”訳あり物件”を相続。どう対処するのが良い?最適な解決法は?

公開日:2023年6月28日

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訳あり物件とは、事故物件、空き家、家賃滞納物件、債務超過物件など、通常の物件よりも価値が低下している物件のことです。このような物件を相続してしまった場合、どうしたらいいのでしょうか。

相続する可能性がある訳あり物件とは

訳あり物件とは、何らかの問題や制約を抱えた不動産のことを指します。これらの問題や制約は様々であり、例えば老朽化や建物の構造的な問題、法的な問題、または家族間の相続争いなどが該当します。

老朽化・ゴミ屋敷など人が住めない状態

老朽化した物件やゴミ屋敷などは相続した人が住み続けるにしても、人に貸すにしても修繕や改修工事が必要となり費用と時間がかかってしまいます。

また、売却しようにも一般的にそのままの状態では難しく、フルリフォーム後に売却するか取り壊して土地のみを売却するかの必要があり、こちらも費用と時間がかかってしまうことが多いです。

法的な問題がある

法的な問題も訳あり物件の一つです。例えば、建築時には違法でなくても増改築を繰り返した結果、相続時には建築基準法違反になっていたケースや、古くからの住宅のため接道義務をみたしておらず「再建築不可」の物件になっていたなどのケースがあります。

これらの問題を解決するためには法的な手続きや調査が必要となることがあります。

家族間の相続争いが発生

さらに、家族間の相続争いも訳あり物件の一つとして考えられます。

親の物件の相続時に兄弟間で意見が食い違ってしまい遺産分割が終わっていないケースや、
争いを避けるために物件を相続人で共有して所有する「共有持ち分」にした結果、かえって相続後に物件の処理や運用方針が食い違ってトラブルになっているケースなどがあります。

心理的瑕疵物件

「心理的瑕疵物件」とは、相続した建物や敷地内で事件や事故などで人が亡くなっており、その事実を知った人が心理的に嫌な思いをする物件を指します。

その場合、相続人がその事実を気にならず住むことが可能であれば問題ありませんが、売却を考えている場合は売却価格は相場から低くなったり、なかなか買い手が現れないことがあります。

上記は訳あり物件の一例になります。それ以外にも「極端に利便性が悪い」「鉄道や高速道路が近い」など多岐にわたります。

訳あり物件を相続した場合の選択肢

不動産屋に売却の相談をするイメージ

訳あり物件を相続した場合、以下の選択肢があります。

  • 売却する(おすすめ)
  • 賃貸する
  • 自ら住む
  • 相続放棄する
  • 国に寄付する

売却する

訳あり物件を相続した場合、真っ先に思い浮かぶのが売却ではないでしょうか。しかし、その名の通り“訳あり”ですのでなかなか買い手が見つからなかったり、価格が相場から低くなってしまう可能性があります。

詳細は後述しますが、そのような場合は訳あり物件専門の買い取り業者に直接売却するなどの方法をとる必要があります。

賃貸する

相続した物件を賃貸に出し、賃料収入を得るのも1つの方法です。継続的に収入を得られれば理想ですが、借り手が見つからない・固定資産税や維持管理費などのランニングコストがかかるなどのリスクも十分考慮する必要があります。

また、訳あり物件の”訳”にもよりますが、建物のリフォームや賃料を下げる、事前に法的な問題を解決する必要があるなど訳あり物件ならではのリスクも存在します。

自ら住む

物件に自ら住むのであれば言うまでもなく住居費を節約することができます。しかし、この場合も賃貸する場合と同様に固定資産税や維持管理費などのランニングコストがかかる点や、事前のリフォームや法的な問題解決などの必要が可能性があります。

相続放棄する

そもそも物件を相続したくない・もう関わりたくないという場合は相続放棄をすることができますが、大きな注意点があります。相続放棄を行うということは、資産の種類に関わらず一切の相続を放棄するということですので訳あり物件以外の価値がある資産も放棄しなければなりません。

相続する財産が訳あり物件しかないとい場合は良いかもしれませんが、その他にも資産がある場合はよく検討したうえで実施する必要があります。

国に寄付する

相続で取得した土地を相続人が手放したい時に、その不要となった土地を国の機関に引き渡す制度である「相続土地国庫帰属制度」を利用する方法もあります。

この制度は令和5年4月27日に開始された新しい制度であり、所有者不明土地の発生を予防するための方策として創設されました。この制度を利用すれば、土地のみを相続放棄することと実質同義のため訳あり物件以外に相続したい資産がある場合は有効です。

しかし、この制度はあくまで”土地”を対象としたものですので、物件を取り壊して更地にする必要や別途負担金20万円を国に支払う必要がある点に留意が必要です。

まずは訳あり物件専門の業者に相談してみよう

ここまで訳あり物件を相続した場合の対応方法を解説してきました。

各物件の状況に合わせて最適な方法を選ぶことが大切ですが、皆さんの多くはなるべく手間をかけずに早く売却して現金化してしまいたいというのが本音ではないでしょうか。そのような場合は一度訳あり物件専門の不動産買取業者に相談してみることをおすすめします。

通常の不動産買取業者だと、訳あり物件の売却に慣れていなかったり、売却によって入る手数料収入が他物件より低い場合積極的に動いてくれなかったりなどすることもあるようです。その点、専門の業者だと買取業者が直接買い取ってもらえるので、最短数日で売却することも可能です。

まとめ

相続では物件の対処以外にもしなければならない手続きが多岐に渡ります。

その中でも特に訳あり物件はネガティブな点が多いものですので、なるべく早く解決したい問題だと思います。

餅は餅屋ではありませんが、面倒でメリットが多くない訳あり物件の対処については専門家を頼って早期に解決することをおすすめします。

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相続プラス編集部

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相続に関するあらゆる情報を分かりやすくお届けするポータルサイト「相続プラス」の編集部です。相続の基礎知識を身につけた相続診断士が監修をしております。相続に悩むみなさまの不安を少しでも取り除き、明るい未来を描いていただけるように、本サイトを通じて情報配信を行っております。

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本記事の内容は、記事執筆日(2023年6月28日)時点の法令・制度等をもとに作成しております。最新の法令等につきましては、専門家へご確認をお願いいたします。万が一記事により損害が発生することがあっても、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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