空き家を相続したらどうしたらいい?売却・活用など最適な方法を専門家が解説

公開日:2025年2月6日

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相続によって突然発生する空き家問題。親や親戚から空き家を相続したけれど、「どうすればいいのかわからない」と不安を感じていませんか?

空き家は所有しているだけで、管理費や固定資産税といった金銭的負担も発生します。放置している間もこうした負担が続くので、空き家を相続したときには、できるだけ早期に解決に向けて動くことが重要です。

本記事では、「空き家を相続したけれど、まず何をすればいい?」「売却と活用、どちらがベスト?」といった疑問にお答えします。空き家の買取再販を手がける株式会社AlbaLinkの代表取締役・河田憲二氏が、管理や売却を進めるポイントを専門家の視点でわかりやすく解説。空き家の扱いに悩んでいる方に向けて、具体的な解決策をご紹介します。

空き家を相続したら、最初にやるべきこと

空き家を相続したら、最初にとりかかるべきなのは「空き家の状態が悪くならないようにする」です。

放置された空き家は、時間とともに劣化が進み、資産価値が下がるリスクがあります。適切に管理することで価値を維持できる一方で、管理が難しい場合は早めに売却を検討することも重要です。

空き家の状態が悪くならないよう管理する

空き家は、人が住まなくなると急速に老朽化が進みます。換気がされずに放置すると湿気がこもり、カビや腐食が発生しやすくなるため、適切な管理をはじめることが重要です。

この悪循環を防ぐために、換気や残置物の撤去を行い、定期的な手入れを習慣化しましょう。空き家は管理が行き届くことで状態を維持でき、資産価値の低下を防ぐことができます。

大切なのは、物件の現状を早めに把握し、必要な対策をすぐに実施することです。管理が行き届いた状態を保つことで、売却や再活用といった次のステップにもスムーズに移行できます。

空き家の状態が悪くならないよう管理するイメージ

専門家が教える!空き家の状態を維持するための管理術

空き家の老朽化を防ぐための管理を開始する
空き家は、人が住まなくなると急速に老朽化が進むため、放置せず適切な管理を行う。

換気を行い湿気対策をする
湿気がこもるとカビや腐食の原因になるため、月に1回程度の換気を行う。

残置物を撤去し整理する
不要なものを片付けて室内を清潔に保つことで、劣化や害虫被害を防ぐ。

定期的な手入れを習慣化する
月に1回程度の定期的な管理をリズム化し、資産価値の低下を防ぐ取り組みを継続する。

次のステップに備える
管理を行いながら売却や活用などの方針を検討し、スムーズに行動できる準備を整える。

管理が難しいなら手放す

空き家は所有しているだけでも、維持管理の手間や固定資産税といった金銭的負担も発生します。管理にはコストや手間がかかるため、管理が難しいようであれば、一刻も早く手放すのが経済的損失を最もおさえられる方法と言えます。

空き家は時間が経つほど劣化が進みます。雨漏りが発生すると、室内は湿気でカビが生え、畳や木材が腐ってしまうなど、一気に状態が悪化します。状態を維持できないのであれば「最初にやるべきこと=できるだけ早く手放すこと」となります。

空き家を手放す決断をしたとしても、そこから親族間で話をしたり、物件を査定してもらったりと、実際に手放すまでは何かと時間がかかるものです。ですので、空き家の状態を維持できないようであれば、できるだけ早く手放すために動くことが重要になってくるのです。

空き家を所有しているだけで金銭的負担が発生するイメージ

空き家の活用方法!4つの選択肢

空き家の4つの活用方法のイメージ

空き家を相続したものの、「どうすればいいの?」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。売却するべきか、それとも活用方法を検討すべきか、判断に迷うこともあるかもしれません。

空き家の活用には、「使う」「売却」「事業化」「放置」という4つの選択肢があります。それぞれのメリットやリスクを理解し、自分に合った方法を選択することが大切です。特に放置は避けるべき選択肢であり、具体的な活用や売却を検討しながら最適な対応を進めましょう。

1. 使う – 自分や親族で利用する方法

空き家を「使う」という選択肢は、自分や親族が住むことを前提とした活用法です。ただし、親族で使う予定がない場合は現実的ではなく、別の選択肢を検討する必要があります。もし誰かが利用する予定がある場合は、管理や修繕を行って活用できる状態を整えることが大切です。

2. 売却 – 専門業者に査定を依頼する方法

売却は、空き家を手放して負担を軽減する現実的な選択肢です。専門業者に査定を依頼し、適正な価格で売却を進めることが重要です。売却を選ぶことで、管理や修繕にかかるコストや手間から解放されるため、早期の決断が望ましいといえます。

3. 事業化 – 賃貸や民泊で収益化を目指す方法

空き家を事業化する方法として、賃貸や民泊として活用する選択肢があります。ただし、事業化にはまとまった初期費用が必要です。

たとえば、

  • 残置物撤去:約50万円
  • 雨漏り修理:約100万円
  • 内装工事:約50万~100万円

    これらの修繕費をかけて準備すれば、年間50~100万円程度の賃料収入が期待できる可能性もあります。

    しかし、収益化には経営者としてのマインドやリスク管理能力が求められます。できる人が家族内にいる場合は挑戦する価値がありますが、難しい場合は売却に戻る選択肢も検討しましょう。

    4. 放置 – 最も避けるべき選択肢

    放置は、空き家を管理せずそのままにしておく選択肢ですが、最も避けるべき方法です。放置すると建物の劣化が急速に進み、修繕費用や維持コストがかさむリスクがあります。使用予定がなく管理も難しい場合は、早めに売却や他の活用方法を検討することをおすすめします。

    空き家を売却するときの注意点

    空き家の売却は、価値や状態によって方法が大きく変わります。都市部の物件と地方の物件では査定額に大きな差が出ることもあり、仲介では対応できないケースも少なくありません。

    空き家問題を解決へと導くヒントとして、空き家の価値を冷静に見極めるポイントや、仲介ではなく専門の買取業者を利用するメリットについて解説します。

    物件の価値を確かめてから判断する

    空き家の売却を検討する場合、物件の価値を冷静に見極めることが大切です。空き家と一口に言っても、渋谷や新宿のような都心部や、世田谷のような高級住宅街にある空き家であれば、物件の状態が悪くても土地に価値があるので、査定の金額も高くなります。買いたい不動産業者も見つかりやすく、誰に売るのかを選べる状態になるでしょう。

    相続した空き家が価値のある物件で、その正しい価値を知っていれば、このように「誰に売るのかを選べる」という状態で売却するのがベストと言えます。

    地方物件は仲介では対応できないケースも多い

    地方にある空き家は、査定をしても金額がつかないケースが多く、価値が低い物件では通常の仲介業者が取り扱いを断ることも少なくありません。特に、査定額が低い物件は仲介手数料がビジネスとして成り立たないため、仲介業者では対応が難しいのが現実です。

    また、掲載サイトに物件情報を載せても買い手が見つからないケースも多く、仲介を利用した売却は現実的ではない場合があります。空き家や訳あり物件の買取を専門に扱う業者であれば、状態が悪くても検討してくれる可能性が高く、売却の選択肢を広げることができます。

    空き家専門の買取業者に相談する

    価値が低い空き家は専門の買取業者がおすすめ

    空き家を売却する際は、専門の買取業者に相談するのがおすすめです。不動産業界には「仲介業者」と「買取業者」がありますが、空き家の売却では買取業者を利用するほうが効果的です。

    仲介業者は物件価格に応じた手数料を収入源としているため、価格が低い物件では採算が合わず、取り扱いを断られるケースが多くあります。一方で買取業者は、直接物件を買い取るため、低価格の空き家や築古物件でも対応できる場合が多く、スムーズな売却につながります。

    空き家専門の買取業者のイメージ

    買取業者はインターネット検索で探せる

    空き家専門の買取業者を探すには、インターネット検索が便利です。「空き家」「築古」「買取」などのキーワードで検索すれば、多くの業者が見つかります。実際に、地元の不動産会社で断られた物件でも、買取専門業者であれば相談できるケースが少なくありません。

    査定の依頼はオンラインで手軽に行えるため、まずは査定価格を確認し、売却の可能性を探ることからはじめましょう。さらに、口コミや評価もチェックすることで、信頼できる業者を見つけやすくなります。

    親族間の話し合いで意思決定者を決めておく

    空き家の売却を進めるうえで、親族内の意思決定者をあらかじめ明確にしておくことが重要です。相続では関係者が増えるほど意見がまとまりにくくなり、利益分配を求める人が出てくることもあります。そのため、最初に「誰が最終的に決定を下すのか」を整理しておく必要があります。

    持ち分の多い相続人が決めるのか、親の介護や看病を担当した人が判断するのかなど、親族間でしっかり話し合いましょう。一度決定した内容は後から覆さないというルールを決めておくことで、手続きがスムーズに進みます。

    ただし、現実には意見が一致しないケースも多く、固定資産税や管理負担を抱える人が苦しむことになりがちです。一方で、無責任な発言をする人が混乱を招く場合もあります。売却までの負担を最小限にするためにも、早めに意思決定者を確定させ、手続きを進めていくことが大切です。

    空き家を相続したら早めの対応が重要

    ここまで空き家を相続したときの対応や注意点を説明してきましたが、最も大切なことは「早い段階で解決に向けて動きはじめる」ということです。遺産として受け継いだ空き家は、放置すればするほど劣化が進み、売却や活用の選択肢が限られてしまいます。

    実際に、相続から5年、10年と経過した空き家について「今からでも売却できるか」という相談が多く寄せられます。特に、令和6年4月に相続登記が義務化されたことをきっかけに、急いで対策を検討する方が増えています。しかし、建物が老朽化していたり、管理が行き届いていない場合には、修繕費用や評価額の低下に悩まされるケースが少なくありません。

    こうした事態を防ぐためにも、相続が発生した時点で、空き家をどうするか早急に検討することが求められます。売却や活用といった選択肢を整理し、具体的な方向性を決めておくことで、後々のトラブルを回避しやすくなります。

    また、すぐに売却を決めなくても、定期的に換気などの管理を行うことで状態を維持できますし、雨漏りなどのトラブルにも早期に対処できます。空き家を相続した際は、早めに対応を検討し、適切な管理や売却を進めることをおすすめします。

    分けあり土地の売却は「訳あり買取ナビ」へお気軽にご相談ください

    記事の監修者紹介

    河田憲二

    株式会社AlbaLink 代表取締役

    1985年生まれ。大学在学中にwebマーケティングの事業を創業後、株式会社グリーンライトを設立し法律メディアを運営。その後、不動産事業に参入し、地方の空き家や訳あり不動産の再生事業を軸に株式会社AlbaLinkを設立。「全国の空き家をゼロにする」という目標を掲げ、売却が難しい物件にも新たな価値を提供するサービスを展開。

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    本記事の内容は、記事執筆日(2025年2月6日)時点の法令・制度等をもとに作成しております。最新の法令等につきましては、専門家へご確認をお願いいたします。万が一記事により損害が発生することがあっても、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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