遺言書が無効となるケースや無効を主張する方法、注意点をわかりやすく解説

公開日:2024年8月2日

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遺言書が見つかったとしても、必ずしも法的効力を持つとは限りません。形式不備や遺言内容によっては無効となる場合があります。遺言書の内容に疑問を抱いたのであれば、遺言無効の主張を検討しましょう。本記事では、遺言書が無効になるケースや手続きの流れ、注意点を解説します。遺された遺言書に納得いかない方は、参考にしてください。

遺言書が無効になるケース

遺言書が無効になるケースは、主に4つの項目のいずれかに問題がある場合です。

  • 形式不備
  • 遺言内容
  • 遺言者
  • その他(作成状況・作成方法など)

どのようなケースに遺言書が無効となってしまうのか、詳しく確認しましょう。

形式不備

自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合、形式不備によって遺言が無効となるケースがあります。

自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。※引用:民法|第964条(自筆証書遺言)

下記の項目ごとに、どのようなルールがあるのか確認しましょう。

  • 日付
  • 署名・押印
  • 訂正の仕方

詳しく解説します。

日付

遺言書には、作成した年月日を記載しなければなりません。そのため、作成日の記載がなければ、その遺言は無効と判断されます。

また、日付が記載されていたとしても、具体的な日付が特定できないような表記だと無効です。例は、以下の通りです。

無効:2020年10月、2020年10月吉日、2020年10月中旬

具体的な日付がわかる以下のような表記であれば、問題ありません。

有効:2020年10月12日、2020年10月末日

なお、和暦・西暦は問いません。

署名・押印

遺言書に署名・押印がなければ、記されている遺言は無効だと判断されます。

遺言書には、遺言者本人の署名・押印が必要です。通常、戸籍上の氏名で署名しますが、遺言者本人だと分かるのであれば、芸名やペンネームで署名しても問題ありません。

また、押印は実印でなくても無効にはなりませんが、本人が作成したという信憑性を高めるために実印のほうがよいとされています。しかし、認印や拇印も認められており、無効になることはありません。

訂正の仕方

遺言書の修正方法が正しくない場合、その部分の遺言内容ついて無効となります。遺言書の正しい修正の仕方は、以下の通りです。

  1. 訂正する箇所に二重線を引き、訂正後の内容を記載する
  2. 訂正した箇所に、押印で使った印鑑を使って押印する
  3. 加筆箇所の欄外や遺言書の末尾に「◯文字削除、◯文字加入」と記載する
  4. 「◯文字削除、◯文字加入」と記載した下部に遺言者が署名する

たとえば、二重線を引いているだけ訂正している場合や修正テープ・修正ペンを使用している場合は無効です。

「遺言書の書き方」について、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

ただし、修正方法が間違っているからといって、遺言書に書かれている内容すべてが無効になるわけではありません。あくまでも、修正されている箇所について、修正内容が無効となるため、注意しましょう。

遺言内容

以下の遺言内容が遺されている場合、遺言が無効になるケースがあります。

  • 内容が不明瞭
  • 公序良俗に反する

順番に確認しましょう。

内容が不明瞭

遺言書には、どの財産を誰に相続させるのかを明記しなければなりません。しかし、財産が特定できない場合や相続させたい人が誰なのかがわからない場合、遺言は無効となります。

たとえば、「銀行預金を息子に相続させる」と記載されている場合、どの銀行預金なのかがわかりません。また、息子が2人以上いた場合はどの息子を指しているのかが不明瞭です。

そのため、遺言書には財産内容が特定できる書き方をし、相続させたい人の名前を明確に記載しなければなりません。

<財産名の書き方例>

①【預貯金】〇〇銀行〇〇支店 口座番号1234567 名義人 相続太郎

②【不動産】東京都世田谷区〇〇町1丁目2番地 宅地 地積 123.45㎡

<相続者の書き方例>

  • 長男 相続一郎(昭和40年5月21日生まれ)

このように、第三者が読んでもどの財産を誰に相続させたいのかが明確になっている必要があります。

公序良俗に反する

公序良俗に違反する内容の遺言は無効です。公序良俗違反に該当する遺言内容の代表例は、不貞相手に遺贈すると記載されているケースです。

遺言者が法律上での配偶者以外の相手と一定期間にわたって夫婦同様の生活を営んでいた場合、遺言によって不貞相手に財産を譲ろうとする場合があります。一概に公序良俗に反すると判断できるわけではありませんが、遺言者と不定相手は重婚的内縁関係にあったと考えられます。

そのため、相続人側は法律上許容される関係ではないとして、相続人側が無効を主張し、裁判所でも遺言が無効であると判断されることは珍しくありません。ただし、2人の関係性や財産の内容、相続人への生活の影響などが考慮され、公序良俗に反しないとして遺言が有効となる場合もあります。

遺言者

遺言者が以下のような場合、遺言が無効とされるケースがあります。

  • 遺言能力がない
  • 自書じゃない
  • 共同で書いた

順番に確認しましょう。

遺言能力がない

遺言者に遺言能力がない場合、無効になる可能性があります。遺言能力とは物事を判断できる力のことです。物事を判断できない状態で遺言書を作成した場合、その有効性に疑義が生じてしまいます。

遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。※引用:民法|第963条(遺言の方式)

具体的には、以下のような方の遺言は無効です。

  • 認知症を発症している方
  • 15歳未満の方

まず、認知症を発症している方には十分な判断力がないとされるため、無効となるケースがあります。ただし、認知症と一概に言っても、記憶力や理解力、判断力には個人差があるうえに、一時的に判断力が戻る場合もあるでしょう。

そのため、一定の判断能力があり、2名以上の医師の立ち会いによって作成された遺言書は有効とされるケースもあります。

また、15歳未満の方が書いた遺言書は無効です。

十五歳に達した者は、遺言をすることができる。※引用:民法|第961条(遺言能力)

親権者や後見人が代理で作成した場合も無効となるため、注意しましょう。

「遺言能力の判定」について、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

自書じゃない

自筆証書遺言は、全文自書で作成しなければなりません。そのため、代筆やパソコン・ワープロによって作成された遺言は無効です。

ただし、平成31年1月13日の民法改正によって、相続財産の全部または一部の目録(財産目録)を添付する場合、目録は自書でなくてよいと定められました。目録のみがパソコンなどで作成されていても問題ないと理解しておきましょう。

共同で書いた

遺言書が共同で作成されているとき、遺言は無効となります。遺言書は、1通につき1名で作成しなければならず、夫婦や兄弟姉妹であっても連名で作成できません。

遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。※引用:民法|第975条(共同遺言の禁止)

なぜなら、1つの遺言書において複数の遺言者がいると、それぞれの遺言者の遺言内容を特定できない点や自由に撤回できない点においてトラブルの原因になる恐れがあるからです。

このような理由から、遺言書を共同で作成することは民法で禁止されています。

その他(作成状況・作成方法など)

ここまででご紹介したケースの他にも、作成状況や作成方法などによって遺言が無効となるケースがあります。

  • 脅迫されて書いた
  • 証人不適格者が立ち会っていた
  • 偽造された
  • 新しい遺言書がある

順番に確認しましょう。

脅迫されて書いた

誰かに脅迫されたりそそのかされたりして遺言書を書いた場合、その遺言は無効となります。たとえば、以下のようなケースに当てはまる場合は、第三者の意図によって遺言書を書かされたり騙されたりしている可能性があります。

  • 生前に言っていたことと異なる遺言が残されている
  • 認知症を発症していた時期に遺言書が書かれている
  • 理由なく、特定の人物に偏りのある遺言となっている

脅迫されて書かされた遺言書である可能性を疑う場合は、弁護士などの専門家に相談しましょう。実際に脅迫によって書かされた遺言書であると判明した場合、脅迫した人が相続人であっても相続人の欠格事由に当てはまるとして、相続権を失う恐れがあります。

証人不適格者が立ち会っていた

証人不適格者が立ち会って公正証書遺言や秘密証書遺言を作成した場合、遺言は無効となります。

次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。
一 未成年者
二 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
三 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人※引用:民法|第974条(証人及び立会人の欠格事由)

公正証書遺言や秘密証書遺言を作成する際、2名の証人が立ち会わなければなりません。しかし、上記に当てはまる方が証人となっていた場合、遺言書は無効となってしまいます。

偽造された

偽造された遺言書は、遺言者本人の自書ではないため無効です。また、遺言書を偽造した人は相続人の欠格事由にあてはまるため、相続権を失います。

新しい遺言書がある

作成年月日の新しい遺言書が見つかった場合、古い遺言書との矛盾があれば古い遺言書が無効となります。遺言書は、原則最新の日付のものが有効となるためです。

たとえば、令和元年に作成された遺言書には「妻には預貯金のすべてを、長男には家と土地を相続させる」と記載されていたとしても、令和5年に作成された遺言書に「妻にすべての財産を相続させる」と記載されていれば、令和元年に作成された遺言書は無効となります。

ただし、「妻に家と土地、長男には〇〇銀行の預貯金、次男には××銀行の預貯金を相続させる」と記載された遺言書のあとに、「妻には△△銀行の預貯金を相続させる」と書かれた遺言書が作成された場合、2つの遺言書に矛盾はないため2つとも有効と判断されます。

遺言書が無効と判断された例

ここでは、遺言書が無効と判断された2つの判例をご紹介します。

  • 遺言者の真意と解釈に錯誤があり無効となった判例
  • 遺言者本人は押印できなかったとして無効となった判例

順番に確認しましょう。

遺言者の真意と解釈に錯誤があり無効となった判例

さいたま地裁熊谷支部平成27年3月23日判決において、全盲の方が作成した公正証書遺言は有効であるとする一方で、遺言内容が錯誤無効であると認められました。

この訴訟における争点は2つあります。まず、遺言者が全盲であっても遺言能力はあるとされるのかという点です。全盲者であっても、遺言者自らが口伝して公証人が遺言の内容を読むことによってその内容を確認できるため、公正証書遺言を作成する能力があると判断されました。

次に、遺言内容についてです。遺言内容にはお世話になった全盲老人ホームに「葬儀費用以外は遺贈する」と書かれており、付言事項として「自分の子どもたちが生活に困らないよう受贈者から金銭を支出し、死亡した際には葬儀を執り行ってもらいたい」と記載されていました。

付言事項には法的拘束力はないため全盲老人ホームがすべての財産を取得しましたが、少なくとも子どもたちに生活費を支払う義務が全盲老人ホームにないと遺言者が認識していれば、異なる遺言内容を残したのではないかと推認できます。

遺言者が全盲であったことや当時79歳だったこと、法的知識を十分に持ち合わせていなかったことなどを考慮し、「遺言内容は無効である」と判断されました。

遺言者本人は押印できなかったとして無効となった判例

東京地判令和2年12月17日判決において、遺言書の押印が遺言者の意思でされたものではなかったとして、遺言が無効であると認められました。

遺されていた自筆証書遺言は自書で作成されているうえに署名や押印があり、一見形式には問題がないように見えていたようです。

しかし、1つ目に作成された遺言書は自ら保管していた一方で、本件の遺言書は自ら保管していなかったことや、遺言書作成から死亡まで3週間しかなかったことに対して疑念が持たれました。

さらに、調査によって特定の相続人が遺言書の押印に使われた印鑑を所持していたことや、印鑑を所持していた相続人に押印する機会があったことなどがわかり、被相続人の意思による押印である可能性が否定されたのです。

よって、自筆証書遺言書の要件を満たしているとはいえず、無効であると判断されました。

遺言書を無効にしたい場合

遺言書を無効にしたい場合のイメージ

遺言書の内容や有効性に疑問を感じて無効にしたい場合、以下のような流れで手続きを進めましょう。

  1. 遺産分割協議
  2. 遺言無効確認調停
  3. 遺言無効確認訴訟

遺言無効確認調停や遺言無効確認訴訟に時効はありません。しかし、時間が経つと証拠品の提出が難しくなってしまうため、早めに対応することをおすすめします。

それでは、それぞれの手続きについて詳しく確認しましょう。

遺産分割協議

まずは、遺産分割協議で遺産分割方法を決めたい他の相続人と交渉しましょう。

遺言書がある場合でも、相続人や受遺者全員の合意が得られれば、遺言と異なる方法で遺産分割することが可能だからです。裁判所での調停や訴訟は、時間や労力がかかるため、できるだけ交渉で解決を目指しましょう。

ただし、相続人だけで話し合いを行っても、感情的な議論になってしまい交渉が進まないケースが多々あります。交渉・法律のプロである弁護士に相談し、仲介に入ってもらうことをおすすめします。

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互いに冷静な判断ができ、円滑に交渉が進む可能性が高まるでしょう。

相手との交渉を弁護士に依頼する場合に必要な費用の目安は、以下の通りです。

  • 着手金:40万円前後〜
  • 成功報酬:無効によって増えた遺産の取り分の10〜20%程度

弁護士事務所によって設定料金が大きく異なるため、複数の事務所を比較して依頼先を決めましょう。

「遺産分割」について、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

遺言無効確認調停

相続人との交渉が決裂した場合、家庭裁判所に対して遺言無効確認調停を行いましょう。

遺言無効確認調停とは、遺言内容が無効かどうかについて、調停委員を通じて話し合いを行う法的手続きです。調停委員が双方の主張を聞き取り、和解に向けたアドバイスをしてくれます。

ただし、調停はあくまでも話し合いの場が裁判所に移っただけのため、合意成立の見込みがない場合は、調停を申し立てずにいきなり訴訟を申し立てることも可能です。

遺言無効確認調停に必要な書類は、以下の通りです。

  • 争点となっている遺言書
  • 相続開始及び相続人の範囲を明らかにする戸籍謄本
  • 相続関係図
  • 財産内容を示す登記事項証明書や通帳の写し

申し立て費用として、収入印紙1200円程度と郵便切手代数千円がかかります。

また、弁護士に依頼する場合の費用の目安は、以下の通りです。

  • 着手金:50万円前後〜(交渉から引き続き依頼する際は、追加着手金10〜30万円程度
  • 成功報酬:無効によって増えた遺産の取り分の10〜20%程度

訴訟に発展するまえに和解できるよう、交渉のプロである弁護士に依頼することをおすすめします。

「相続裁判」について、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

遺言無効確認訴訟

直接交渉や調停で合意に至らなかった場合、地方裁判所に対して遺言無効確認訴訟を起こします。

訴訟では、原告と被告の立場から互いに主張や立証を重ね、すべてが出揃ったタイミングで裁判官が判決を下します。裁判官が下した判断に相続人は従わなければなりません。

裁判は月1度のペースで行われ、本人もしくは代理人が裁判所に出向く必要があります。訴訟中に、原告と被告が譲歩して和解する形で終結するケースもあります。

訴訟に必要な書類は、以下の通りです。

  • 争点となっている遺言書
  • 相続開始及び相続人の範囲を明らかにする戸籍謄本
  • 相続関係図
  • 財産内容を示す登記事項証明書や通帳の写し

訴訟を起こす際、裁判所手数料と訴訟手続きに使う郵送料を原告側が支払います。裁判所手数料の額は、訴訟で勝訴した際に得られる利益である訴額や訴訟物の価格をもとに一律で定められており、「第一審訴え提起手数料(収入印紙代)早見表」から確認が可能です。

また、弁護士に依頼する場合の費用の目安は、以下の通りです。

  • 着手金:60万円前後〜(交渉や調停から引き続き依頼する際は、追加着手金10〜30万円程度)
  • 成功報酬:無効によって増えた遺産の取り分の10〜20%程度

徹底的に時間と費用をかけて相手方と争った場合、どのような判決が下されたとしても相続人同士の関係は悪化するかもしれません。互いに譲歩しながらできるだけスムーズな解決を目指しましょう。

遺言書の無効について知っておきたいこと・注意点

最後に、遺言書の無効について知っておきたいことや注意点について、Q&A形式でまとめてご紹介します。

  • 遺留分を侵害されている場合はどうすればいい?
  • 自宅で見つけた遺言書を勝手に開けると無効になる?
  • 無効な遺言書でもその通りに遺産分割して問題ない?
  • 検認を受けると遺言書は有効になる?
  • 遺言書が有効か無効か判断するにはどうすればいい?

5つのポイントについて確認し、遺言書の扱いに注意しましょう。

遺留分を侵害されている場合はどうすればいい?

遺留分を侵害する遺言内容だった場合、遺言無効の主張と同時に遺留分侵害額請求の予備的主張を行いましょう。

そもそも遺留分とは、被相続人の配偶者や子ども、両親などに認められている最低限保証されている相続の取り分です。

遺留分は遺言よりも優先され、遺留分を侵害された相続人は他の相続人や受贈者に対して侵害された遺留分に相当する金銭を請求できます。これを遺留分侵害額請求と呼びます。

遺留分侵害額請求には時効があるため注意しましょう。時効は、相続の開始および遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知ってから1年です。時効までに請求を行わない場合、遺留分の請求権を失います。

遺留分を侵害する遺言であっても遺言無効となるかどうか予測が難しい場合、遺言無効を主張しつつも遺言が有効だと判決で下されたときに備えて遺留分侵害額請求を検討しましょう。

自宅で見つけた遺言書を勝手に開けると無効になる?

結論からいうと、ただちに遺言が無効になることはありません。本来、自宅で見つけた遺言書は、家庭裁判所で検認手続きを行って開封する必要があります。

遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。※引用:民法|第1004条1項(遺言書の検認)

しかし、検認をせずに開封することと遺言書の有効性に直接的な関連はありません。開封してしまった場合でも、家庭裁判所へ事情を説明したうえで検認手続きを行えます。

ただし、検認前に開封すると5万円以下の罰金が科される場合もあるため、遺言書を見つけた際は慎重に扱いましょう。

また、公正証書遺言や自筆証書遺言書保管制度を利用している場合は、検認する必要はありません。

無効な遺言書でもその通りに遺産分割して問題ない?

無効な遺言書でも、相続人全員に合意があれば遺言通りに遺産分割しても問題ありません。遺言書は被相続人の意思であるため、意思を尊重したいと考える相続人は多いでしょう。

しかし、口座の名義変更や相続登記などの相続手続きにおいて無効な遺言書は使えません。改めて遺産分割協議書を作成する必要があります。

検認を受けると遺言書は有効になる?

家庭裁判所で遺言書の検認を受けたとしても、遺言書は有効であるとは限りません。

そもそも検認の目的は、遺言書の偽造や変造を防止するための手続きです。遺言内容が有効か無効かを判断するための手続きではありません。

そのため、遺言書の検認を行ったあと、改めて遺言が有効か無効かを判断する必要があります。

遺言書が有効か無効か判断するにはどうすればいい?

遺言書が有効か無効か判断できない場合、弁護士などの法律の専門家にアドバイスをもらいましょう。形式に不備がある場合や複数の遺言書が見つかった際には、即座に判断してもらえるでしょう。

ただし、偽造である疑いがある場合や遺言能力が問われる場合は、1人の弁護士の判断に一任することは控えましょう。もちろん、法律のプロとしての見解を教えてもらえますが、その見解に疑問を抱く相続人も出てくるでしょう。

このように、相続人同士で意見が割れる場合は、調停や訴訟などの法的手続きにて遺言書の有効性を明らかにする必要があります。弁護士には交渉の代理人を依頼し、裁判所での公平な判断や和解を求めましょう。

遺言が無効かもしれないと思ったら弁護士に相談しよう

見つかった遺言が無効かもしれないと疑問を抱いたら、弁護士などの専門家に相談しましょう。なかには専門家でも見解が割れるような判断の難しい事例も多数あるため、慎重な対応が必要です。

弁護士であれば、遺言内容や形式のチェックはもちろん、作成時の遺言者の状態や自筆かどうかの判断をするための専門的なアドバイスをしてくれます。疑問を抱えたまま遺産分割を終えないように、一度弁護士に相談しましょう。

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記事の著者紹介

安持まい(ライター)

【プロフィール】

執筆から校正、編集を行うライター・ディレクター。IT関連企業での営業職を経て2018年にライターとして独立。以来、相続・法律・会計・キャリア・ビジネス・IT関連の記事を中心に1000記事以上を執筆。

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本記事の内容は、記事執筆日(2024年8月2日)時点の法令・制度等をもとに作成しております。最新の法令等につきましては、専門家へご確認をお願いいたします。万が一記事により損害が発生することがあっても、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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