はじめに
様々な原因で発生してしまう相続トラブル。その原因の代表格が「遺言書」です。それでは実際に、どれくらいの人が遺言書にまつわるトラブルに遭遇しているのでしょうか。相続経験者100人と、これから相続を遺す100人へのアンケートから、遺言書と相続トラブルの関係性に迫ります。
遺言書は相続トラブル最大の原因
相続を受けた際に、トラブルになったことはありますか?
相続経験者へのアンケートによると、100人のうち22人が何らかの相続トラブルを経験していることが分かりました。それでは、この22人が経験したのはどんな相続トラブルだったのでしょうか?
相続を受けた際に、トラブルになったことをお答えください。(お答えはいくつでも)
相続トラブルの内容は「遺言書について」「介護について」「田舎の土地について」が同率1位という結果でした。しかし、これから相続を遺す側の100人へのアンケートに目を向けると、異なる結果が見えてきます。
相続を受ける側と遺す側で、ギャップが大きい遺言
これから相続を遺すにあたり、トラブルになりそうだと思うことをお答えください。(お答えはいくつでも)
相続を遺す側の人は、自身の介護や生命保険、そして家や土地といった不動産がトラブルの元になると考えていることが分かります。遺言書にまつわるトラブルが起きそうだと考えている人は2名と少ないですが、実際に相続を受けた人にとっては、遺言書は最大のトラブル要因でした。
このことから、遺言書は相続を受ける側と遺す側で、ギャップの大きいトラブル要因であると言えるでしょう。
遺言書がないことによるトラブル
それでは遺言書にまつわるトラブルとして、どのようなものが考えられるでしょうか。遺言書の内容によって、相続を受ける人の間でトラブルになることは予想されます。しかし見落とされがちなのが「遺言書がないことによるトラブル」です。
遺言書は、自分の財産をどのように処分するかを指定する書面です。遺言書がないと、残された人が資産の管理・把握に難航することになってしまいます。相続を受ける資産の管理について、相続経験者が困ったことのアンケートを見てみましょう。
被相続人の資産の管理について、困ったことをすべてお答えください。(お答えはいくつでも)
相続経験者が困ったことの1位は「遺言書がない」という結果でした。2位と3位も財産の内容が分からないことが原因として挙げられていますが、これらは遺言書があれば解決できる問題です。
残された人にとって資産の管理が負担にならないよう、財産の内容と相続の方法についてまとめた遺言書を用意しておくことが重要だと言えるでしょう。
遺言書の作り方や保管方法も注意が必要
遺言書を用意することは大切ですが、遺言書は簡単に作成できるものではありません。これから相続を遺す人に聞いた、終活に関するアンケートを見てみましょう。
終活にあたり、困っていることや大変に感じていることをお答えください。(お答えはいくつでも)
このアンケート結果からも、遺言書の作成に悩んでいる方が多いことが分かります。さらに遺言書は、書き方によっては無効になってしまうこともありえます。遺言書を受け取った方が困ることのないように、専門家に相談して作成することをお勧めします。
相続プラスでも遺言書の種類や作成方法について解説していますので、これらの記事もあわせて参考にしてみてください。
おわり
今回のアンケートでは、遺言書が原因となる相続トラブルについて、相続を受ける側と遺す側で意識のギャップが大きいことが分かりました。特に遺言書がないことによるトラブルは見落とされがちですので、遺言書を作成する必要がないか、相続への準備段階で確認をしておくことが大切です。
調査概要
【相続に関する調査】
調査期間:2022年10月24日(月)~10月25日(火)
調査方法:インターネット調査
調査会社:株式会社ネオマーケティング
【調査対象】
性別:男女
地域:全国
相続を遺す可能性がある60歳~79歳(100人)
過去10年以内に相続を受けたことがある40歳~69歳(100人)
相続を受けたことがない30歳~59歳(100人)