余裕を持ったスケジュールで相続手続きを進められるでしょう。

専門家依頼を検討した方がよいケース

相続発生から2か月以内に相続財産調査が終えられるかどうかは、専門家への依頼をする1つの大きな目安です。なぜなら、相続放棄や限定承認の手続き期限が3か月だからです。

そのため、相続人が仕事や子育てで調査に時間がかけられない場合や、被相続人の家から離れた場所に住んでいる場合は専門家に依頼した方がよいでしょう。

また、正確な評価額を調べるために専門家依頼を検討した方がよいケースは下記の通りです。

  • 相続財産が多い
  • 相続財産が把握できていない
  • 不動産や有価証券など評価が必要な財産が含まれている
  • 相続人に相続財産調査をする時間がない

1つ1つの財産を調べることは難しくありませんが、数が多いと大きな負担になってしまいます。また、不動産や有価証券などは専門家でなければ正確な評価が導き出せないかもしれません。

このように、相続発生から2か月後までに調査が終わらなさそうな場合や正確に調査する自信が持てない場合には、専門家に頼ることをおすすめします。

調査を依頼する各専門家の種類と特徴

相続財産調査を依頼できる専門家は、以下の4つです。

  • 弁護士
  • 司法書士
  • 税理士
  • 行政書士

それぞれ専門分野や特徴が異なります。状況に合わせて依頼する専門家を選びましょう。

弁護士

弁護士の強みは、相続放棄や遺産分割協議書の作成などのほとんどの相続手続きを代行できることです。とくに、相続に関してトラブルが起きた場合、紛争解決のために交渉や訴訟の代理人を依頼できます。

そのため、相続トラブルが予測される場合やすでにトラブルが発生している場合には、相続財産調査も弁護士に依頼することをおすすめします。

また、相続トラブルの恐れがなくても、相続放棄や遺言執行者の選任など裁判所で行う相続手続きをまとめて依頼したい場合にも弁護士へ依頼するとスムーズに進めてもらえるでしょう。

司法書士

司法書士の強みは、不動産関係の知識に長けていることです。不動産の相続登記の代行をすべてお任せできます。そのため、不動産が相続財産のなかに含まれるのであれば司法書士に依頼しましょう。

ただし、多くの司法書士は相続に関するトラブル解決には対応していません。万が一、相続トラブルのリスクがあるのであれば、はじめから弁護士に依頼することをおすすめします。

税理士

税理士の強みは、相続税申告の代行や節税対策アドバイスをしてくれることです。相続税を申告しなければならないと分かっているのであれば、税理士に依頼すると税関連の業務をすべて任せられます。

ただし、相続税の申告が必要な場合であっても、税関連の手続きは税理士に、他の相続関連の手続きは弁護士に、と分担してすべての手続きを進めていくことが一般的です。

弁護士などの力が必要なさそうな場合にのみ、相続財産調査についても税理士に依頼するとよいでしょう。

行政書士

行政書士の強みは、相続手続きに関する必要書類作成・収集を代行してくれることです。ただし、裁判所に提出する書類の作成や紛争があるときの書類を作成する行為は、法律上禁止されています。

できることが限られている分、弁護士などよりも1つ1つの手続きにかかる費用が低く設定されている傾向にあります。

そのため、裁判所における相続手続きを依頼する予定がない場合や、相続トラブルの可能性がない場合には、行政書士への依頼がおすすめです。

専門家に依頼した場合の費用

相続財産調査を専門家に依頼した場合、費用の目安は10〜30万円程度です。ただし、自分で行う際にも、下記のように数千〜数万円の費用が発生します。

費用項目費用
照会手数料1件あたり数百〜数千円
必要書類発行料1件あたり数百〜数千円
郵送代実費

上記の費用は、事務所によって実費で請求される場合と、設定された料金プランに含まれている場合があるため、依頼する際は確認しておきましょう。

また、依頼する業務範囲や事務所によって請求される費用は大きく異なります。先に見積もりを提示してもらい、納得のうえ依頼することをおすすめします。

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財産種類別の相続財産調査の方法

相続人が自分で相続財産調査を行う方法について、下記の財産種類ごとに解説します。

  • 金融機関(預貯金)
  • 負債
  • 不動産
  • 有価証券
  • その他

順番に確認しましょう。

金融機関(預貯金)

まず、金融機関に預けている預貯金について調べましょう。調査の手順は、下記の通りです。

  • 取引のある金融機関を特定する
  • 死亡時点における残高を確認する

取引のある金融機関を特定するには、下記のようなものが被相続人の自宅にないかチェックしましょう。

  • 通帳・キャッシュカード
  • 郵便物
  • ノベルティグッズ
  • スマホ・パソコンの履歴・アプリ情報
  • スケジュール帳・エンディングノートなど

取引している金融機関が分かったら、死亡時点における残高を確認します。通帳があれば、ATMを利用して記帳すれば残高がわかります。

通帳がない場合は、金融機関に残高証明書を発行してもらいましょう。金融機関によって発行手続きに必要な書類や費用は異なりますが、おおよその目安として下記の表を参考にしてください。

依頼方法・窓口
・郵送
必要書類・残高証明発行依頼書(金融機関のフォーマット)
・亡くなった方の死亡が記載されている戸籍または除籍謄本
・申請者が相続人であることを証明するための戸籍謄本
・申請者の実印
・申請者の印鑑証明書
・申請者の本人確認書類
発行費用500〜1000円程度
依頼から発行までの期間1〜2週間程度

遺産分割や相続税の計算では死亡日における残高が必要です。死亡日の日付で残高証明書を発行してもらいましょう。

また、あわせて取引明細も発行してもらうと、他の財産調査の役に立つ場合があります。

「銀行の相続手続き」について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

負債

つづいて、被相続人が抱えていた負債について調査をします。「被相続人は借金をするような人ではない」と思っていても、家族や知人に隠していたケースは少なくありません。あとから発覚した場合であっても、原則相続人が借金を返済しなければならないため、漏れなく確認するようにしましょう。

負債を調査する手順は、下記の通りです。

  • 借入先を特定する
  • 信用情報機関に情報開示請求をする
  • 死亡時点における借入残高を確認する

借入先を特定するには、下記のようなものが被相続人の自宅にないかチェックしましょう。

  • 借入先からの請求書や督促状
  • 借入先との契約書
  • 預金口座の取引明細
  • スマホ・パソコンの履歴・アプリ情報
  • スケジュール帳・エンディングノートなど

負債がある場合、預金口座で毎月返済している記録があるかもしれません。取引のある金融機関を特定したうえで負債について調査するとスムーズです。

ただし、被相続人の自宅を捜索しても、すべての負債が判明するとは限りません。そのため、念の為信用情報機関に情報開示請求をしましょう。

信用情報機関とは、個人の借入情報を管理している機関です。借入先の種類によって3つの機関で情報が管理されています。

借入先の種類開示請求先
消費者金融株式会社日本信用情報機構(JICC)
クレジット会社株式会社シー・アイ・シー(CIC)
銀行全国銀行個人信用情報センター(全銀協)

信用情報機関によって発行手続きに必要な書類や費用は異なりますが、おおよその目安として下記の表を参考にしてください。

依頼方法・郵送
・インターネット
必要書類・信用情報開示申込書(信用情報機関のフォーマット)
・亡くなった方の死亡が記載されている戸籍または除籍謄本
・申請者が相続人であることを証明するための戸籍謄本
・申請者の本人確認書類
発行費用1000〜2000円程度
依頼から発行までの期間1〜2週間程度

ただし、奨学金や連帯保証人になっている借入金、親戚・知人との個人間における借入金については信用情報機で管理されていないため、自宅に契約書が残っていないか入念に確認しましょう。

借入先の特定ができれば、死亡時点における借入残高を確認します。借入先の金融業者に問い合わせれば、借入金残高証明書を発行してもらえます。

万が一、金融業者とのやりとりのなかで返済を求められたとしても、返済を約束しないようにしましょう。なぜなら、「返済の意思がある」とみなされ、相続放棄できなかったり、執拗に返済を求められたりとトラブルに発展するリスクがあるからです。

財産調査をしていると伝えるだけで、問題なく事務手続きを進めることができます。

不動産

つづいて、被相続人が所持していた不動産について調査をします。不動産を調査する手順は、下記の通りです。

  • 不動産を特定する
  • 名寄帳を申請する
  • 登記事項証明書を取得して権利情報を確認する
  • 不動産評価額を算定する

不動産の地番と家屋番号を特定するために、下記のようなものが被相続人の自宅にないかチェックしましょう。

  • 固定資産税の納税通知書
  • 登記済権利証(登記識別情報)
  • 不動産取得の契約書
  • 預金口座の取引明細
  • スマホ・パソコンの履歴
  • スケジュール帳・エンディングノートなど

被相続人の自宅から手がかりが出なかった場合、名寄帳を申請しましょう。名寄帳とは、個人が所有している土地や家屋を一覧で確認できる書類です。土地・家屋の所在地はもちろん、面積や納税標準額、評価額なども記載されています。

名寄帳申請方法は下記の通りです。

申請先不動産の所在を管轄する市区町村役場
依頼方法・窓口
・郵送
必要書類・申請書(市区町村役場のフォーマット)
・亡くなった方の死亡が記載されている戸籍または除籍謄本
・申請者が相続人であることを証明するための戸籍謄本
・申請者の本人確認書類
発行費用200〜400円程度
依頼から発行までの期間2〜3週間程度

ただし、名寄帳には非課税の不動産が掲載されていない場合がある点と、当該市区町村に所在する不動産しか記載されていない点に注意しましょう。

不動産の地番と家屋番号の情報を取得できたら、法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取得しましょう。登記事項証明書(登記簿謄本)を見れば、不動産の権利情報が確認できます。

登記事項証明書(登記簿謄本)の取得方法は、下記の通りです。

申請先全国の法務局
依頼方法・窓口
・郵送
・オンライン
必要書類・申請書(法務局で公開されているフォーマット)
発行費用・窓口、郵送での郵送:600円
・オンライン申請:500円(窓口受け取りの場合は480円)
依頼から発行までの期間・窓口:即日
・郵送、オンライン:数日〜1週間程度

権利情報が分かったら、ようやく不動産の評価額が確認できます。

ただし、不動産の評価方法は、評価の目的によって異なります。目的に合わせて、不動産評価方法を選びましょう。

評価の目的評価方法
遺産分割・実勢価格(取引価格)
・地価公示価格
・路線価方式
・固定資産税評価額
相続税申告・土地:路線価方式
・家屋:固定資産税評価額

国土交通省の土地総合情報システムや土地総合システム、国税庁の路線価などを活用すればおおよその評価額を算出することは可能です。しかし、正確な評価額を算出するには、専門家に評価してもらうようにしましょう。

「相続の土地評価」について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

有価証券

つづいて、有価証券についての調査を進めていきましょう。有価証券を調査する手順は、下記の通りです。

  • 取引のある証券会社を特定する
  • 証券保管振替機構に情報開示請求をする
  • 死亡時点における残高を確認する

取引のある証券会社の手がかりを見つけるために、下記のようなものが被相続人の自宅にないかチェックしましょう。

  • 株券
  • 証券会社からの郵便物
  • 証券会社のノベルティ
  • 預金口座の取引明細
  • スマホ・パソコンの履歴・アプリ情報
  • スケジュール帳・エンディングノートなど

被相続人の自宅から手がかりが出なかった場合、証券保管振替機構に情報開示請求を行いましょう。証券保管振替機構とは「ほふり」と呼ばれ、有価証券取引の管理をしている機関です。

ほふりへ情報開示請求をする方法は、下記を参考にしてください。

依頼方法郵送
必要書類・開示請求書書(証券保管振替機構のフォーマット)
・亡くなった方の死亡が記載されている戸籍または除籍謄本
・亡くなった方の住所地がわかる本人確認書類
・申請者が相続人であることを証明するための戸籍謄本
・申請者の印鑑証明書または住民票
・申請者の本人確認書類
発行費用1件あたり6050円程度

※2件目以降、1件あたり1100円追加費用が発生

依頼から発行までの期間2〜3週間程度

取引している証券会社がわかったら、死亡日時点における有価証券の残高を確認しましょう。残高証明書の発行手続き方法は証券会社によって異なるため、問い合わせて確認してください。

「株式の相続」について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

その他

ここまでで挙げた財産のほかにも、換金価値のある財産は相続財産の対象のため、調査をしなければなりません。たとえば、貴金属や美術品、自動車、権利などの有無を確認し、それぞれの評価額を算出する必要があります。

被相続人の自宅や別荘、貸金庫などを念入りに創作し、他の財産がないか手がかりを見つけるしか手段はありません。

財産が見つかったら換金価値のある財産は一覧にまとめ、鑑定を受けて評価額を調査しましょう。

相続財産調査について知っておきたいこと・注意点

相続財産調査を行うにあたって、あらかじめ知っておきたいこと・注意点は下記の通りです。

  • 財産調査は死後2か月程度で完了させる
  • 相続財産調査の後には財産目録を作成する
  • よくある重要物の保管場所を知っておく

順番に確認しましょう。

財産調査は死後2か月程度で完了させる

相続財産調査は、被相続人の死亡から2か月以内に終えるように進めましょう。なぜなら、相続放棄や限定承認の手続きの期限が、自身に相続があると知った日から3か月以内だからです。

一般的に「自身に相続があると知った日」は被相続人が死亡した日を指します。四十九日までは喪に服す期間とされるものの、できるだけ早い段階で財産調査を進めなければなりません。

また、相続放棄や限定承認の手続きをするためには一定の準備期間が必要です。家庭裁判所へ提出する書類の作成や必要書類の収集などに時間がかかってしまいます。

相続放棄や限定承認の手続き期間を考慮すると、被相続人の死亡から2か月以内に終わらせることが理想です。時間がない場合や財産調査に手がつかない場合は、専門家に頼ることも検討しましょう。

相続財産調査の後には財産目録を作成する

相続財産調査が終わったら、財産目録を作成しましょう。財産目録とは、相続財産の内容を一覧にまとめたものです。

財産目録があれば遺産分割協議で相続人が公平に主張ができ、スムーズに協議を進められます。相続税申告をする際にも、記載漏れを防ぐために役立ちます。

また、財産目録で相続財産を一覧にして見ることで、相続放棄や限定承認などの判断材料になるでしょう。マイナスの財産とプラスの財産を比較しやすくなり、意思決定が早まります。

財産目録には決まったフォーマットがないため、相続人たちが分かりやすいように工夫して作成しましょう。ただし、下記のポイントをおさえておくと、より正確性が高まります。

  • 第三者が見ても財産が特定できるように正確な記載をする
  • 評価額の根拠をあわせて記載する

財産が見つかるたびに記載して、抜け漏れのない財産目録を作成しましょう。

「財産目録」について、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

よくある重要物の保管場所を知っておく

調査を相続発生から2か月程度で完了させるためには、効率よく調査を進める必要があります。よくある重要物の保管場所を知っておけば、効率的に手がかりを見つけることができます。

人が大事なものを置く場所のアイディアはそれほど多くなく、限りがあります。まずは、よくある保管場所に集中して調査しましょう。

よくある重要物の保管場所は、下記の通りです。

  • 金庫・貸金庫
  • かばん
  • 財布
  • 仏壇
  • 棚・引き出し
  • 床下
  • 郵便物入れ・書類入れ
  • 押し入れ
  • 食器棚
  • 冷蔵庫
  • 寝具の下・すきま

生前の被相続人の癖や生活習慣を振り返って、よく考えてみましょう。

また、パソコンやスマホにも手がかりが残っている可能性があります。とくに電子マネー
やネットバンク・証券などのデジタル遺産の手がかりの多くは、パソコンやスマホのなかに眠っています。

ダウンロードしているアプリやメールからも、金融機関との取引状況がわかるかもしれません。

相続手続きのために相続財産調査を迅速に終わらせよう

相続財産調査が終わらなければ、相続放棄や相続税の申告ができません。相続が始まったら、1番最初に行う作業であると理解しておきましょう。

また、相続財産調査が終わっていなければ、相続放棄や限定承認をするための判断ができません。相続放棄や限定承認の手続き期限は、一般的に被相続人が亡くなった日から3か月です。

期限に間に合うよう手続きするには、相続財産調査を2か月以内に終わらせる必要があります。

しかし、相続人だけでは調査しきれない場合もあるでしょう。2か月以内に調査を終える目処が立たないときは、相続に強い専門家に相談することをおすすめします。専門家であれば、正確かつスピーディーに調査を進めてくれます。

相続プラスでは、エリアごと・悩みごとに相続に強い専門家を検索することが可能です。ぜひ活用して、相談できる専門家を見つけましょう。

記事の著者紹介

安持まい(ライター)

【プロフィール】

執筆から校正、編集を行うライター・ディレクター。IT関連企業での営業職を経て平成30年にライターとして独立。以来、相続・法律・会計・キャリア・ビジネス・IT関連の記事を中心に1000記事以上を執筆。

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本記事の内容は、記事執筆日(2024年11月6日)時点の法令・制度等をもとに作成しております。最新の法令等につきましては、専門家へご確認をお願いいたします。万が一記事により損害が発生することがあっても、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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