嫁に行っても実家の墓に入れるの?よくあるトラブルと事前対策を徹底解説

公開日:2024年12月23日

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嫁・婿に行っても実家のお墓に入ることは可能です。なぜなら、どこのお墓に入るかは法的に定められていないからです。しかし、宗教上の理由や墓地管理者の意向から、断られる場合もあります。本記事では、実家のお墓に入るときにおきやすいトラブルや事前対策について解説します。両親と一緒のお墓に入る方法やその他の供養の方法についても解説しているため、ぜひ参考にしてください。

法的に実家のお墓に入ることは問題ない

結論から言うと、嫁・婿に行っても実家のお墓に入ることができます。入るお墓は法的に決められていないからです。

日本では、明治時代に制定された家制度が昭和初期まで続いており、お墓は長男と配偶者が受け継いでいくことが原則でした。そのため、お墓に入れるのは、長男とその家族に限られていました。

そのため、現代においても「嫁入りしたら婚家のお墓に旦那と一緒に入るべき」という考え方が残っていることも事実です。

しかし、近年では仲の良い両親と同じ墓に入りたいと考える方が少なくないようです。現在の日本では「墓地、埋葬等に関する法律」でお墓に関する法律が定められていますが、入る墓の指定や納骨できる人の制限は設けられていません。

ただし、お墓にはそれぞれ所有者と管理者がいます。そのため、お墓の所有者や墓地の管理者に許可がなければ、実家のお墓に入れない点に注意しましょう。

実家のお墓に入りたい主な理由

実家のお墓に入りたい主な理由として、以下の3つが考えられます。

  • 配偶者や義理の家族と同じお墓に入りたくない
  • 婚家のお墓に入るのは問題ないが、実家のお墓にも入りたい
  • 実家のお墓の継承者が居なくなってしまう

詳しく確認しましょう。

配偶者や義理の家族と同じお墓に入りたくない

1番に考えられる理由は、配偶者や義理の家族と同じお墓に入りたくないという理由です。義理の家族と同じお墓に入りたくないときに自分がどこに骨を埋めるのかを考えると、実家のお墓という答えがまず頭に浮かぶでしょう。

この場合、実家のお墓の所有者や管理者に許可を取る一方で、配偶者や子ども、配偶者側の親族との話し合いが欠かせません。昔からの慣習に従ってほしいと考える親族がいる場合、反対されることもあるでしょう。

残される配偶者や子どもたちに負担がかからないよう、遺恨が残らないための配慮をしなければなりません。

婚家のお墓に入るのは問題ないが、実家のお墓にも入りたい

婚家のお墓に入ることには問題がないものの、仲の良かった両親や兄弟と同じお墓に骨を埋めたいと考える方もいます。

配偶者や義理の家族と同じお墓に入りたくないときと同様に、配偶者や子ども、配偶者側の親族との話し合いの場を設けましょう。遺言やエンディングノートだけでお墓の指定をすると、残される配偶者や子どもたちと、配偶者側の親族に遺恨が残るかもしれません。

実家のお墓の継承者が居なくなってしまうため

一人っ子の場合やほかの兄弟姉妹が実家以外のお墓に入る場合など、実家のお墓を承継する人がいないと自分が実家のお墓の継承者になりたいと思う方もいるでしょう。

自分が実家のお墓に入ることで、子どもや孫も同じお墓に入るかもしれません。実家のお墓の継承者がいなくなってしまう場合は、自分1人だけが実家のお墓に入るのか、配偶者や子どもも一緒に実家のお墓に入るのかまで話し合っておくことをおすすめします。

実家のお墓に入る際に起こりうるトラブル

実家のお墓に入る際に起こりうるトラブルは、主に2つあります。

  • 霊園など墓地の管理者から断られる
  • 相続人やお墓の管理者が反対する

実家のお墓に入ることを検討している場合は、あらかじめ知っておきましょう。

霊園など墓地の管理者から断られる

霊園や寺院など、実家の墓地の管理者から断られるケースがあります。

断られる理由の一例は、下記の通りです。

  • 嫁いだ方は入れない方針となっている
  • 宗派の問題がある
  • 納骨スペースが狭くて骨壷を置くことができない

どのような理由で入れないのかをあらかじめ確認しておけば、対策できる可能性があります。

相続人やお墓の管理者が反対する

相続人や実家のお墓の管理者が反対するトラブルも挙げられます。

一般的に、どのお墓に納骨するかを決めるのは相続人である配偶者や子どもです。「自分が入る予定のお墓に一緒に入ってほしい」「両親がバラバラのお墓に入ると管理が大変」などの理由で反対されることもあるでしょう。

また、相続人が納得していても実家のお墓の管理者から反対されるケースもあります。両親や兄弟姉妹が慣習的な理由から「嫁入りした身なのだから旦那の家族と一緒になるべき」と考えるかもしれません。

相続時にトラブルにならないための事前対策

相続時にトラブルにならないための事前対策のイメージ

ここからは、相続時にトラブルにならないための事前対策について解説します。実家のお墓に入りたい方は、下記のポイントをおさえておきましょう。

  • 墓地の管理者に確認をしておく
  • 相続人や親族の理解を得る

実家のお墓に入れないトラブルを防ぐ方法を確認しましょう。

墓地の管理者に確認をしておく

あらかじめ、実家のお墓の管理者に事情を話して自分の納骨ができるかを確認しておきましょう。基本的には、電話で問い合わせると答えてもらえます。

もし断られたとしても、理由によってはお墓の建て替えによって、両親や実家の先祖と同じお墓に入れる可能性があります。

相続人や親族の理解を得る

残された方に負担をかけないためにも、相続人や親族に理解してもらえるよう話し合いの場を設けるようにしましょう。親族には、お墓の管理者である実家側の親戚だけでなく、配偶者の親族も含まれます。

配偶者や子どもはあなたの気持ちを十分に理解していたとしても、親戚から説得されて実家のお墓に納骨できない場合もでてきます。

理解を得るためには、ポジティブな内容を伝えましょう。「配偶者や婚家と一緒に骨を埋めたくない」といったネガティブな発言は控えるようにしましょう。

また、実家のお墓に入りたい理由やすでに配偶者や子どもと一緒に手続きを始めていることを伝えるとよいでしょう。

両親と一緒のお墓に入るための方法

さまざまな理由によって実家のお墓に入ることができないとき、下記のような方法で解決する場合があります。

  • 霊園にお墓を建て替える
  • 両親と新しくお墓を建てる
  • 両家のお墓をまとめる
  • 分骨する

4つの選択肢を知っていれば、両親と同じお墓に入ることができるかもしれません。詳しく確認しましょう。

霊園にお墓を建て替える

墓地の管理人の考え方や宗派の問題で実家のお墓に入れないと断られた場合、宗派を考慮しない霊園に建て替える方法があります。

仏教のなかにも、浄土宗・浄土真宗・真言宗・禅宗などさまざまな宗派が存在します。すでに実家のお墓が寺院にある場合、宗派が異なると一緒に入れないことは珍しくありません。

一方、霊園であれば宗教に関係なく購入するケースがほとんどです。宗教・宗派以外の条件制限も少ないため、先祖代々のお墓を移すことへのハードルは少ないでしょう。

ただし、日本のお墓を建てるには永代使用料と墓石価格を併せて200万円程度の費用が発生する点に注意が必要です。

両親と新しくお墓を建てる

そもそも先祖代々のお墓がない場合や実家のお墓に納骨のスペースがない場合は、両親と一緒に入れるお墓を新しく建てるという選択肢があります。

配偶者や子どもたちが婚家のお墓に入る予定であれば、大きなお墓を建てる必要はないでしょう。永代供養や合祀墓などにすれば、管理の心配もありません。

ただし、お墓を建て替える場合と同様に永代使用料と墓石価格に200万円程度の費用が発生する点に注意しましょう。

両家のお墓をまとめる

両家のお墓をまとめ、両家墓によって供養することも可能です。両家墓とは、自分と配偶者の両家のお墓を1か所にまとめたお墓のことです。

自分と配偶者はもちろん、両家の親族の意見・価値観を尊重することができます。また、子どもは1か所の墓参りで済み、管理の負担も軽減できるでしょう。

ただし、両家の宗派が異なるときには両家墓を建てられない場合や、霊園・寺院から許可されない場合があります。また、両家の親族全員からの了承を得なければなりません。

一人っ子同士の夫婦の場合や、ほかの親族がお墓の管理を嫌がる場合には、スムーズに両家墓を建てられるでしょう。

分骨する

配偶者から「一緒のお墓に入りたい」と言われたり、親戚から「慣習に従うべき」と言われたりする場合は、分骨で解決できる可能性があります。

分骨とは、複数箇所に分けて納骨を行う供養の方法です。そのため、婚家のお墓にも実家のお墓にも納骨することができます。

ただし、分骨をするには特別な手続きをしなければなりません。手続きには火葬場や霊園・寺院などで発行される分骨証明書が必要です。納骨をする方に手続きの内容を理解してもらわなければならない点に注意しましょう。

家のお墓に入る以外の選択肢はある?

家のお墓に入る以外の選択肢は、下記の通りです。

  • 永代供養にする
  • 個人墓や夫婦墓を建てる
  • 散骨・樹木葬などの方法もある

順番に確認し、あなたの納得できる供養の方法がないか確認しましょう。

永代供養にする

永代供養とは、霊園や寺院が納骨した遺骨を管理・供養する埋葬方法です。お墓の継承がないため、後継者がいない場合や子どもの負担をなくしたい方に活用されています。

永代供養のなかには両親や配偶者と一緒に入ることのできるタイプもあります。事前に何人まで同じスペースに納骨するのかを考えたうえで、霊園や寺院を選びましょう。

また、お墓にかかる費用も大幅に削減できる点も大きなメリットです。お墓の建て替えや両家墓を建てることが難しい場合にも、永代供養であれば費用の心配が減ります。

個人墓や夫婦墓を建てる

義理の両親や先祖と一緒のお墓に入りたくない場合、個人墓や夫婦墓も選択肢として検討しましょう。

個人墓とは、家族や先祖と一緒に入るお墓とは異なり、ひとりだけが納骨されるお墓です。単独墓とも呼ばれます。

また、夫婦墓とは、夫婦2人だけが納骨されるお墓です。子どもや親などの家族は一緒に納骨されません。

個人墓も夫婦墓も、子どもがいない場合や、お墓を承継する前提をなくしたい場合に選ばれています。

散骨・樹木葬などの方法もある

近年、お墓はなくてもよいという考え方も広がってきています。古くからの慣習や形式にとらわれたくない方は、散骨や樹木葬、ゼロ葬などの選択肢もあることを知っておきましょう。

散骨とは、粉骨を海や山や空に撒いて供養する方法です。思い出の場所で自然に還りたいという願いを叶えられます。

また、樹木葬とは樹木や草花を墓石の代わりに遺骨を埋葬して供養する方法です。霊園や寺院が永代供養してくれることが多く、お墓の管理やメンテナンスに手間がかかりません。自然に囲まれて眠りたいという願いを叶えられます。

さらに、ゼロ葬とは、火葬場から遺骨を受け取らないことです。骨壺の管理がいらなくなるため、お墓も不要です。ゼロ葬をするには喪主による同意書が必要となり、受け入れてくれる火葬場は限られています。

「お墓はいらない」という考え方は増えてきている一方で、「お墓がないと手を合わせる場所がない」と遺族の心に寄り添えない場合もあります。配偶者や子ども、親族たちにしっかり納得してもらえるよう、どのような供養の形を望むのかを伝える場を作りましょう。

その他お墓に関して知っておきたいこと・注意点

その他お墓に関して知っておきたいこと・注意点は、下記の通りです。

  • お墓についての希望は遺言書では対応できない
  • 埋葬や納骨などについては死後事務委任契約を結ぶ

詳しく確認しましょう。

お墓についての希望は遺言書では対応できない

「実家の墓に入りたい」「英題供養にしてほしい」などお墓についての希望を遺言書に残したとしても、対応してもらえるかは分かりません。

なぜなら、遺言書はお墓や葬儀について指定する効力を持っていないからです。遺言書で定めて有効になる内容は、主に下記の内容です。

  • 遺産分割・相続分の指定
  • 遺贈・寄付の指定
  • 遺産分割の禁止
  • 特別受益持ち戻し免除
  • 保険金受取人の変更
  • 子どもの認知
  • 相続人の排除やその取り消し
  • 遺言執行者の指定など

もちろん、遺言書にお墓の希望を記載して、相続人や親族に意思を伝えることは可能です。しかし、その通りに対応してもらえるかどうかは相続人次第です。

どうしても叶えたい希望があるのであれば、生前から配偶者や子どもにお墓の希望を伝えるようにしましょう。

埋葬や納骨などについては死後事務委任契約を結ぶ

新規でお墓を作りたい場合や樹木葬にしたい場合など、供養方法に希望があるときには死後事務委任契約を活用することも覚えておきましょう。

死後事務委任契約とは、自分が死亡したときに発生する事務手続きを第三者に委託する生前契約です。通常、死後に発生する事務手続きは遺族が行いますが、頼れる方がいない場合や希望がある場合に第三者へ任せることができます。

死後事務委任契約で委任できることの一例は、下記の通りです。

  • 遺体の引き取り
  • 通夜・告別式・火葬・納骨・埋葬に関する手続き
  • 永代供養に関する手続き
  • デジタルデータ・Webサービスの解約・処分

埋葬や納骨に関しても、ご本人の希望を反映させるために契約で細かく指定することが可能です。そのため、家族や義理の親族と考え方が合わないときにも活用できます。

「死後事務委任契約」について、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

嫁・婿に行っても実家の墓には入れるが他の方法も含めて検討しよう

どこのお墓に納骨されるかは法的な規定がないため、結婚して名字が変わったとしても実家のお墓に入ることができます。しかし、宗教・宗派の関係や納骨スペースの関係で実家のお墓に入れない可能性があります。また、慣習を大事にする親族がいると反対されることもあるでしょう。

お墓に関する希望がある場合は、配偶者や義理の家族、子どもとの話し合いが必要不可欠です。そのうえで実家のお墓の所有者や墓地の管理者の許可を取らなければなりません。

また、埋葬や納骨についての希望は遺言で指定したとしても対応されるかどうかは相続人次第です。死後事務委任契約を活用したり、専門家に相談したりして、生前に希望を叶えるための対策を進めておきましょう。

記事の著者紹介

安持まい(ライター)

【プロフィール】

執筆から校正、編集を行うライター・ディレクター。IT関連企業での営業職を経て平成30年にライターとして独立。以来、相続・法律・会計・キャリア・ビジネス・IT関連の記事を中心に1000記事以上を執筆。

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本記事の内容は、記事執筆日(2024年12月23日)時点の法令・制度等をもとに作成しております。最新の法令等につきましては、専門家へご確認をお願いいたします。万が一記事により損害が発生することがあっても、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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