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京都府木津川市

豊田司法書士事務所

INTERVEW

法律家としての探求心と、お客様へのホスピタリティを両立させる

豊田司法書士事務所_豊田智圭_インタビュー

京都府の木津川市で、相続の幅広い相談に対応している豊田司法書士事務所。相続が発生してからの手続きのみならず、成年後見制度をはじめとした高齢者問題に関するサポートを広く行っていることが特徴です。代表の豊田司法書士に、高齢者問題に注力する背景や、これからの取り組みとして見据えているものについてお話しいただきました。

相続手続きだけでなく、書類や届出にまで気を配る

まずは相談にいらっしゃるお客様について教えてください。どのような方々が相談にいらっしゃっていますか?

ご相談にいらっしゃるのは、事務所のある木津川市周辺の方々がほとんどです。木津川はどちらかというと田舎と郊外が混在しているようなエリアで、駅から少し離れると山や田んぼ、畑が広がっています。それなので、こちらで相続のご相談をいただく際には、必ずと言っていいほど、田んぼ・畑・山林の相続が絡んでくる。これは、木津川エリアの相続ならではの特徴かもしれません。

そのような相続のご相談を受ける際に、何か気を付けていることはありますか?

法的な相続手続きだけでなく、自治体や官公庁への届出のことまでご案内するように心がけています。田んぼや畑、山林を相続するときに何が問題になるかというと、相続の手続きが終わった後に、管轄の役所に届出をしないといけないことがあるのです。

山林を相続したときに、管轄の市役所の農林課に届出をしないといけないであったり、田んぼを相続すると農業委員会への届出が必要になるであったり。ご自身で手続きをしようとすると、こうした届出のことは意外と見落としてしまいがちです。

これらの届出を私の方で代行することはできないのですが、届出が必要になる方に対しては、ご相談の際に届出のことまであわせてご案内させていただくようにしています。

田んぼ・畑・山林の相続が多く発生する地域であっても、そうした届出が必要になることは知られていないのですか?

ほとんどの方は知らないと思いますね。不動産を相続したときに行う相続登記については、気にされている方も多いですが、相続登記が終わった後に行う届出は、ほとんど知られていないのが現状だと思います。

しかしこうした届出をしておかないと、後になってお客様が困ることになりますので、「ここはきっちりやっておきましょうね」といったお話をさせていただいています。登記の手続きだけでなく、周辺の官公庁に関係する書類・届出のご案内まで行うということを心がけています。

豊田司法書士事務所_豊田智圭司法書士_01

ご家族それぞれの相続のために、橋渡しをする

木津川周辺の方々がご相談にいらっしゃるということですが、ご相談の内容としてはどういったものが多いのですか?

どちらかというと、複雑な事情がある相続のご相談が多いです。お客様ご自身では手続きが難しいようなケースですね。これは、事務所の立地による影響もあるかもしれません。事務所が法務局から歩いてすぐの位置にあるのですが、法務局まで相談に行かれた方が、ご自身での手続きが難しいと感じられて、相談にいらっしゃるという流れが多いと感じています。

複雑な事情がある相続とは、どういったご相談か詳しく伺ってよろしいでしょうか。

代表的なものですと、相続人の中に連絡の取れない人や、会ったことがない人が含まれているというケースです。その中でも、お子様がいらっしゃらない、おひとり様の相続に関するご相談をいただく機会が増えてきています。

お亡くなりになった方にお子様がいらっしゃらず、そして親御様もすでに他界されている場合、その方の兄弟姉妹や甥っ子、姪っ子が相続人になります。そうすると、相続の手続きのために相続人同士で話し合おうとしても、会ったことがない人が含まれていて、どのように連絡して話し合えばいいのか分からないということが起こるのです。一人ではどのように進めたらいいのか分からないので、相続スタートの段階からご相談をいただくということが多いですね。

そういったご相談に対して、豊田先生はどのような方法で手続きを進めていくのですか?

相続人の中に連絡を取っていない人や、顔も見たことがない人が含まれているけれども、相続の手続きを進めるために、こちらから何かアクションを起こさないといけない。そうした時には、主体となるのは私たち司法書士ではなく、あくまで相続人であるお客様が主体であると意識して助言をしています。

よく助言をさせていただくのが、連絡を取っていない相続人の方と話し合いをするために、お手紙を出していただくというものです。お客様からのお手紙で、「こちらからお願いする立場として、相続の手続きに協力していただけませんか?」といった連絡をしていただく。このようにして、最終的に相続人同士で話し合いができる環境を目指して助言をさせていただいています。

その後の相続の内容はご家族それぞれですが、こうした相続人同士の話し合いができるようアプローチの面で助言させていただくということを意識しています。

専門家として責任感をもって、ご相談にお応えする

これまでご対応されてきた相談の中で、印象に残っているお客様はいらっしゃいますか?

事務所を開業して2年目くらいの頃に対応させていただいた、認知症を患ったおばあ様の成年後見業務がとても印象に残っています。事務所として高齢者問題に取り組んでいるのですが、そのターニングポイントになった業務です。

その方は身寄りが誰もいない独居の方で、ご両親は他界されて、お子様もいらっしゃらず、ご結婚もされたことがないという方でした。成年後見人としてサポートさせていただくことになったのですが、最初のうちは私が後見人として財産を管理することにすごく抵抗があって、通帳を管理すると泥棒扱いされるような状態でした。

このままではいけないと思って、1~2週間くらい、時間をつくっては会いに行くことを続けたんですね。そうすると、「この人は多分、私の味方だ」と思ってくれたのか、少しずつ心を開いてくれるようになったのです。認知症を患っていても、他人でも時間をかけて接していれば心を開いてくれることを実感して、怖さが嬉しさに変わったというか、すごくやりがいを感じたことを覚えています。

その方は最後の看取り納骨までご一緒させていただくことになったのですが、この件を通じて司法書士の存在意義のようなものを実感し、積極的に福祉関係の方とお話しする機会を持つようになりました。そうした面でも、特に印象に残っているお客様です。

今も成年後見のご相談というものは、積極的に受けられているのですか?

そうですね。福祉関係の方であったり、介護施設の方であったり、あとは他士業の先生であったり、色々な方からご相談をいただいています。私がお役に立てることであれば、できるかぎりサポートさせていただきたいと思っていますね。

成年後見のご相談を受けたり、後見人を務められたりするにあたって、何か心がけていることはありますか?

レスポンスの早さですね。これは私のような個人事務所の特権だと思っていますので、誰よりも早くするつもりでご対応しています。

後見業務では、ご家族の都合にあわせて土日の対応が必要になったり、施設のカンファレンスの時間にあわせて行動することが求められます。できるかぎりそうした要望に応えられるように、スケジュールの柔軟性も意識しているポイントです。

あとは何より、コミュニケーションですね。昔、研修を受けたときに「成年後見は人の命に関わる仕事であり、司法書士業務の集大成」と言われたのが、すごく印象に残っていて。人の命に関わる仕事なので、人とのコミュニケーションがもっとも重要なのだと。もちろん私は医療従事者ではないですが、それに近い責任感を持って、迅速なコミュニケーションをとることを常に心がけています。

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自分ならではの形で、貢献できるものを探してきた

これから力を入れていきたい取り組みなど、今後の展望を教えていただけますか?

これから取り組みたいものは、外国の方の支援ですね。外国の法体系を学びたいと思ってアメリカのロースクールに通っていたこともあって、何らかの形で日本に暮らす外国の方の支援をしたいと考えています。

これまでにも外国人の方が絡む相続登記や遺言のご相談をいただいたことがあるのですが、そのときにロースクールでの経験を活かして自分ならではのサポートができたと感じたのです。日本語をそのまま訳したような英語ではなく、現地で使われているような形で専門用語を翻訳したり、現地にいらっしゃる方に住所証明を取得していただく土台をスムーズに作成できたり。

今、司法書士業界も過渡期に来ていて、他の司法書士と同じ方向を向いていても、同じ波にしか乗れないんじゃないかと思うのです。それではあまり差が出ないというか、自分の特徴を出せないと思うところがありますので、これから自分の特徴を打ち出せるサービスとして、こうした外国の方に向けた支援にも取り組みたいと思っています。

外国の法体系を学ぼうと思われたきっかけは、どのようなものだったのでしょうか?

独立する前に勤めていた事務所の所長からいただいた言葉が、最初のきっかけだと思います。「独立するなら、自分ならではの色、自分ならではのやりたいことを、必ず持っておかないといけないよ」といったことを言われたのです。

当時の私は独立開業することを決めていたものの、所長の言われた自分ならではのものを何も持っていませんでした。司法書士としての専門分野はもとより、コネもありませんでしたし、人脈もない。木津川にたくさん知り合いがいたわけでもありませんので、本当にゼロからの状態でした。

そのことに危機感を持ってどうしようかと思ったときに、司法書士会に国際交流室という委員会があることを知ったのです。その委員会で、カンボジアで法整備の支援をされている、ある女性司法書士の活動が目に留まりました。

「どうやったら、そんな活動ができるんだろう」と思って調べたところ、JICA(独立行政法人 国際協力機構)の研修を受けて、弁護士の先生方と一緒にカンボジアのプロジェクトに参加されていたことが分かりました。この活動に、すごく興味を持ったのです。

縁があって国際交流室員になることができ、カンボジアでのプロジェクト以外にも、国際会議(LAWASIA)に参加することで、もともと私が興味を抱いていた日本の成年後見制度が、諸外国から注目されていることを初めて知ることになりました。

そこで、日本の法律体系と海外の法律体系の違いが気になるようになり、そのどちらにも対応できる人になりたいと思ったのです。「海外のロースクールに通って、外から日本の成年後見制度を見てみたい」そのように考えてロースクールを受験したという経緯です。

ロースクールを経験されて、業務への取り組みやお客様へのご対応など、これまでから変わった面はありますか?

ロースクールを卒業して3年ほど経ちますが、外からの視点を持つことで、日本の成年後見制度について、より深く知ることができたと思っています。何よりも、後見人を務めさせていただく際の対応も、ロースクールで学んだことを踏まえて意識して変えるようになりました。物事を代行する支援ではなく、ご本人様による意思決定を尊重する支援を目指すようになりましたね。

これから取り組みたいことですが、最終目標は外国の方の成年後見です。今日本に住んでらっしゃる外国の方が高齢になったときに、成年後見人としてサポートさせていただきたい。日本と外国それぞれの法体系を学んだ者として、私ならではの形でサポートをしたいと思っています。

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法的な手続きだけでなく、人と人との関わりが大事

最後に、相続に悩まれている方にメッセージをお願いします。

相続のお悩みというものは、一人で解決することは難しいものなので、誰か専門家に相談することが大事だとお伝えしたいです。近くの司法書士事務所であったり、司法書士会だったり。最近は広告も増えてきていますので、比較的目に留まる機会は増えてきていると思います。無料で相談できるところも多いので、まずは一歩踏み出して、専門家の相談を利用してみるのが良いと思います。

ただ、相談の後に申し込みをされる際には、あくまで人と人との仕事になるので、相性があるということは意識していただきたいです。無料相談で話をしてみて、「望んでいたものとは違う方向に話が進んだ」「あまり話を聞かずに手続きが進みそうだな」といったことを感じたら、それは相性があっていないのだと思います。

もしかすると、どの専門家を選んだとしても、結果は同じかもしれません。しかし「この人に頼んでよかったな」という専門家に相談ができれば、次に困ったことがあったときにも助けになってくれるはずです。そんな専門家を選んで、失敗がないような形で、納得のいく相続を実現させてほしいなと思います。

プロフィール

豊田司法書士事務所
代表司法書士 豊田 智圭

 

昭和59年4月:大阪府枚方市 生まれ
昭和61年3月:京都府木津川市へ転居
平成15年3月:同志社国際高等学校 卒業
平成19年3月:同志社大学法学部法律学科 卒業
平成19年10月:司法書士試験 合格
平成19年10月~平成24年7月:奈良市内の司法書士事務所にて勤務司法書士として在籍。簡易な事案から複雑な事案まで多岐にわたる相続問題、借金整理問題、成年後見業務、不動産登記、法人・商業登記等幅広い分野に携わる。
平成24年8月:豊田司法書士事務所 開業
令和2年5月:Stetson University College of Law (Major: M.Jur. in Aging Law and Policy) 卒業

 

京都司法書士会:第1074号
簡裁訴訟代理等認定番号:第712162号
公益社団法人 成年後見センター・リーガルサポート:会員
法テラス契約司法書士
日本司法支援センター京都地方事務所
木津川市商工会

 

豊田司法書士事務所_豊田智圭司法書士_プロフィール

取材を終えて感じた先生の人柄

複雑な事情がある相続や、認知症の方の成年後見業務、そして海外での法整備の支援活動。豊田先生にお話しいただいた活動は、どれも定型的な正解がある業務ではなく、状況にあわせた解決策を見つけなければならないものでした。

正解がない問題に取り組み、新しい領域の知識を学び続ける法律家でありながら、困っている人に寄り添い助けるサポーターでもある。法律とお客様それぞれと全力で向き合う姿勢から、専門家として責任ある仕事をするという強い意志を感じました。

そんな豊田先生が挙げたアドバイスは、専門家のスキルに関するものではなく、人としての相性を意識してほしいというものでした。相続は手続きだけでなく、人と人との関わりが本当に大切なものだと実感する取材となりました。

事務所概要

名称
豊田司法書士事務所
資格者
代表司法書士 豊田 智圭
所在地
京都府木津川市木津駅前一丁目12番地FLUR-K 201号室
電話番号
0774-66-3295

※「相続プラスを見た」とお伝えいただくとスムーズです

営業時間
平日 9:00~18:00 ※ご予約で土日祝日も相談可能
定休日
土曜日・日曜日・祝日
対応エリア
京都府
所属
京都司法書士会:第1074号
簡裁訴訟代理等認定番号:第712162号
公益社団法人 成年後見センター・リーガルサポート:会員
法テラス契約司法書士
日本司法支援センター京都地方事務所
木津川市商工会

事務所情報掲載日:2023年12月5日

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