国税庁は8月6日、相続税や贈与税の算定基準となる路線価の数値の一部に誤りがあったことを発表しました。誤った数値を用いて納税額を計算すると過大に算出されるため、該当の納税者には税務署から連絡をし、還付などの対応を進めています。
一部地域で相続税や贈与税の算出に影響か
国税庁は、毎年7月1日に都道府県別の路線価をホームページで公表しています。今回誤りがあったのは、令和6年7月公表の関東甲信越国税局と大阪国税局、令和元年7月公表の高松国税局の路線価です。
3局管内の一部地域でミスがあり、いずれも宅地造成費の金額が1平方メートル当たり100〜6200円程度過少に表示されていました。そのため、誤った数値を用いて税額を計算した場合、本来の金額より過大になるケースがあります。
宅地造成費は、都市計画上の市街化調整区域内にある市街地農地などの相続税や贈与税の評価額を算出する際に用います。一旦宅地とした場合の価格を算出した上で、宅地以外の宅地造成費を差し引くことで評価額を調整しています。
「路線価」について、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
国税庁「心当たりのある人は最寄りの税務署へ」
減税が過大となった納税者数については、国税庁が確認中で現時点では把握しきれていないとしています。農地に関する相続税や贈与税の申告数は、関東甲信越・大阪の各局内では令和5年7月の1か月間で百数十件程度あったそうです。
国税庁は「誤りが発生したことについて深くおわび申し上げる。今後同様の誤りが生じないよう、適切な事務処理に努める。心当たりのある人は最寄りの税務署にお問い合わせいただきたい。」と呼びかけています。
不安な場合は専門家に相談しよう
宅地造成費についての誤りは今回初めてですが、路線価の公表後に誤りが発見され、正誤表が公表されるケースがままあります。該当の宅地造成費の表を利用されている方は早めに数値の見直しをするか、不安な場合は専門家に相談することをおすすめします。