農協(JAバンク)の相続手続き(払い戻し・名義変更)を徹底解説

公開日:2023年12月15日

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この記事では主にJAバンクでの相続手続きを進めるために必要な書類や、申請フローなどを紹介していきます。必要書類に不備があったり、記載方法に誤りがあると何度も窓口へ問い合わせをすることになってしまいます。スムーズな手続きにするためにも、当記事をお役立ていただければ幸いです。

農協(JAバンク)の相続手続きの流れと必要書類

農業協同組合、通称農協(JA)における相続手続きは、JAバンクを介して行います。基本的な流れは以下にの通りですが、気になる点があれば、最寄りのJAバンク各店舗へお問い合わせください。

【step1】口座名義人が死亡したことを役所へ連絡

【step2】JAバンクで相続手続きの申し込み

【step3】必要書類を準備して提出

【step4】払戻金の受け取り・名義変更手続きの完了

step1-口座名義人が死亡したことを役所へ連絡

まず死亡届をお住まいの役所へ提出しましょう。原則として、被相続人が亡くなったと判明した7日以内(国外で死去した場合は、3か月以内)に済ませるようにしましょう。

step2-農協(JAバンク)で相続手続きの申し込み

役所での対応を終えたら、JAバンクでの手続きへと移ります。JAバンクでは、店舗窓口に連絡します。

店舗窓口

平日/9:00~15:00

step3-必要書類を準備して提出

必要書類は遺言書の有無や手続き(払い戻し・名義変更)によって異なるため、詳しくは最寄りのJAバンク各店舗へお問い合わせください。なお、戸籍謄本や印鑑登録証明書などの書類は基本的に原本が求められます。原本返却を希望される際も同様に、窓口へ伝える必要があることを覚えておきましょう。

必須の書類

  • JAバンク所定の相続手続依頼書
  • 亡くなった方の預金通帳やキャッシュカードなど
  • 亡くなった方の戸籍(除籍)謄本※1※2
  • 委任状(代理人に委任する場合)
  • 振込依頼書(振り込みが必要な場合)

※1法定相続情報一覧図の写しを用意する場合は不要。
※2遺言書がない場合は、出生から死亡まで連続した戸籍(除籍)謄本が必要。

step4-払戻金の受け取り・名義変更手続きの完了

手続きに問題がなければ払い戻しや名義変更が行われます。なお、別途手続きが発生した場合は案内に則って進めていきましょう。

相続手続きに必要な書類の収集方法

銀行の相続手続きで使用するケースが多い書類の発行方法と、手数料についてご紹介します。

印鑑登録証明書

印鑑登録証明書は、印鑑登録している市区町村役場やサービスセンターで、各窓口が用意している申請書に本人確認証を添えて提出すれば発行されます。本人確認証は官公署発行の顔写真付のものであれば1点、それ以外であれば2点用意しておきましょう。発行手数料は自治体によって異なりますが、おおよそ200~300円程度になります。

なお、マイナンバーカードを所持している場合は、コンビニエンスストアでも発行が可能ですが、コンビニエンスストアでの交付に対応しているかどうかは、市区町村ごとに異なります。利用する前に役場のホームページなどで確認しておくとよいでしょう。

戸籍謄本・除籍謄本

戸籍謄本や除籍謄本は市区町村役場で発行でき、発行料は戸籍謄本は450円、除籍謄本は750円かかります。この戸籍謄本は相続の場合、出生から死亡まで連続したものを求められることが多く、状況によっては様々な地域の役場へ出向く必要がありました。

しかし、令和6年3月1日から戸籍謄本の広域交付制度が開始されたことで、最寄りの役場で他地域の戸籍謄本や除籍謄本が一括収集できるようになりました。制度を利用できる環境であれば積極的に活用し自身の負担軽減に役立てていきましょう。ただし、コンピュータ化されていない戸籍証明書は発行はできないので注意が必要です。

残高証明書の取得

手続きの内容や相続財産によっては、JAバンクの残高証明書の取得が必要な場合があります。残高証明書が必要になる場面や、取得に必要な書類、発行にかかる費用を解説します。

残高証明書が必要になる場面とは

遺産分割協議や相続税申告の際には、亡くなった人の口座残高を証明する残高証明書が必要になる場合があります。証明書の発行は払い戻し・名義変更の手続きには含まれていないため、必要に応じて別途窓口で残高証明書の申請を行う必要があります。

また、残高証明書の発行時には、どの時点の残高証明が必要かを尋ねられることがありますが、その場合は「亡くなった方の死亡した日」と答えるのがベターでしょう。なお、残高証明書は取引店以外で手続きを行う場合は日数がかかることがあるので、注意しておきましょう。

残高証明書の発行に必要な書類と費用

残高証明書の発行で主に用意する書類は以下の通りです。

  • 亡くなった方の戸籍謄本(除籍謄本)
  • 相続権利者であることの確認書類
  • 申請者の実印と印鑑登録証明書
  • 申請者の本人確認証明書

なお、取引内容や相続事情に応じて、別途で書類の追加提出が求められる場合があります。JAバンクの残高証明書の発行手数料は、交付方法によって異なり、店頭交付の場合は1通550円、郵送交付の場合は1通1100円になります。

相続手続きの注意点

口座凍結前に預金を引き出すこと

葬儀費用など相続人が全員容認できるケースを除き、亡くなった方の口座から自身の都合のみで引き落としを行った場合は相続を単純承認したことになります。また、相続人同士での揉め事へ発展する可能性があるので、みだりに行わないことを推奨します。

口座凍結後の仮払い

口座凍結後、遺産分割協議の長期化などで預金の払い戻しが滞っている場合は、相続預金の払い戻し制度を活用しましょう。申し立てはJAバンクと家庭裁判所の2つから選べます。必要に応じて覚えておくとよいでしょう。

  • 銀行窓口:裁判所の手続きは不要。仮払いの理由も求められないが引き落としの上限額がある。
  • 家庭裁判所:引き落としの上限はないが、家庭裁判所に遺産分割調停と仮払いの申し立て、その理由も求められる。

参照:遺産分割前の相続預金の払戻し制度のご案内|一般社団法人 全国銀行協会

農協(JAバンク)に関するよくある質問

農協(JA)の組合員が死亡したらどうなる?出資金は相続できる?

組合員が死亡した場合、通常は自動的に脱退(法定脱退)となります。ただし、払戻請求権の全てを取得した相続人より相続後直ちに加入の申し込み(相続加入)をした場合、農協(JA)の承認後その相続人は死亡した組合員(被相続人)の資本金を取得することができます。なお、脱退した年度の配当金は受け取れません。また、事業年度末及び総代会開催日時点で、組合員資格を有している必要があるため注意が必要です。

農協(JA)の出資金の相続期限は?

相続加入を希望する場合は、一般的に相続の開始から3か月以内に申し出る必要がある事が多いです。希望の申し出がない場合は自動的に決定脱退となるため、相続加入を検討した時点で最寄りの農協(JA)へ速やかに相談しましょう。

出資金の払戻しの時期はいつになる?

出資金は被相続人の死亡日に属する年度の翌年度6月に開催する総代会終了後、指定口座による払い戻しになります。なお、店舗によって異なる場合があるので、詳しくは最寄りのJAバンク各店舗へお問い合わせください。

出資金の払い戻しをJAバンク以外の金融機関へ振込することは可能?

出資金の払い戻しを最寄りのJAバンク以外の金融機関へ振り込みすることも可能です。ただし、所定の振込手数料がかかります。

困る人が続出!予想以上に大変な農協(JAバンク)の相続手続き

JAバンクの相続手続きをする方法を解説しましたが、自分で手続きをしようとすると、必要書類の準備や申し込みのために、大変な労力がかかることが分かるでしょう。

【JAバンクの相続手続きが大変なポイント】

  • 想像以上に大変な、関係者全員の戸籍と印鑑証明収集
  • 平日の日中に時間をつくって窓口で手続きをしないといけない
  • 相続人の数が多くなると、膨大な量の書類が必要になる

手続きのためには、亡くなった方の戸籍(除籍)謄本・相続人の戸籍謄本・印鑑証明書を集めなければならず、さらに遺言書や遺産分割協議書の有無によって、必要な書類も変わってきます。手続きのために何度も窓口を訪れることになる可能性もあるので、こうした手続きに不安がある方や時間がとれないという方は、手続きを専門家に依頼することをおすすめします。

【このような方は専門家への依頼がおすすめ】

  • 平日の日中になかなか時間がとれない方
  • 戸籍や印鑑証明の収集を任せたい方
  • JAバンクのほかに、遠方の銀行や複数の銀行に口座をお持ちの方
  • JAバンクのほかに、どの銀行のどの支店に預金があるか分からない方
  • ほかの相続手続きとあわせて任せたい方

相続プラスではJAバンクや銀行の手続きの相談をできる専門家を多数紹介しています。無料相談を実施している専門家も多いので、皆様の状況にあった相談ができる専門家を探してみてください。

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本記事がJAバンクの相続手続きにお悩みの方の助けになれば幸いです。大切な方の遺産と遺志を適切に管理し、故人の想いをのこしていきましょう。

農協(JAバンク)とは

農業協同組合(JA)の起源は1900年の産業組合法に基づく組織「産業組合」で、これが農協の前身です。農協(JA)は株式会社ではなく、協同組合という種類の組織です。株式会社と協同組合の一番の違いは、協同組合はあくまで組合員の生活を守り向上させることが目的であり、利益の追求はしていません。

令和5年1月時点のJA数は535組合で、組合員数は准組合員数が634万人、正組合員数が402万人で合計1036万人にのぼります。

農協(JA)の役割は、農家に対して総合的にサポートすることです。農業技術の指導から、必要な資材を安く共同購入したり農畜産物を販売する直売所を開いたりしています。そんなサポートの中で、JAバンクとして銀行や保険会社のように貯金や投資、共済などの信用事業を行っています。

JAバンクグループは、農業協同組合(JA)と信用農業協同組合連合会(信連)の信用事業と農林中央金庫(農林中金)が三位一体となって様々な金融サービスを提供しており、全国に店舗網を展開しています。

農協(JA)は窓口業務を通じて組合員に対して、貯金や定期積金の受け入れ、営農資金などの貸付といった金融サービスを提供し、信連と農林中金は農協(JA)から預かった資金を貸し出しや有価証券で運用し還元する仕組みです。

※令和6年8月28日現在

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記事の著者紹介

相続プラス編集部

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相続に関するあらゆる情報を分かりやすくお届けするポータルサイト「相続プラス」の編集部です。相続の基礎知識を身につけた相続診断士が監修をしております。相続に悩むみなさまの不安を少しでも取り除き、明るい未来を描いていただけるように、本サイトを通じて情報配信を行っております。

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本記事の内容は、記事執筆日(2023年12月15日)時点の法令・制度等をもとに作成しております。最新の法令等につきましては、専門家へご確認をお願いいたします。万が一記事により損害が発生することがあっても、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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