地方と東京それぞれでの経験を活かし、安心感を与える存在になる
東京都文京区の東京ドームからほど近い事務所で、相続の幅広い相談に対応しているKIKI司法書士事務所。相続が発生してからの手続きに加え、遺言書による生前対策や認知症対策にも対応している、相続問題に特化した司法書士事務所です。代表を務める田中希依司法書士に、司法書士を目指した経緯や、お客様対応へのこだわりについてお話しいただきました。
女性ならではの目線で、お客様のご相談に寄り添う
まずはお客様について教えてください。どのようなお客様がよくご相談にいらっしゃっていますか?
事務所として相続関係や遺言書作成の分野に特化しているので、お客様の層で一番多いのは、ご相続手続きでは50代以上、遺言書の作成では70代以上の方です。場合によっては、90代以上のご高齢の方もいらっしゃいますね。
お客様の特徴は、女性からのご相談が多いことです。私自身も女性なので、安心してご相談いただけているのかなと思います。あと最近は、50~60代のまだ現役で働いていらっしゃるような世代の方が、遺言書を作成したいとご相談に来られることも増えています。
ご相談の内容としては、相続が発生する前の生前対策と、相続が発生してからの手続きとでは、どちらの方が多いのですか?
現在のところは、半分ずつという感覚です。独立開業するときには、相続が発生してからの手続きが多いかなと想像していたのですが、実際には遺言書の作成をご希望されるお客様からご相談いただくことも多く、知り合いの方からも、遺言書を作りたいとご相談いただくことが結構ありますね。
個人事務所として活動しているので、お客様の生活に近いところでお話を聞かせていただくことを大切にしています。そういう面で、大手の事務所に行って相談するのは少し気が引けるけれど、「遺言書を作った方がいいのか、何か対策した方がいいのか、話を聞いてみたい」と悩んでいらっしゃる方に、気軽に相談にお越しいただけているのかなと感じています。
相続が発生してからの手続きですと、どのような相談が多いのでしょうか。
令和6年4月から相続登記が義務化されるのもあって、やはり不動産の相続登記に関するご相談にいらっしゃる方が増えているという実感があります。直接に「義務化が始まるから」とはおっしゃらなくても、お客様の方で「4月から相続の何かが変わるらしい」とご心配されてご相談に来られるケースが増えているように感じます。
ただ、相続登記だけでなく、「あとで手続きが大変になるかもしれないので、今のうちに相続対策をやっておけば、家族への負担が少なくなると思って相談に来ました」という方も増えてきました。差し迫ったような状況ではないけれど、将来の手続きを楽にするために、遺言書の作成を検討しているという方も増えてきているので、そこは最近変わってきたポイントだなと感じています。
地元である岐阜県からも相談が絶えない理由とは
ご相談にいらっしゃるお客様は、事務所のある文京区周辺にお住まいの方が多いのでしょうか?
直接、事務所にお問い合わせくださる方については、やはり文京区周辺にお住まいの方が多いですね。あとは、私の地元が岐阜県なので、そちらからご相談をいただくこともあるんです。
開業当初は地元の方からご相談いただくとはあまり予想していなかったのですが、地方ではやはり老舗の司法書士事務所が多いこともあり、何となく相談に行きにくいと感じていらっしゃる方から、気軽にお声かけいただけているようです。こうして東京にいながらも、地元の方々のお役に立つことができ、とても嬉しく感じています。
岐阜県のお客様からのご相談ですと、どういったスタイルでご相談に対応されているのでしょうか?
私が地元に帰省した際に一度お会いしてお話を聞かせていただき、その後は電話やメール、LINE、Zoomなど、お客様にあわせて柔軟な形で連絡を取り合いながら、手続きをしています。他には、地元に帰ったタイミングで相談会をやらせていただいて、そこからやりとりがスタートする、ということもありましたね。
東京のお客様と岐阜のお客様、地域によってご相談内容や求められるものの違いはありますか?
東京の場合、周りに相談できる司法書士の数が多いこともあり、さまざまな事務所さんにお話を聞きに行かれたり、お客様自身がある程度インターネットで調べたりして、すでに知識がある状態でご相談に来られる方が多いと感じています。遺言書を作る場合も、相続の手続きをする場合も、複雑な条件や内容を望まれるお客様が多い印象です。
海外に生活拠点をお持ちだったり、ご親族が海外にいらっしゃったりと、グローバルな需要もありますので、必要な知識の勉強をしないといけない点が多いとも感じますね。なので、毎回お客様のご希望にできるだけ応えられる最善の形を取れるように、私自身も勉強をしたり調べ物をしたり、ずっと学び続ける必要があると感じています。
一方で地元の方では、お客様に対し、こちらから積極的に説明や提案をしていく力が求められるように感じています。生活の中で何となく心配に思われていることを、日常の会話の中で気軽にご相談いただくことが多く、まだ手続きの方法がはっきり定まっていない場合が多いためです。
また、地元の方では、ご相談いただく業務の範囲がより広いと感じます。司法書士の人数自体も少ないので、ある分野に特化するというよりは、より広い範囲をカバーできなくてはいけません。お客様との長いお付き合いの中で、あるときは相続のご相談、またあるときは会社関係の登記のご相談といったように、幅広い分野にわたってご相談に応じることが求められます。
東京と岐阜それぞれの相談に対応していることは、田中先生ならではの特徴だと思いますが、他にも事務所の強みや特徴として掲げているものはありますか?
私が一番大切にしていることは、お客様に寄り添うことです。私は子どもの頃から、人に喜んでもらうことに幸せを感じるタイプでした。司法書士の業務は、登記や手続きというゴールに行く間の過程で、どんな対応をするかによって、お客様に喜んでいただけるかや、満足度が大きく変わるものだと思っています。それなので、お客様一人ひとりの状況にあわせて、しっかり寄り添ってお話を聞くという点に注意しています。また、普段の相談の中では、私が大学時代に学んでいた「リーガルカウンセリング」の知識も取り入れながら、よりお客様の本当のニーズにたどり着けるよう努力を重ねているところです。
自分にとっても、お客様にとっても、「司法書士」と「お客様」という関係である前に、一人の「人」と「人」との関係であるということを大切にしたコミュニケーションを取りあう関係でありたいと思うのです。ご相談にいらっしゃったお客様には、あまり緊張せずリラックスしてお話いただけるように、ご相談の場の雰囲気作りや話の仕方などにも気を付けるようにしていますね。
挑戦を続けてきた経験と、新しい分野に挑む勤勉さ
田中先生はどのような経緯で司法書士を目指されたのでしょうか?
もともと法律系に進みたい、士業になりたいという気持ちを強く持っていたわけではなく、気づいたらここまで来ていた、という感覚です。
大学で法学部に進んだのですが、そこで先生が行政書士という仕事についてお話しされるのを聞いて、「せっかくだし資格を取ってみよう」と思ったのが、法律の道に進む最初のきっかけでした。
勉強することは好きだったので、大学在学中に行政書士の資格を取得し、さらに就職活動をする中で「せっかく士業の資格を取ったのなら、法律の道で働くのもいいかもしれない」と考えました。そこでご縁があったのが、地元岐阜県の司法書士事務所だったのです。
司法書士のことを何も知らないまま入ったので、修行のような毎日でしたが、人の役に立てて喜んでいただける、司法書士という仕事の素晴らしさを肌で感じました。「自分も司法書士になってみたい」そう思ってさらに勉強し、司法書士の資格を取得しました。振り返ると、できることは何でも挑戦してみようと進んできた先に、司法書士があったような形ですね。
田中先生は、新しいことを勉強したり、挑戦したりすることが好きなタイプなんですね。
もともとは頭で色々考えて、石橋を叩いて渡るタイプではあったのですが…働いているうちに、新しいことに挑戦してみたい気持ちが強くなってきましたね。今では「できることを全部やってみよう」という考えで、色んなことに挑戦するようにしています。
岐阜の事務所に勤めた後で司法書士になられて、そこからどのような経緯で東京で開業されることになったのですか?
司法書士試験に合格したときに、そのまま地元に残って司法書士として働くことも考えました。地元のために働いていくのもいいと思ったのですが、その前にもう少し広い世界で、司法書士がどのように活躍しているのか見てみたいという想いもありました。
そんなときに、たまたま東京の大手の事務所さんとご縁があって、急な話でしたが東京に行くことを決めました。司法書士を目指して勉強した期間もそれなりにあったので、「いまは自分に制限を作らずに、できるかぎりのチャンスを掴んでみよう」と決意して東京の事務所でお世話になり、そして東京で独立開業をしたという経緯です。
お客様の日常に安心感を与える存在でありたい
これから力を入れていきたい取り組みなど、今後の展望として考えているものを教えていただけますか?
事務所として専門的に取り組んでいる、相続・家族関係の業務について、最近は生前対策に目を向けられる方も増えてきました。独立開業する前に勤務していた事務所では、家族信託や後見業務にも取り組んでいたので、その知識を活かしたサービスを提供していくとともに、さらに生前対策のことをもっと多くの方に知っていただけるような活動をしていきたいと思っています。
最後に、相続に悩まれている方にメッセージをお願いします。
専門家に相続の手続きについて依頼しようと思われたとしても、いざ相談に行く段階になると、どういう人なのか分からないなど、精神的なハードルを感じることもあるかと思います。それなので、あまりプレッシャーを感じず、世間話のように気軽に相談できる専門家もいるということを、ぜひ知っていただけると嬉しいです。
先延ばしにしないで生前対策や相続手続きをしっかり行っておく。それができると、きっと気持ちも「スッキリ」するはずです。「先のことを考えると不安でよく眠れない」とおっしゃっていたご高齢のお客様も、生前対策の手続きを終えると「まだまだ元気で長生きしないと」と前向きなお気持ちになられていました。しっかりとした生前対策を行うことで、そのあとの日常が生き生きとしたものになるのだと感じています。
相続にお悩みの方から、ぜひたくさんお話を聞かせていただいて、一緒にゴールを目指して歩んでいけるといいなと思います。
プロフィール
KIKI司法書士事務所
司法書士 田中 希依
岐阜県飛騨高山の仏教寺院で生まれる
岐阜県立斐太高等学校を卒業
京都女子大学 法学部 法学科を卒業
大学在学中に行政書士試験に合格。大学卒業後、地元岐阜県の司法書士事務所に勤務し、司法書士歴50年以上の先生のもと経験を積み、司法書士試験に合格。その後、東京都内の大手司法書士法人に勤務し、相続・遺産承継に特化した部門で経験を積む。令和5年KIKI司法書士事務所を開業。
東京司法書士会:第8805号
簡裁訴訟代理等認定番号:第2101083号
東京都行政書士会:第23082845号
取材を終えて感じた先生の人柄
東京に事務所を構えながら、地元である岐阜県からの相談にも応えているKIKI司法書士事務所の田中先生。岐阜県の老舗事務所と東京の大手事務所、それぞれの経験を活かしながら、お客様に寄り添うサービスを提供されています。
田中先生への取材を通して特に印象的だったのが、新しい領域に飛び込み、新しい知識を学び続けるエネルギー。現状に満足することなく、専門家として成長し続けるのだという強い意志を感じました。
そんな田中先生がこれからの取り組みとして力を入れているのが、相続が起きる前の生前対策。「しっかりとした生前対策ができると、そのあとの日常が生き生きしたものになる」というお話は、お客様一人ひとりと寄り添ってきた田中先生ならではの説得力に満ちています。田中先生だからこそ伝えられる生前対策の大切さを、相続に悩む多くの人に知ってほしいと感じた取材となりました。
事務所概要
- 名称
- KIKI司法書士事務所
- 資格者
- 代表 司法書士 田中 希依
- 所在地
- 東京都文京区本郷1丁目33番4号 UP BASE 水道橋 204
- 電話番号
- 03-6824-5752
※「相続プラスを見た」とお伝えいただくとスムーズです
- 営業時間
- 平日 9:00~18:00 ※ご予約で土日祝日も相談可能
- 定休日
- 土曜日・日曜日・祝日
- 対応エリア
- 東京都を中心に全国対応
- 所属
- 東京司法書士会:第8805号
簡裁訴訟代理等認定番号:第2101083号
東京都行政書士会:第23082845号
事務所情報掲載日:2024年2月1日
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