代襲相続人とは?相続割合やメリット・デメリットなどを徹底解説

公開日:2022年6月17日

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代襲相続とは、相続が開始される前に相続人となる予定の人が相続権を喪失したときに、その子どもが同一順位で相続することです。代襲相続は認められた理由でしか適用できません。
今回の記事では、代襲相続が認められるパターンと相続割合について、紹介します。複雑な代襲相続のポイントを把握して、スムーズな相続を実現させましょう。

代襲相続とは

代襲相続とは、何らかの理由で相続資格を喪失した相続人の子孫が代わりに相続権を得ることです。相続人に子どもや孫がいれば、相続権を引き継ぐことができます。

ただし、どんな理由でも代襲できるわけではありません。代襲できる要件が定められています。これを代襲原因と呼びます。

代襲原因は、以下の3つです。

  1. 相続が開始される前の相続人の死亡か同時死亡
  2. 相続欠格
  3. 相続排除

ここでは相続が開始される前の相続人の死亡について解説します。代襲原因2と3については、後の章で詳しく見ていきましょう。

相続が開始される前の相続人の死亡について、イメージしやすいように具体例で確認します。

  • 被相続人Aの子どもBを事故で亡くし、現在Aの配偶者と孫Cが存命

このケースだと、相続予定であったBの相続権を孫Cが代襲します。そのため、財産を相続できるのは配偶者と孫Cです。被相続人(故人)の財産を継承できる相続人が相続開始前に死亡していた場合、相続人は被代襲者となります。

つまり、被代襲者の子どもは代襲相続人となり、相続人と同じ権利を行使できるのです。

ちなみに、相続開始以前の死亡には被相続人と同時に死亡した場合も含まれます。具体的には、以下のケースです。

  • 被相続人Aと娘Bが同乗したヘリコプターが遭難し二人とも死亡。孫Cのみ存命

この場合、AとBは同時に死亡したと考えても差し支えないので、Aの孫CはBに代わってAの財産を代襲します。

代襲相続の範囲と相続割合について

代襲相続の範囲と相続割合は、法定相続人の規定がベースとなっています。

まず、法定相続人の範囲について確認しましょう。法定相続人とは、法律で定められた相続権を持った人のことです。

以下の続柄の人が法定相続人に当てはまります。

  • 配偶者
  • 血族相続人

法律上の配偶者は必ず法定相続人になります。婚姻関係のない内縁の配偶者は、相続人に含まれません。血族相続人には優先順位が設けられており、順位の高い血族相続人と配偶者が法定相続人となります。

以下の表で血族相続人の相続順位と一緒に、代襲相続人の扱いも確認しましょう。

<相続の順位>

順位 続柄
第一順位 直系卑属(子ども・養子・胎児・代襲相続人)
第二順位 直系尊属(父母・祖父母)
第三順位 兄弟姉妹・代襲相続人

直系卑属とは直通する系統で自分より後の世代のことで、代襲相続人も含みます。直通する系統であれば何世代先の子どもでも代襲可能です。このように代襲を繰り返すことを再代襲と呼びます。

養子は養子縁組を行えば法律上の血族であるため、第一順位の子どもと同じ扱いです。そのため、養子縁組を行ったあとに生まれた子どもは代襲相続人の権利を持ちます。ただし、養子縁組前に生まれた子どもは代襲相続人になれません。

また、胎児はすでに生まれたものとみなされます。

直系尊属とは、直通する系統で自分より前世代の親族のことです。被相続人の父母が死亡していても祖父母が存命なら、相続権は第二順位のまま祖父母へスライドされます。

兄弟姉妹の代襲相続は、直系卑属と異なり本人の子どもまでです。

代襲相続人の相続割合は、本来の法定相続人の割合と変わりません。

第九百一条 第八百八十七条第二項又は第三項の規定により相続人となる直系卑属の相続分は、その直系尊属が受けるべきであったものと同じとする。ただし、直系卑属が数人あるときは、その各自の直系尊属が受けるべきであった部分について、前条の規定に従ってその相続分を定める。
2 前項の規定は、第八百八十九条第二項の規定により兄弟姉妹の子が相続人となる場合について準用する。
※引用:民法第901条|民法(明治二十九年法律第八十九号)

相続割合は以下のとおりです。

<相続割合>

組み合わせ 割合
配偶者と子ども 配偶者:2分の1
子ども:2分の1
配偶者と父母 配偶者:3分の2
父母:3分の1
配偶者と兄弟姉妹 配偶者:4分の3
兄弟姉妹:4分の1
※父母のどちらか異なる場合、双方が同じ兄弟姉妹の2分の1

相続人が複数いる場合、全体から配偶者の割合を差し引いた分の財産を人数割りします。たとえば、配偶者と子どもが3人いるケースだと、1/2(子ども全体の取り分)×1/3(人数割り)=1/6が子ども一人当たりの取り分です。

腹違いや父親が異なる兄弟姉妹にも相続権は認められますが、両親が同じ兄弟姉妹の取り分の2分の1と法律で定められています。

ここまで見てきた基礎知識をもとに、いくつかの事例を見ながら代襲相続人の範囲と割合を確認しましょう。

  • 被相続人Aの姉Bは病死
  • 存命血族はAの配偶者とBの子どもである甥CとDのみ

この場合だと配偶者だけでなく、甥C・Dも姉Bの代襲相続によりAの財産を相続できます。

相続割合は以下のとおりです。

  • 配偶者…3/4
  • 甥C・D…1/4×1/2(CとDで分割)=1/8

他の事例も確認しましょう。

被相続人Aと子どもB、孫Cは同じ事故で同時に死亡
存命血族はAの配偶者とCの子どもであるひ孫Dのみ

代襲者が代襲原因にあたる理由で相続できない場合、再代襲により代襲者の子どもが権利を得ます。

相続割合は以下のとおりです。

  • 配偶者…1/2
  • ひ孫…1/2

ひ孫はBの直系卑属のため、Bの相続権を再代襲していることから取り分は1/2です。

異母兄弟がすでに死亡しているケースも確認しましょう。

  • 被相続人Aの兄弟姉妹に妹Bと腹違いの兄CがいたがCは病死
  • 存命血族はAの配偶者、妹BとCの子どもである姪Dのみ

腹違いの兄Cを代襲することでDもAの財産を相続できます。

相続割合は以下のとおりです。

  • 配偶者…3/4
  • 妹B…1/4×2/3(両親が同じ取り分)=1/6
  • 姪D…1/4×1/3(親が片方違う取り分)=1/12

兄弟による相続割合は両親が同じであれば基本的に均等割りですが、両親が同じ人と異母または異父の人で遺産分割するときは2:1の割合です。そのため、腹違いであるCを代襲相続したDの相続割合は兄弟姉妹の取り分から1/3をかけて計算します。

ここまで見てきた代襲相続をまとめたので確認しましょう。

  • 代襲相続人は法定相続人と同等の権利を得る
  • 相続人が被代襲者となった場合、相続人の子どもが代襲相続人になる
  • 養子縁組後に生まれた子どもは代襲相続できる
  • 異母兄弟や異父兄弟でも相続権はある
  • 異母・異父兄弟の相続だと割合は1/2
  • 直系卑属は再代襲できる
  • 兄弟姉妹の代襲相続は1回限り
  • 相続割合は法定相続人と同じ

代襲相続とは、本来相続すべき人がいないときにその子どもが引き継ぐ制度であることを覚えておきましょう。

相続欠格・相続廃除は代襲相続を発生させる

相続人の死亡の他に、相続欠格と相続排除も代襲原因となります。相続欠格とは、相続人の不正行為に対する処罰として、被相続人の意志に関係なく相続権を当然に喪失させる制度のことです。

以下のようなケースが相続欠格に当てはまります。

  • 相続関係者に対する殺人や殺人未遂で有罪となった場合
  • 被相続人を殺した犯人を知っていて告発しない場合
  • 相続に関する遺言を詐欺や脅迫で思い通りにしようとした場合
  • 遺言書を偽造したり破棄した場合

不正を働いた本人の相続権をはく奪する制度のため、その子どもの相続権は失われず代襲相続できます。

相続廃除とは、被相続人の意志で遺留分の権利を持った相続人の相続権を失わせる制度のことです。相続廃除を行えば、相続人ではなくなるので本来なら遺留分という形で相手に財産が渡ることを阻止できます。

遺留分とは、遺言書の内容に関係なく遺族の生活保護の観点から一定の割合で相続人に財産を付与する仕組みのことです。遺言書に「長男には財産を渡さない」と書いたとしても、遺留分を請求する権利が長男にあるため財産の一部が渡ってしまいます。

ただ、被相続人へ日常的に虐待したり暴言を吐いたりしている人間も少なからず存在するのが現状です。人として許されない行為を行った人間への遺留分相続を制限するために相続廃除という制度があります。

相続廃除は残された家族に大きな影響を与えるため、家庭裁判所に申し立てをしなければなりません。以下のようなケースだと、相続廃除が認められやすいです。

  • 被相続人に対し虐待や侮辱をしていたとき
  • 著しい非行を行っていたとき

相続廃除に該当する人の相続権ははく奪されますが、排除者の子どもは代襲相続できます。

相続欠格と相続廃除は、どちらも相続人の行動に対するペナルティなので、欠格者と排除者の子どもが代襲相続できる権利は残ります。

相続放棄をすると代襲相続は発生しない

法定相続人が相続放棄すると代襲相続は発生しません。なぜなら、相続放棄を行うと最初から相続人ではないとみなされるからです。

そのため、相続放棄をした人の子どもに代襲相続する権利は付与されず、代襲原因となりません。

具体的にイメージしてみましょう。

  • 被相続人Aの長女Bが相続放棄、次女Cはすでに死亡
  • 存命血族はBの子どもDと、Cの子どもEのみ

この場合、Bは最初から相続人ではないとみなされるため、Dの代襲相続する権利も同様になかったものとみなされます。その結果、Eだけが代襲相続人になるのです。

相続放棄をした人の子どもに代襲相続は発生しないため、ほかの血族に相続権が集中します。

代襲相続のメリット・デメリット

代襲相続のメリットは、死亡する順番で相続権の発生が左右されないことです。

代襲相続制度がないケースをイメージしてみましょう。

被相続人Aの子どもである相続人Bが事故で亡くなっていた場合、Bの子どもであるCの相続できる範囲はBの財産のみです。つまり、直系卑属でも被相続人Aの財産を相続できません。

一方、代襲相続の制度があればCは被相続人Aの財産を相続する権利を持てます。

また、代襲相続を行うことにより、相続人が増えれば税制面でも有利です。相続税は法定相続人の数が増えるほど、基礎控除額も大きくなります。死亡保険や死亡退職金などの非課税枠も法定相続人が増えるほど拡大するので、税負担は軽くなるでしょう。

ただし、メリットがある反面デメリットもあります。代襲相続のデメリットは、法定相続人の増加によって相続トラブルに発展しやすいことです。

以下の事例で考えてみましょう。

  • 配偶者と交流のない姪が相続人のケース

被相続人に配偶者はいるものの子どもはおらず、親兄弟もすでに死亡している状況です。そのため、被相続人の財産を姪とも均一に分割しなくてはいけません。

関係が良好であれば問題ありませんが、姪が問題を起こして疎遠だったり配偶者が経済的に苦しい状況だったりすることもあるでしょう。交流のない親族に生活の糧である財産を分けることに抵抗を感じる人は少なからずいます。

また、代襲相続の仕組み上、代襲相続人が未成年であることも珍しくありません。代襲相続人の親(被代襲者の配偶者)が法定代理人になったものの、自身の置かれた状況を詳しく理解しないまま不利な条件を突きつけられてしまうことも十分考えられます。

代襲相続は次世代へ財産を残せたり税制面で有利になったりする反面、相続トラブルに発展する可能性も秘めていることをよく理解しておきましょう。

代襲相続における注意点

代襲相続のルールは細かいため、注意点を確認しておかなければ間違った相続手続きをしてしまうかもしれません。事前に注意すべきポイントは、以下の4つです。

  1. 兄弟姉妹の代襲相続は1回限り
  2. 養子縁組した時期で代襲相続人が変わる
  3. 代襲相続人を含めた遺産分割協議を行う
  4. 被代襲者(代襲相続人の親)の戸籍謄本類も集める

直系卑属の代襲相続は子どもがいる限り何度でも可能ですが、兄弟姉妹の代襲相続は自身の子どもだけの1回限りです。また、直系卑属の代襲相続なら遺留分を請求できますが、兄弟姉妹はそもそも権利を持っていないため、代襲相続はできても遺留分の請求はできません。

養子縁組を結べば法律上の血族となるため、養子は相続人です。ただし、養子縁組を結ぶ前に生まれた子どもは代襲相続できません。なぜなら、養子縁組を行う前に生まれた子どもだと、養子の親である養親との親族関係は結べないからです。

相続における遺産分割協議だと基本的に相続人全員の合意が必須のため、代襲相続人も対応しなくてはいけません。代襲相続人が未成年だと法律上、遺産分割協議に参加できないことから代理人を立てる必要があります。

代襲相続人の親(被代襲者の配偶者)が法定代理人として、遺産分割協議に参加するケースが多いものの、弁護士が法定代理人になることも珍しくありません。

法定相続人を確定させる調査では、被相続人の生まれてから死亡するまでの戸籍だけでなく、被代襲者の戸籍も必須です。被代襲者の生まれてから死亡するまでの戸籍を取得して、代襲相続人を正確に確定させる必要があります。

おわりに

代襲相続とは、法定相続人の子どもに相続権を引き継がせる制度のことです。

代襲相続人になれば法定相続人と同様の権利を得られます。しかし、代襲相続の仕組みは複雑で、疎遠になっている親戚と話し合いをしなければならないため、相続トラブルに発展することも珍しくありません。

また、代襲相続人を調査するために被代襲者の戸籍も全て取り寄せる必要があります。手間をかけずにスムーズに相続手続きを行うなら、弁護士に相談することもひとつの方法です。

代襲相続が発生する場合、誰が相続人になるか相続分がどのように変わるのか理解しておき、早めに相続対策を立てましょう。

著者紹介

相続プラス編集部

相続に関するあらゆる情報を分かりやすくお届けするポータルサイト「相続プラス」の編集部です。相続の基礎知識を身につけた相続診断士が監修をしております。相続に悩むみなさまの不安を少しでも取り除き、明るい未来を描いていただけるように、本サイトを通じて情報配信を行っております。

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本記事の内容は、記事執筆日(2022年6月17日)時点の法令・制度等をもとに作成しております。最新の法令等につきましては、専門家へご確認をお願いいたします。万が一記事により損害が発生することがあっても、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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