遺贈を通じて大学へ寄付する新しい選択肢、金融機関の支援で実現

公開日:2025年2月28日

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静岡県静岡市の静岡文化芸術大学と浜松市の浜松いわた信用金庫は、「遺言信託等を活用した遺贈に関する協定書」を締結したと発表しました。この取り組みは、遺産を社会貢献に活用する新しい選択肢として注目されています。遺贈を利用することで、教育機関や公益団体への寄付が可能となり、遺産を残す人にとっても有益な選択肢となることが期待されます。

信用金庫と大学が遺贈協定を締結、学生支援の後押し

令和7年1月23日に、静岡文化芸術大学の横山理事長や浜松いわた信用金庫の髙栁理事長などの関係者が出席し、遺贈協定の締結式が行われました。静岡文化芸術大学が遺贈協定を締結するのは初めてのことです。浜松いわた信用金庫は、遺贈寄付の申し出があった場合に、遺言作成の相談や信頼できる専門家の紹介を行い、遺贈手続きがスムーズに進むようサポートします。これにより、大学への遺贈による寄付手続きを円滑に進めることを目的としています。

静岡文化芸術大学は、平成29年に「静岡文化芸術大学基金」を設立し、卒業生や保護者、地元企業などからの寄付を受けて、学生の海外留学や地域連携事業を積極的に支援してきました。遺贈による寄付については、遺贈者との対話を重視し、可能な限り意向を尊重した上で、学生支援に役立てることを方針としています。

今後、遺贈による寄付の申し出があった際には、同信用金庫が遺言作成などの相談先として紹介され、遺贈希望者は遺贈に関するサポートが受けられるようになります。

このような取り組みは、今後ますます多くの大学や団体に広がることが期待されます。大学への遺贈は、寄付者の意志を尊重しつつ、社会貢献の一環として活用される新しい形と言えるでしょう。こうした取り組みにより、遺贈寄付の選択肢が広がることが期待されます。

参考:浜松磐田信用金庫との遺贈協定の締結|静岡文化芸術大学

遺産を残す方法に迷ったら…専門家に相談がおすすめ

今回紹介する取り組みは、遺言信託を活用した遺贈の仕組みのひとつです。遺言信託は、遺言者が自分の財産を遺言に基づいて信託銀行や信用金庫に託し、その信託機関が遺言内容に従い財産を執行・管理する仕組みです。

遺言信託のメリットとしては、遺産の管理や分配を専門機関に委託できるため、相続人に負担をかけず、遺言書の作成から執行まで一貫したサポートが受けられる点が挙げられます。さらに、遺言信託は、相続人の負担軽減や円滑な遺産分割のサポートに役立つ場合があります。

一方でデメリットとしては、信託にかかる手数料や管理費が発生することや、子どもの認知や相続人の排除など、身分上の行為については遺言執行してもらえず、遺言内容を断られる可能性が挙げられます。

遺産を残す方法は遺言信託の他にも、遺贈によって教育機関や公益団体などの団体に自分の遺産を寄付する「遺贈寄付」や、遺言を使わず、生前に相続人や第三者に財産を贈与する「生前贈与」など、さまざまな方法があります。

どのように遺産を残すかは、遺言者の遺志や相続人の状況に応じて慎重に検討することが大切です。自分に合った遺贈方法を選ぶことで、相続トラブルのリスクを軽減できるでしょう。

また、適切な相続のためにも生前から専門家に相談することが重要です。相続プラスでは生前対策に強い専門家を紹介していますので、ぜひお近くの専門家を探して生前対策のお悩みを相談してみてください。

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相続プラス編集部

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