相続人代表者指定届が届いたけどどうすればいい?書類の内容や返信の書き方

公開日:2024年11月27日

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「相続人代表者指定届が送られてきたけどどうすればいい?」相続人が複数いる場合、自治体から相続人代表者指定届が送付されるケースがあります。相続人代表者指定届では、被相続人が納税義務のある税金の通知を受け取る人を決めるための書類です。この記事では、相続人代表者指定届の基本や返信の書き方・注意点などを分かりやすく解説します。

相続人代表者指定届とは

納税義務のある人が亡くなった場合、自治体から相続人代表者指定届が送付されるケースがあります。まずは、相続人代表者指定届の基本を押さえていきましょう。

納税通知書を受け取る相続人を届出る書類

相続人代表者指定届とは、被相続人の代わりに納税通知書を受け取る人を確認するための書類です。固定資産税・都市計画税・住民税・軽自動車税などの市区町村が課す税金が対象となります。

被相続人の死亡した日によっては、被相続人に納税義務のある税金が発生します。たとえば、固定資産税は1月1日時点の所有者に課せられるため、1月2日以降に被相続人が亡くなると納税義務者は被相続人のままです。この場合、次に不動産を相続する人が確定していれば、その相続人が納税義務を負います。しかし、相続の仕方が決まっていない・相続手続きが完了していないという状況では相続人全員で連帯して納税義務を負うことになるのです。

このような場合、自治体は納税通知書を誰に送付すればいいのか分かりません。相続人全員に送付するとなると手間もコストも掛かってくるでしょう。そこで、法定相続人の中から納税通知書を受け取る人を指定してもらうために送付するのが相続人代表指定届なのです。

相続人代表指定届は、納税義務のある人が亡くなってしばらくすると自治体から相続人のうち誰か1人に届きます。相続人の誰に届くのかの基準は公表されていませんが、一般的には被相続人が所有する不動産に住んでいる相続人・同じ自治体に住む相続人・死亡届をした相続人などに送られるケースが多いようです。

相続人代表者指定届を受け取ったら代表者を決めて自治体に届出を行います。届出を行えば、以降納税通知書は届出した代表者に送られるようになるのです。

代表者=納税義務を負う人ではない

相続人代表者指定届で代表者となった人は納税義務を負うわけではありません。相続人代表者指定届は、あくまで納税通知書を受け取る人を決めるだけの手続きです。実際に納税義務を負う人は相続の結果不動産などを所有することになる人であり、代表者が必ずしも相続するわけではありません。

相続が確定するまでは相続人全員に納税義務があることに変わりなく、代表者だけで納税することにはならないのです。

また、代表者を届け出たからといって、相続が確定する・不動産の所有者が自治体で変更されるといったことはありません。代表者を指定した後でも、遺産分割協議で相続の仕方が決まったら、決まった内容に応じて相続手続きが必要です。

なお、相続人代表者指定届に対応しなかったからといって、罰金などのペナルティがあるわけではありません。代表者を指定しない場合、自治体が判断して納税通知書が相続人の誰かに送られてくることになります。

相続人代表者指定届の書き方

ここでは、相続人代表者指定届の書き方を具体的に解説します。

相続人代表者指定届のフォーマットと入手先

相続人代表者指定届が送付される場合、一般的には返信用の書類が同封されているので同封されている書類に必要事項を記入して返信しましょう。また、相続人代表者指定届のフォーマットは、各自治体のホームページで入手できるケースも多いので、ダウンロードして使用することも可能です。

フォーマットに記載する内容は自治体によって異なりますが、基本的には記入例も掲載されているのでチェックしながら記入していくとよいでしょう。

相続人代表者指定届出書のイメージ

※引用:相続人代表者指定届出書|多摩市

相続人代表者指定届の項目と記入例

相続人代表者指定届出書の記入見本のイメージ

※引用:記入見本 相続人代表者指定届出書|多摩市

記入の仕方は自治体によって異なりますが、基本的な記入内容はそれほど変わりません。一般的には、以下の項目を記入していくことになります。

  • 被相続人の氏名・住所・死亡年月日
  • 相続人全員の住所・氏名・続柄
  • 代表者となる人の氏名・住所・続柄・連絡先

自治体によっては、相続割合や相続人の生年月日・代表者の印鑑が必要なケースもあります。また、相続人・代表者は基本的に自署で記入する必要があります。さらに住所や氏名・続柄は戸籍や住民票に記載されている通りに記入しなければならないので、注意が必要です。

自治体によって記入方法は異なるので、ホームページの記入例を確認しながら内容に漏れがないように記入していきましょう。

記入例がホームページにない場合は、自治体の窓口で確認することをおすすめします。

相続人代表者指定届の提出方法

相続人代表者指定届を記入したら自治体に提出します。提出方法は、一般的には窓口・郵送に対応している自治体がほとんどです。自治体によっては、電子申請に対応しているケースもあるので、事前に提出方法を調べておくとよいでしょう。

相続人代表者指定届について知っておきたいこと

相続人代表者指定届について知っておきたいことのイメージ

ここでは、相続人代表者指定届について知っておきたいことを解説します。

代表者が相続人になるわけではない

前述のとおり、相続人代表者指定届はあくまで納税通知書を受け取る人を決めるだけの手続きです。代表者になったからといって、相続が確定するわけでも、納税義務を1人で背負うわけでもありません。

相続は、別途遺言や遺産分割協議の結果に従って手続きしていく必要があることは覚えておきましょう。

相続放棄している場合の対応

相続放棄している場合、固定資産税などの税金を支払う義務もないので代表者になることはありません。相続放棄しているのに相続人代表者指定届が送付された場合は、他の相続人に提出してもらうか、自治体に相続放棄している旨を連絡するようにしましょう。

自治体によっては相続放棄申述受理通知書の写しの提出が必要になるケースもあるので、自治体に確認することをおすすめします。

代筆での提出も可能

相続人代表者指定届は基本的に自署での記入が必要ですが、相続人が遠方に住んでいるなど記入が難しい場合は相続人に了承を得て代筆することも可能です。ただし、代筆した場合はその旨を備考欄に記入するなど、自治体によって代筆のルールは異なるので、確認したうえでルールに沿って記入するようにしましょう。

共有のまま遺産分割協議前に税金を建て替えた場合の対応

遺産分割協議前で財産が共有状態のときに、代表者や相続人の誰か1人が税金を建て替えた場合、他の相続人に対して相続分の応じて請求することが可能です。請求する場合は、個別に請求・遺産分割協議で相続財産で清算するといった方法があります。

なお、代表者を決めていない・遺産分割協議前という理由で、納税しなくてもいいわけではない点に注意しましょう。代表者や相続人が決まっていなくても、被納税義務は相続人全員の連帯責任となるため、必ず支払わなければなりません。

納税通知を無視していると差し押さえに遭うリスクもあるので、代表者を決めていようといなかろうと、納税には対応する必要がある事は覚えておきましょう。

また、相続放棄を検討する場合、納税に対応すると相続放棄できなくなる恐れがあります。相続放棄を検討しているなら、納税にも慎重に対応する必要があるので、不安がある場合は専門家に相談することをおすすめします。

相続放棄でお困りの方へ_専門家をさがす

現所有者申告書との違い

現所有者申告書とは、相続により不動産の所有者となった人に対して、相続登記までの間に固定資産税納税義務者の情報を自治体に届け出る手続きです。相続により不動産の所有者となった場合、所有者になったことを知った日の翌日から3か月以内に申告手続きする必要があり、手続きを怠ると過料などのペナルティを課せられる恐れもあります。

自治体によっては相続人代表者指定届と現所有者申告書が一体となった書類を利用するケースもあるので、それぞれの自治体に確認するとよいでしょう。

相続税申告時の相続人代表者指定届との違い

相続税申告時の相続人代表者指定届とは、正式には「納税義務等の承継に係る明細書(兼相続人の代表指定届出書)」と呼ばれる相続税納税時の添付書類です。この書類は、本来相続税を申告する人が亡くなっているケースで、その相続人が複数人で代わりに申告する際に必要になります。

固定資産税などの相続人代表者指定届とは異なるので注意しましょう。

代表者を避けるためにトラブルになることもある

相続人代表者指定届で代表者になると、手間や負担があるのではと代表者になるのを避けてしまう方もいるでしょう。しかし、代表者を避けることで他の相続人との代表者の押し付け合いになりトラブルに発展する恐れもあります。

押し付け合いのトラブルを避けるためにも、いったん誰かが代表者になっておくことをおすすめします。

代表者は、相続人のうち誰がなっても問題ありませんが、話し合いで納得してから決めることが大切です。また、代表者は納税通知書を受け取り、他の相続人に連絡したり建て替えて納税したりする必要があります。

納税意識の薄い人や連絡を怠るような人を代表者に指定すると、納税が滞り督促を受けるなど相続人全員に不利益になる恐れがあるので注意しましょう。

相続人代表者指定届が届いたら速やかに回答を

納税義務のある人が亡くなると、自治体から相続人代表者指定届が送付されるケースがあります。代表者になってもあくまで納税通知書を受け取るだけなので、納税の義務を代表者1人で負う必要はありません。

仮に、代表者を指定しない場合でも、ペナルティがあるわけでもありません。しかし、代表者を指定しなくても納税は必要になるので、代表者を決めてスムーズに相続人全員で納税できるようにしておくほうがよいでしょう。

相続放棄を検討している、誰を代表者にすればいいのか分からないなど、相続人代表者指定届への対応に迷ったら専門家に相談することをおすすめします。代表者に指定されても相続手続きは必要になるので、相続手続きまで含めてサポートしてもらうことで、スムーズな相続ができるでしょう。

記事の著者紹介

逆瀬川勇造(ライター)

【プロフィール】

金融機関・不動産会社での勤務経験を経て平成30年よりライターとして独立。令和2年に合同会社7pockets設立。前職時代には不動産取引の経験から、相続関連の課題にも数多く直面し、それらの経験から得た知識などわかりやすく解説。

【資格】

宅建士/AFP/FP2級技能士/相続管理士

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本記事の内容は、記事執筆日(2024年11月27日)時点の法令・制度等をもとに作成しております。最新の法令等につきましては、専門家へご確認をお願いいたします。万が一記事により損害が発生することがあっても、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。

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