令和4年度の査察報告が公表されました。国税庁によると脱税事件の摘発件数が増加し、告発件数と脱税総額も前年度を上回っています。今回はその概要を詳しく見ていきましょう。
国税庁が公表した令和4年度査察の概要によれば、脱税事件の摘発件数は前年度より30件多い139件で、脱税総額も前年度を約25%上回る約128億円に達しました。
この139件の事案のうち、継続事案を含む103件が検察庁に告発されました。これにより、告発件数及び脱税総額は大幅に増加し、告発率は平成18年度以来の高水準となりました。税目別に見ると、「法人税」が47件と最も多く全体の約46%を占めています。次いで「消費税」が34件、「所得税」は19件と続きます。この消費税の告発件数のうち16件は消費税不正受還付事案に関連しています。
またその中で、無申告事案も15 件の告発があり、相続税がトピックとして挙げられてます。故意に申請書を提出せず脱税を働いたほ脱犯は6件であり、これらは自主的な申告が求められる制度体制の隙を突いた形となります。
国税庁は時流に即した社会的影響が大きいと見込まれる事案に積極的に取り組んでいます。その為、日本が高齢化社会のピークを迎えると予想される2020年後半から2030年初頭にかけて、相続に関連した告発も増加する可能性があります。
相続に関わる事務作業は自主管理が多いので、手続きの見落としも大いにあり得ます。うっかりで告発事例にならぬ様、今のうちに管理体制は万全の状態に整えておきましょう。