政府は9月27日に開催された『新しい資本主義実現会議(第22回)』にて、事業承継税制の延長・拡充を検討することを重点事項の一つとして提示しました。
事業承継税制とは、中小企業や個人事業の承継時に贈与税や相続税の負担を免除することができる制度であり、高齢化が進む社会において事業承継の円滑化を狙って制定されました。
この制度は法人向けと個人事業向けの2種類がありますが、それぞれ特例承継計画と個人事業承継計画の提出期限が来年3月末までと迫っているため、この度の延長・拡充の検討が示された模様です。
法人版事業承継税制
- 自社株を承継する際の贈与税・相続税負担を全額猶予または免除
- すべての株主から代表後継者(最大3人)への贈与・相続が対象
- 承継までの経営見通しなどを記載した特例承継計画の提出が必要
- 特例承継計画の提出期限は令和6年3月31日
- 平成30年1月~令和9年12月までの贈与・相続が対象
個人版事業承継税制
- 特定事業用資産を承継する際の贈与税・相続税負担を全額猶予または免除
- 宅地・建物など多様な事業資産に係る贈与・相続が対象
- 承継までの経営見通しなどを記載した個人事業承継計画の提出が必要
- 個人事業承継計画の提出期限は令和6年3月31日
- 令和元年1月~令和10年12月までの贈与・相続が対象
「相続」というと個人の不動産や預金などのイメージが強いですが、法人や個人事業なども引き継がれるべき資産の1つです。
個人資産を生前贈与するのと同様、企業・事業も余裕をもって次の世代に承継できるように準備することが求められます。
事業承継税制などの特例措置をうまく活用し、円滑な贈与・相続を進めていきましょう。