お客様の課題を解決する、コンサルティング業としての司法書士
福岡県福岡市の天神駅からほど近い事務所で、相続の幅広い相談に対応している谷原司法書士事務所。代表の谷原司法書士は、相続の相談に対するこだわりを「お客様の話はよく聞かなければならないが、聞きすぎてもいけない」とされています。その言葉の真意はどこにあるのでしょうか?「司法書士の仕事は課題解決」を旨とする谷原司法書士に、経験に裏打ちされた独自の仕事哲学をお伺いしました。
正確な調査と明瞭な料金でお客様の不安を解消する
まずは相談にいらっしゃるお客様について教えてください。どのような相談にいらっしゃる方が多いですか?
ご家族やご親族がお亡くなりになって、相続の手続きが必要になってご相談にいらっしゃる方が多いですね。相続登記であったり、預貯金や証券の解約手続きであったり。事務所が天神・博多の中心地に近いこともあって、近くで働かれている方から「忙しくて時間がとれないので、遺産整理の手続きをすべてまとめてお願いしたい」とご依頼いただくことも多いですね。
「遺産整理の手続きを全部まとめてお願いしたい」というご相談に対応される際に、気を付けていることはありますか?
一番気を付けなければいけないのは、お亡くなりになった日ですね。相続税の申告は亡くなってから10か月以内に行わなければならないので。緊急性があるのかないのかによって対応が変わってきますので、まずは亡くなった日と期限がある手続きが必要ないか確認するようにしています。
次に気を付けているのが、相続する財産をすべて把握できているのかということ。相続する財産の「漏れ」が一番恐いんですね。不動産や有価証券を、どこにどれだけ持っているのか。もし把握されていないようでしたら、こちらでお調べさせていただくようにしています。
たとえば有価証券であれば、「特定口座年間取引報告書」が証券会社から届きますので、証券会社に口座があることはご家族も何となく把握されているでしょう。しかしご両親と同居されていなかったり、そこまで親しくされていなかったりすると、ご両親の財産をお子様が何も知らないということも起こりうります。そうした方々へのフォローの意味もあって、財産を把握されているかのご確認と、把握されていない場合の調査を行うようにしています。
そして、財産を確認することの裏返しなのですが、債務があるかどうかも確認させていただくようにしています。債務があって債務額が資産額を上回る場合は相続放棄を検討することになるのですが、相続放棄は相続開始があったことを知ったときから3か月以内という期限がありますので。こうした面も含めて、期限がある手続きと財産の把握には特に気を付けるようにしていますね。
遺産整理業務をパック料金で提供されていますが、パック料金を採用された経緯を教えていただけますか?
一番はお客様にとって分かりやすい料金にしたい、ということですね。お客様にとっては、司法書士の料金体系というのは分かりにくいと思いますので。料金が曖昧だとお客様は不安になりますし、かといって細かく設定しすぎると、かえって複雑で分かりにくくなります。それなので、どのくらいの料金がかかるのか具体的にイメージしやすいように、パック料金を採用しています。
お客様に寄り添いながら、プロとして業務を進める
相続のご相談にいらっしゃるお客様とお話しされる際に、大切にされていることや心がけていることはありますか?
相反するようではありますが、「お客様の話をよく聞くことと、聞きすぎないこと」のバランスを大切にしています。相続は、とてもナイーブなものです。第三者からすると法定相続通りに分ければいいと思うかもしれませんが、ご家族それぞれに事情がありますし、相続人にもそれぞれの生活がありますので、杓子定規に語ることはできません。そのため、お客様のお話をじっくり聞かせていただく必要があるのです。
しかしお客様の話を聞きすぎると、相続人の中で1人だけの味方をしていると捉えられかねません。そうすると逆に困ったことになってしまいますので、そのバランスを見極めながら、相続人の皆さんの想いも汲みとりつつ着地させないといけない。これが相続の難しいところだと思います。法定相続通りに分けるだけならスムーズですが、必ずしもそれが正解とは限らないのが相続なので。
これまでご相談にお応えしてきた中で、印象に残っているお客様はいらっしゃいますか?
これまで多くのご相談に対応してきたので、特定のお客様のことを挙げるのは難しいですが、相続人の数が多い相続登記はどうしても手続きが大変になるので、印象に残りますね。
お亡くなりになった方のお子様やお孫様が相続される場合は、相続人の数もそれほど多くなりませんが、兄弟姉妹が相続される場合は、相続人の数が多くなってしまいます。その相続人の中で亡くなっている方がいたりすると、さらに相続人の数が増えていく。中には相続人が何十人にもなることもあるのですが、そうした手続きをまとめられたときは達成感がありますし、何よりお客様に喜んでいただけることが嬉しいですね。
法律と気持ちを意識して、相続の課題と向き合う
これから力を入れていきたい取り組みなど、今後の展望として考えているものを教えていただけますか?
私は司法書士というものはコンサルティング業だと思っています。ご相談を受けて、お客様のニーズにあった答えを探す仕事です。登記をしたら終わりではなく、お客様の課題を解決してやっと仕事が完了する。あくまで司法書士にゆるされる範囲での取り組みになりますが、登記や手続きを行うだけでなく、お客様の抱えておられる課題を解決できる司法書士でありたいと思っています。
最後に、相続に悩まれている方にメッセージをお願いします
法律の面と気持ちの面、それぞれを分けて考えるのが良いかなと思います。
まずは法律の面ですが、相続は遺言書がもっとも優先されます。法定相続分という相続の取り分が法律で定められていますが、それはあくまで遺言書がない場合の決めごとです。これが法律の建前ということですね。
そのうえで、私は相続で財産を遺される方に対して、「強い気持ちをもって、ご自身の財産をお好きなようにしてください」とお話しさせていただくようにしています。ご自身の財産ですから、ご自身が思うように決定していただくのが一番です。それがご家族・ご親族の悩みの種になってはいけないと思いますので。
逆に相続を受ける側は、「相続を期待する権利」しかないというのが法律の建前なんです。相続する権利というものはなく、あくまで期待権にすぎない。もしかしたら将来ご両親がお亡くなりになった際に財産を相続するかもしれませんが、そもそもお亡くなりになるまでに財産をすべて使い切っていたり、第三者に遺言を残される可能性もあるわけです。それは、ご両親の全く自由な権利なわけです。それなので、相続を受ける側は、あくまで「相続を期待する権利」しかないという意識が良いかと思います。こうした法律の建前を踏まえて、相続のことを考えてみていただきたいですね。
ここまでが法律の面の話で、次は法律とは逆の話になるのですが、お気持ちの面ですね。
ご両親はこれまでずっと、お子様に愛情を注がれてきたと思います。それに対してお子様は、無償の愛を受けてきたことに対する感謝の気持ちがあるはずです。それなので、その後の相続も人と人のお気持ちが一番大事なのだと思うのです。
ご両親は今まで頑張ってこられて、無償の愛情を注がれてきた。お子様はそれに対して、感謝の気持ちで応えていただく。ご家族の間でいろんな想いがあり、中には葛藤もあるかと思いますが、最終的にはお気持ちの面で納得できる相続が、理想の相続だと思うのです。そんな相続を実現するための、お手伝いをさせていただければと思います。
プロフィール
谷原司法書士事務所
司法書士 谷原 正浩
西南学院中学 卒業
久留米大学附設高校 卒業
九州大学 法学部 法律学科 卒業
九州大学大学院 民刑事法学専攻 修了
福岡市内の法律事務所勤務
谷原司法書士事務所開業
福岡県司法書士会:第2038号
簡裁訴訟代理等認定番号:第1901399号
公益社団法人 成年後見センター・リーガルサポート:会員
取材を終えて感じた先生の人柄
「強い気持ちをもって、ご自身の財産をお好きなようにしてください」「相続を受ける側は、期待する権利にすぎないんです」一般的な相続のイメージとは異なるメッセージを、インパクトの強い言葉でご説明いただいた谷原司法書士。法律的な仕組みを分かりやすく説明していただき、そのうえで人と人とのお気持ちが一番大事だとお話しいただいたことが印象的でした。
「お客様の話をよく聞くが、聞きすぎてもいけない」というこだわりも、谷原先生ならではの特徴的な一面です。登記や手続きだけを行うのではなく、お客様の課題解決を目的とされているからこそ、たどり着いたスタンスなのでしょう。法律と気持ちの両面から相続の課題解決にアプローチする、谷原先生ならではの取り組みが垣間見えた取材となりました。
事務所概要
- 名称
- 谷原司法書士事務所
- 資格者
- 代表 司法書士 谷原 正浩
- 所在地
- 福岡県福岡市中央区渡辺通5丁目14番12号 南天神ビル 3階
- 電話番号
- 050-7586-7460
※「相続プラスを見た」とお伝えいただくとスムーズです
- 営業時間
- 平日 9:00~19:00
※事前のご予約で平日夜間、土日祝日もご対応可能
- 定休日
- 土曜日・日曜日・祝日
- 対応エリア
- 福岡県
- 所属
- 福岡県司法書士会:第2038号
簡裁訴訟代理等認定番号:第1901399号
公益社団法人 成年後見センター・リーガルサポート:会員
- 事務所の特徴
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メールで相談する事務所情報掲載日:2024年2月26日
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