「もう自分の不動産は売れない」「誰も買ってくれない、どうしようもない」
相続、共有持分、空き家、再建築不可物件——放置するほど問題は深刻化し、家族や地域全体を巻き込むトラブルへと発展しかねません。
そんな“訳あり不動産”の最前線で、あえて困難に挑み、解決の道を切り拓いてきた、株式会社ネクスウィル。「どうしようもない不動産を諦めるオーナーをゼロにしたい」その強い信念を胸に、誰も手を出さない領域に挑み続ける同社。本記事では、代表取締役・丸岡智幸氏へのインタビューを通して、創業の原点から、「共有持分」や訳あり不動産のリアルな実態、そして地域創生へとつながる未来のビジョンまでをご紹介します。
「どうしようもない不動産はない」—誰も手を出さない領域に挑む使命感

ー創業のきっかけや、『どうしようもない不動産を諦めるオーナーをゼロにしたい』という想いの背景を教えてください
創業時、当社は訳あり不動産の買取を主力に行っていたわけではありませんでした。私自身、投資用不動産の販売で培った経験があったため、会社を立ち上げたときは5人で一棟収益物件の仲介からスタートしたんです。
ただ、世の中には不動産会社が数え切れないほどあります。当社としてどのように特色を出していくか、そこが大きな課題でした。唯一無二で、なおかつ社会的意義のあるサービスは何かと模索していたところ、顧問弁護士の先生から「相続で共有持分が原因のトラブルが増えている」と聞きました。その話を聞いた瞬間、私は素直に「解決できれば面白い」と感じたんです。
ー実際に「共有持分」という分野に踏み込まれたわけですが、どのように事業の手応えを感じられたのでしょうか?
当時は「共有持分」という言葉すらほとんど知りませんでしたが、ホームページを用意して反応を確かめてみたところ、思いのほか大きな反響がありました。
「自分の不動産はもう売れない」と、半ば諦めていた方々から、切実な相談が次々に届いたんです。そこで、大きな社会的ニーズがあることを強く実感しました。
さらに、地元の不動産会社や大手仲介会社に断られ、放置せざるを得ない方々を目の当たりにする中で、「当社のノウハウなら必ず解決できる」という確信が生まれました。
空き家の増加が見込まれる中、唯一無二で社会的意義のあるサービスとして、共有持分の買取に本格的に取り組むことを決めた。それが、ネクスウィルとしての事業開始の経緯です。
ー不動産業界でも「共有持分」に特化して取り組むのは珍しいと感じます。この領域に挑戦する中で、怖さや苦労はなかったのでしょうか?
もちろん不安はありました。共有持分で一番のリスクは、最初に一部の持分を買い取っても、残りの共有者との交渉がいつ終わるか分からないところです。資金を投じたまま、回収のメドが立たなくなる怖さが常にあります。
特に最初は、いくらで買い取るのが正しいのか、価格設定に悩みました。でも当社には投資用不動産販売で収益を確保できる基盤がありましたので、たとえ共有持分で回収が遅れても、会社を維持できる体制があったのは大きかったと思います。
訳あり不動産に、新たな出口を—展開する2つのサービス
ー不動産買取の「ワケガイ」について、どんなサービスなのか、また名前に込めた想いも教えてください
「ワケガイ」は、共有持分をはじめとする訳あり物件の買取に特化したサービスです。一般の不動産会社では取り扱いづらい物件でも、専門知識とノウハウを活かし対応しています。早期の現金化や、割安での購入が実現できる場合も多く、豊富な実績と、迅速で丁寧な対応を高く評価いただいています。
サービス名には「何をする会社かをすぐに伝えたい」という思いが込められています。家を買いたい時はすぐ相談先が思い浮かびますが、「訳ありの不動産を売りたい」となると、どこへ相談すべきか分からない方がほとんどです。あえて「訳あり」という言葉を使うことで、「売りたいけれど売れない」と悩む方に思い出してもらえるようにしました。特に相続で共有持分を抱えた方や、空き家、再建築不可物件など、他社では断られるケースでも、当社なら対応可能です。
「もう無理だ」と諦める前に、ぜひ相談してほしい。そんな想いでブランドの認知を広げています。

ー「空き家のURI・KAI」もユニークで先進的だと感じます。こちらのサービスが誕生した経緯をお聞かせください
「空き家のURI・KAI」は、当社でもどうしても買取が難しい物件が存在することが背景にあります。立ち上げ当時、既に0円物件を扱うマッチングサイトはありましたが、収益化に苦戦し、長続きしないケースが多いと感じていました。
当社は「ワケガイ」で利益を確保しているため、「空き家のURI・KAI」自体が黒字でなくても運営を続けることが可能です。こうした場があることで、当社が買取できなかった物件も手放すチャンスが生まれますし、良いサービスを絶やしたくない思いもあります。
「空き家のURI・KAI」は、全国の空き家や訳あり不動産を集め、売りたい人と買いたい人をオンラインで直接つなぐマッチングサービスです。従来のように不動産会社を介さず、売主が物件情報をサイトに掲載し、買い手が直接トークルームでやりとりできる仕組みが特徴です。初心者でも使いやすく、無駄な仲介手数料がかからないのも強みです。
さらに、自治体が運営する空き家バンク的な役割も果たしており、連携協定を結んだ自治体様には大きな追加負担なく利用していただけます。当社では「ワケガイ」で対応可能な物件は自社で買取り、それ以外は「空き家のURI・KAI」で取引を支援する二段構えで訳あり不動産の問題に取り組んでいます。

空き家問題を「地方創生」へ変える—ネクスウィルが描く未来

ーこれまでのお話を踏まえ、今後さらに注力されたい取り組みや、描いていらっしゃる未来のビジョンをお聞かせいただけますか?
私たちは今、自治体やスポーツチームとの連携を進めています。共有持分が原因で空き家化し、最終的に所有者不明土地になるケースが増えていて、これは当社だけでは解決できない大きな社会問題です。だからこそ、地域に根付くスポーツチームとも手を組み、空き家問題の解決に挑んでいます。
例えば、Jリーグの水戸ホーリーホックと連携し、空き家相談窓口を2025年5月に開設しました。これはJリーグ初の取り組みで、今後は茨城県など自治体とも連携して空き家解決に向けて動いていきたいと考えています。水戸ホーリーホックのホームスタジアム周辺には宿泊施設が少ないという地域課題もあり、空き家を宿泊施設や新たな施設へ再生させることで、地域に人を呼び込み、経済の活性化を目指しています。
ー最後に、不動産売却を検討している方へメッセージをお願いします
共有持分や空き家の問題は、今はトラブルがなくても将来相続時に大きな問題になることがあります。判断できるうちに、早めのご相談をおすすめします。
当社は共有持分の買取を中心に多くの案件を手がけ、弁護士・司法書士・税理士と連携し法的サポート体制も整えています。営業担当も経験豊富で、業界トップクラスの実績を自負しており、自治体とも協力しながら安心のサービスを提供しています。
共有持分や空き家など将来の負担を抱えている方は、ぜひ早めの対処をご検討ください。私たちはその一歩を全力でサポートします。お気軽にご相談ください。


丸岡 智幸
株式会社ネクスウィル 代表取締役
1983年生まれ、茨城県出身。高校卒業後、大手電力会社において約10年間勤務。その後、不動産会社に転職し、投資用アパートの販売業務などに従事する。2019年に独立し、株式会社ネクスウィルを創業。「訳あり不動産」の買い取りに特化した不動産買取事業を展開し、買取サービス「ワケガイ」の運営を手がける。さらに、空き家や「訳あり不動産」を個人間で売買できるオンラインマッチングサイト「空き家のURI・KAI」を立ち上げるなど、不動産業界における新たなサービス開発に取り組んでいる。